スキルシェアのミツモアがWiLやAngel Bridgeから5億円調達

ミツモアは6月26日、総額5億円の資金調達を発表した。第三者割当増資となり、引受先はWiL、Angel Bridge、東大創業者の会応援ファンド、個人投資家など。

同社が提供している社名と同名のサービス「ミツモア」は、カメラマンや税理士、弁理士、クリーニング業者など、主に対面型のサービスを提供する専門家と利用者をマッチングするサービス。190職種を超える専門家が同サービスに登録しており、2019年6月時点での累計依頼者数は​7万人以上、登録事業者数は2万人弱とのこと。クラウドソージングとは異なり、対面型のサービスを主軸にしているのが特徴だ。

今回の資金調達により、アルゴリズムの改善によるマッチング精度の向上と、現在は手動で作成している見積もりを自動化すること目指す。そのほか、エンジニアやプロダクトマネジャーなどの人材の増員による体制構築を進めるほか、サポートとカスタマーサクセスの強化も予定しているという。中期の目標としては、事業者への保険サービスや「集客以外の業務」の効率化も手がけるとしている。

ミツモアの具体的な依頼例としては、ホテルでのパーティー動画とスチール同時撮影、不動産会社から原状回復ハウスクリーニング、テレビ局からのドローン撮影などがある。依頼総額は、2017年6月のサービス開始から約24カ月で累​計60億円を突破したという。実際に仕事の依頼が多い業種は、カメラマン、税理士、動画制作、クリーニング、車のメンテナンスとのこと。

利用者はミツモアのウェブサイトから依頼したい仕事の内容を選ぶだけで、最大5人の専門家に相見積もりをとれるほか、仕事の正式依頼もウェブサイト内のチャット機能で済ませられるのが特徴だ。

ミツモアは、日本のローカルサービス市場の非効率を解消することをミッションとしており、ミツモアのプラットフォームによって営業活動かける時間や仲介業者にかけるコスト軽減を狙う。

依頼者とプロをつなげるマッチング・プラットフォームのミツモアが4800万円調達

カメラマンやリフォーム工務店などの事業者と、サービスを依頼したい消費者をつなげるマッチング・プラットフォーム「ミツモア」を運営するミツモアは6月27日、エンジェルラウンドで合計9人の個人投資家から約4800万円を調達したと発表した。投資家の個人名は非公開だが、ミツモア代表の石川彩子氏によれば、出資に参加したのは「日米両国の個人投資家」だという。

ミツモアは各種の事業者と依頼者をつなげるマッチング・プラットフォームだ。例えば、自分のプロフィール写真を撮影したい依頼者は、ミツモアを利用してカメラマンを探し、Web上で見積もりを請求することができる。

事業者はプロフィール写真、名前、活動地域などを登録したあと、依頼者に対してサービスの見積もりを提案することができる。ミツモアがユニークなのは、依頼者が5人の事業者から見積もりを受け取った時点でその案件がクローズするという点だ。その理由として、事業者の労力を考えると、見積もりを送った数十人の事業者の中から1人しか選ばれないという状況は好ましくないという考えがあるようだ。

 

2017年4月のサービスリリース以降、これまでに約1000の事業者がミツモアに登録している。ユーザー数、成約件数は非公開とのことだが、「人気のある”サービス✕地域”だと月に10件以上の依頼を受ける人もいる」(石川氏)そうだ。

現在、ミツモアを通して依頼を送ることができるサービスは30〜40カテゴリーで、同社は将来的にこの数を500カテゴリー程度にまで拡大する構えだ。今のところ、カメラマンやリフォーム業者の登録が多いという。

クラウドソーシングとの違い

ミツモアと同種のサービスとして挙げられるのが、クラウドワークスランサーズなどのクラウドソーシング・サービス。

石川氏は、ミツモアと他のクラウドソーシング・サービスを比べた場合の違いについて、「『事業者の顔が見えるサービス』をつくりたいと思っている。『格安で依頼ができる』という言葉によってCV率は上がるかもしれないが、ミツモアではそれをやらない。『あなたにピッタリの事業者が見つかる』というのが一番の訴求ポイント。この世界観をつくりあげられるかが、勝負の分かれ目になると思っている」と語る。

また、ミツモアでは依頼者と事業者の両者ともに登録料や月額手数料はかからない。依頼者が負担するのは事業者への報酬だけだ。一方で、事業者は見積もりの提案1件ごとに料金が発生する仕組みになっている(現在はキャンペーン中のため無料。石川氏によれば、キャンペーン後にこの手数料がどの程度になるのかは未確定だという)。

一方、クラウドソーシング・サービスの多くは報酬額の〇〇%という料金体系だ。しかし、その料金体系だからこそ問題になるのが、一度マッチングした依頼者と事業者がその後サービスを介さずに直接やり取りをする”直接取引”だ。これに関して石川氏は、「当社では直接取引をリスクだとは考えていません。ユーザーがミツモアを使わずに事業者と直接やり取りしたいと思うのであれば、ミツモアが提供するバリューは一旦終わっていると考えている」と話す。それが見積もりの提案1件あたりに課金するというマネタイズ・モデルを選択した理由だ。

ミツモア創業者兼CEOの石川氏は、東京大学を卒業後、ベイン・アンド・カンパニーでコンサルタントとして勤務。その後の2017年2月にミツモアを創業した。「創業の原体験となったのはコンサル時代。専門知識をもつ中小企業や個人事業主が、全体の6〜7割の時間を営業のために使っていることをその時に知った。その問題に対するソリューションが絶対に必要だと思ったのが創業のきっかけです」と石川氏は語る。