DARPAが「チップレット(チップ構成部品)」を組み合わせてコンピューターを作るモジュール化を推進する

国防総省の研究計画部門(DARPA)は、モジュラーコンピューティングフレームワークの作成に向けた努力を公式に開始した。小さな「チップレット(chiplet:チップを構成する部品)」を組み合わせることによってチップを組み上げることを狙っている。このように奇妙なものを作り上げるには、皆の力を結集することが必要だとDARPAは考えている。実際「イノベーターたちに溢れた大きな集団が必要」なのだ。DARPAはいつも言葉で道を切り拓いて来た。

このプログラムは、昨年発表されたもので、正式名称はCommon Heterogeneous Integration and Intellectual Property Reuse Strategies(共通異種統合IP再利用戦略)というもので、CHIPSと略されている。これまで大学、軍事産業請負業者、そしてもちろん半導体チップメーカーたちと接触を進めていた。そしていよいよ今週には、DARPAと興味を持つ団体が集まり、詳細と期待を分かち合う「キックオフ」が催された。

基本的なアイデアは、特定の機能を合理的な範囲で、標準的なチップレットサイズとフォームファクタに縮小し、それらのチップレットをより大きなボード上で組み合わせることのできるシステムを作成することだ。衛星や偵察機のために、画像処理やストレージを提供するボードが必要だって?ではそれらのチップレットを多数組み合わせよう。低レイテンシの信号処理に重点を置いて、複数のセンサーからの入力を統合したい?では画像処理の事は忘れて、そこに別のパーツを嵌め込もう。

今週のイベントで発表されたスライド (PDF)にはより多くの詳細が示されているものの、プロジェクトはまだ初期段階にあるため、全てがまだ推測の域を出ない。

チップレットがどのようなサイズや形を取るのかもはっきりしていない。それらは大きな集団の中のクリエイターたちとイノベーターたちが決めていくことだ。例えば、追加のRAMやPCIカードを差し込むような、マクロレベルの交換が可能になるものかもしれない。あるいは、製造レベルで焼きこまれてはいるものの、それでも既存のカスタムチップシステムに比べてより柔軟なものになるのかもしれない。

しかし、理想的には、結果として得られる電子機器は、現在のソリューションよりも小型で、多用途で、更に安価に製造できることが望まれる。過去数十年の軍事システムを考えれば、その目標がそれほど困難ではない場合もあるだろう。

DARPAは、なにもかもを最初から作り直すことを望んでいるわけではないということを、強く主張している。むしろ、より柔軟なインフラを作り出すための再整理をしたいのだ。「何でもこなすPC」という旧来のパラダイムが、多くの場合必ずしも最善の解ではなくなっている。それは例えば、新しいインターフェースや標準を確立することを意味するのかもしれない。

DARPAのBill Chappellは、アナウンスの中で次のように語る。「民間の産業から、最高のデザイン手腕、再構成可能な回路構造、そしてアクセラレーターたちを集めることにより、小さな専用チップレットを追加していくだけで防衛システムを構築できるようになる筈です」。

プログラムマネージャーのDan Greenは、CHIPSのためにより勢いある発言を行っている。

「今私たちは、綺麗なイメージ図や単なる言葉を乗り越えて先に進もうとしています、私たちは正に、マイクロエレクトロニクスシステムを考え、設計し、構築するやりかたを変革する努力のために、腕まくりで汗を流そうとしているところです」。

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(翻訳:Sako)