『クリック率ってどれくらいが良いの?』の質問に、真面目に答えを出してみようじゃないか…

クリック率が大事だっていうのは、AdWords をある程度やってる方であれば分かっていると思うのですが、セミナーやコンサルをやっていると、下記のような質問をよく受けます。

クリック率って、どれくらいが良いんですか?

品質スコアを1つ上げるのに、どれくらいクリック率を上げれば良いですか?

これまでは、『順位とか予算とかマーケットなど、いろんな要素が絡んでくるから一概には言えないんだよね〜』と言って逃げてきたわけですが…

今回は、真面目にこの質問の答えを出してみようかと思います。(厳密に言うと、真面目にこの質問の答えを出す努力をしてみようかと思います。)

まずは出来る限り厳密にデータを処理するために、ジャンルの異なる様々なアカウントから完全一致のキーワードだけを取り出し、クリック数が 5 クリック以上のキーワード限定で検証してみました。(およそ3万キーワード、品質スコアの履歴は考慮してません。)

そして、品質スコア別に平均順位とそのクリック率をだして散布図を作成し、累乗近似曲線を追加してみました。(縦軸がクリック率で、横軸が順位です。)

順位とクリック率(品質スコア10の場合)

順位とクリック率(品質スコア9の場合)

順位とクリック率(品質スコア8の場合)

順位とクリック率(品質スコア7の場合)

順位とクリック率(品質スコア6の場合)

順位とクリック率(品質スコア5の場合)

順位とクリック率(品質スコア4の場合)

順位とクリック率(品質スコア3の場合)

順位とクリック率(品質スコア2の場合)

順位とクリック率(品質スコア1の場合)

このデータから、順位とクリック率と品質スコアには相関性があることが分かります。

これを実際の数字で表にしてみると、下記のようになりました。

品質スコアと順位におけるクリック率

※ 累乗近似曲線の計算式は以下とする。(X) = 順位

  • (品質スコア 10) = 0.1603(X)^-0.754
  • (品質スコア 9)=0.2177(X)^-1.108
  • (品質スコア 8)=0.0976(X)^-0.811
  • (品質スコア 7)=0.0711(X)^-0.844
  • (品質スコア 6)=0.0528(X)^-0.753
  • (品質スコア 5)=0.1158(X)^-1.346
  • (品質スコア 4)=0.0269(X)^0.0143
  • (品質スコア 3)=0.0129(X)^-0.063
  • (品質スコア 2)=0.0097(X)^-0.838
  • (品質スコア 1)=0.0034(X)^-0.077

部分的に、想定外の数字が出ている部分もありますが、データをかなり増やしてみてもほぼ同じだったので、限界までデータをとって辞めました…泣(品質スコアが 9 のキーワードは、ブランドキーワードがより多かった気がするんだけど、そういうのが影響してたりするのかな?)

累乗近似を使っているので、実際にこの数字を超えたらOKとかそういう意味ではありませんが、ひとつの指標にはなると思います。

あと、気になったのが品質スコアが 4 以下になると、順位が1位〜8位までほとんど変わらないということはすごく面白いと思います。(これは、品質スコアが 4 以下になると、なかなかプレミアムポジションにいけないという良いデータだと思います。)

数字が揃ってなくて気持ち悪い方へ

品質スコアを

  • 10〜8
  • 7〜5
  • 4〜2

の3つのグループに分けて、上記と同じグラフを作って見ると、かなり綺麗なデータが出たので、こちらも参考のために記載してきます。

順位とクリック率(品質スコア10-8の場合)

順位とクリック率(品質スコア7-5の場合)

順位とクリック率(品質スコア4-2の場合)

品質スコアと順位におけるクリック率②

※ 累乗近似曲線の計算式は以下とする。(X) = 順位

  • (品質スコア 10〜8)=0.0568(X)^-0.673
  • (品質スコア 7〜5)=0.0344(X)^-0.588
  • (品質スコア 4〜2)=0.0142(X)^-0.388

まとめ

今回の記事は、データの整理がちょっと大変でしたが、面白いデータがとれたのではないかと思います。

暇な人は、自分の管理しているアカウントでもやってみてください。

『地域レポート』と『ユーザーの所在地レポート』の違いとは?

詳細分析からレポートの一覧を表示させると、『地域』と『ユーザーの所在地』の2つのレポートがありますが、どこが違うのか分からない人も少なく無いと思います。

『地域』と『ユーザーの所在地』

この2つのレポートは似てはいますが、実際に使ってみるとデータに違いが出てくることがあります。

その理由を知る前に、まず広告出稿の仕組みについて理解しなければいけません。

ターゲット地域の詳細設定

キャンペーンの設定から、ターゲット地域の詳細設定が可能です。

ターゲット地域の詳細設定

例えば、『港区の歯医者』の広告を出すときに、下記の2通りのユーザーが考えられます。

  • 港区にいる人で、[歯医者] のキーワードで検索した人
  • 品川区にいる人で、[港区 歯医者] のキーワードで検索した人

場合によって、それらを区別してターゲティングすることを可能としたのが、ターゲット地域の詳細設定です。

地域レポートとユーザーの所在地レポート

それでは本題に戻って、地域レポートとユーザーの所在地レポートの違いについてですが、下記の違いがあります。

  • 地域レポート: IPアドレスによるユーザーの所在地か、ユーザーの検索キーワードやターゲット地域に関するページを閲覧しているかどうかなどによって、地域区分されます
  • ユーザーの所在地: IPアドレスによるユーザーの所在地だけで、地域区分されます

つまり、大阪で [東京 ホテル] と検索した場合、地域のレポートでは “東京” となりますが、ユーザーの所在地のレポートでは “大阪” となります。

デフォルトの設定では、『ターゲット地域にいるユーザー、ターゲット地域の情報を検索しているユーザー、またはターゲット地域に関するページを閲覧しているユーザー』が選択されていますので、両方のユーザーに対して広告が出ている可能性が高いです。(もちろん、分かって設定している限りは、何の問題もありません。)

地域ワードがクエリに入っているからというだけの理由で、海外からアクセスがあって成果に繋がっていないなんてことが、意外とあるかもしれませんので、こういったレポートも活用してみては如何でしょうか?

入札価格より高いクリック単価が課金される場合のチェック項目

『えーーーー、50円で入札してたつもりなのに、1クリック100円で課金されてるんですけどぉぉぉぉ!』

入札価格より高いクリック単価が課金される

特にエンハンストキャンペーンが導入されて以来、こんな質問をよく受けるようになりました。

もちろん何らかのシステムエラーが生じている可能性もゼロではないと思いますが、その大半が人的なミスによる場合がほとんどです。

今回は、入札価格より高いクリック単価が課金される場合に、どこをチェックして対応すれば良いのかということを紹介したいと思います。

※ 以下、前提として『クリック単価を手動で設定する』を使用している(拡張CPCによる単価が高くなるケースも除外)ことを条件とします。

キーワード単位での入札価格の変更

まずは基本的なところですが、キーワード単位でも入札価格を設定してないかをチェック。(通常はグループ単位)

キーワード単位での入札価格の変更

特に、キーワード一覧から First Page Bid の見積 があったので、そこでキーワードの単価を編集してしまって、そのまま忘れてしまうケースが多いようです。

スマホの単価調整比

次も分かりやすいところですが、スマホの単価調整比をチェック。『引き下げ率』と『引き上げ率』の選択間違いは注意が必要。

スマホの単価調整比率

あとは、エンハンストキャンペーン導入後も、PCとスマホのキャンペーンを無理やり分けている場合に、スマホの単価を +300% で設定しているのを忘れて、50円で入札していたつもりが実は4倍の200円だったなんてオチも…

グループ単位でのスマホの単価調整比率

スマホの単価調整比率は、キャンペーン単位だけではなく、グループ単位でも可能です。

厄介なのが、AdWords Editor では簡単にグループ単位のディバイス単価調整比を編集することができるのですが、管理画面上ではその設定画面になかなか辿り着けないため、事故った時に原因が分からないことが多い。

グループ単位でのスマホの単価調整比率

管理画面上では、グループを選択した状態で、[設定] → [ディバイス] から比率をチェック・変更します。

その他の項目による単価調整比率

ディバイス別の単価調整比の他に、下記の項目についても、それぞれ単価調整比を変更することが出来ます。

  • 地域
  • 時間帯
  • ユーザーリスト

地域・時間帯に関しては、キャンペーンの設定から

地域・時間帯の単価調整比

ユーザーリストに関しては、ユーザーリストのタブから

ユーザーリストの単価調整比

エンハンストキャンペーンは、キャンペーンを細分化しなくても良い代わりに、チェック項目が増えた気がします…

ディスプレイネットワークでのセグメントによる入札単価

ディスプレイネットワークには、下記のセグメントに対して、それぞれ入札単価を変更することが出来ます。

  • ディスプレイネットワークのキーワード
  • プレースメント
  • トピック
  • インタレストとリマーケティング
  • 性別
  • 年齢

※ 入札を比率で変更するのではなく、セグメントごとに直接単価を調整します。

ディスプレイネットワークでのセグメントによる入札単価

※ 新しくセグメントを追加する場合には、適用範囲の仕組み(AND条件なのか、OR条件なのか)も理解したうえで追加してください。([表示項目の変更] → [属性] → [適応範囲] を選択すると、設定状況を把握しやすいと思います。)

グループ単位での入札戦略の変更

エンハンストキャンペーン導入後、グループ単位でも目標CPA(コンバージョンオプティマイザー)DCO(ディスプレイキャンペーンオプティマイザー) を使用できるようになりました。

グループ単位での入札戦略の変更

[表示項目の変更] → [属性] → [入札戦略] [入札戦略タイプ] 設定状況を把握しやすいと思います。

※ 入札戦略に関しては、[共有ライブラリ] の [入札戦略] から確認できます。

テストツール(ACE)の使用

かなりマニアックな設定になりますが、テストツール(ACE) からも入札単価を変更出来ます。

テストツール(ACE)の使用

正直このツールを使える方は、そもそもリテラシーは高いと思うので、心配はないと思うのですが…

まとめ

これ以外に、漏れてる項目があったら、下のコメント欄から連絡頂けるとありがたいです。

エンハンストキャンペーンの導入により、セグメントによりキャンペーンを複数作成する必要が無くなったと同時に、入札価格をコントロールできる項目が増えたのが原因だとおもいます。

注意してくださいね。

AdWords 管理画面にて、グラフのインターバルを変更可能に

AdWords 管理画面のグラフにて、今までは日別の間隔しか表示できませんでしたが、週別・月別・四半期別も選択して表示できるようになりましたという発表が AdWords チームの Google+ (英語) でありました。

日別・週別・月別・四半期別のグラフ選択

下記イメージのように、特に長期間を選択した時にグラフのトレンドが今まで以上に見やすくなると思います。

日別・週別グラフの比較

マイナーチェンジですが、良いですよね♪

勝った広告文を残しましょう

リスティングの運用で、(クリック率をアップさせるなど)広告文のテストが大事だということは、浸透してきてると思います。

ただ、

  • 新しい広告文を追加
  • 広告のローテーションで最適化を選択
  • Google のシステムによって、勝者を自動選択
  • これの繰り返し…

Google のシステムで最適化することが間違っているわけではないのですが、それに頼りすぎて、負けた広告文を消去しないまま、放置しているアカウントをよく見かけます。

勝った広告文を残してから新しい広告のテストをするのが、当たり前のように聞こえるかもしれませんが、意外とやってない人が多いから驚きです。

若しかしたら、Google のシステムで最適化するという意味が、100% 勝者を残すという意味では無いことに気がついていないのかもしれません。

じゃあ、どれくらい損してるの?

例えば、下記のイメージにあるように、自動最適化された後も3つの広告クリエイティブをストップしないまま放置した場合の、広告掲載率を見てください。

広告掲載率

勝負が付いているのであれば、負けた広告をストップすることで、最もパフォーマンスの良い広告を 100% 表示させられるはずなのに、この場合でいうなら 81.30% しか表示されていません。

この場合、勝ち残った広告文だけ残し、勝者の余韻に浸る時間があっても良いんじゃないかと思う。

リスティングの運用で『広告文をテストする』という文化が浸透していることは素晴らしいことですが、それをすることが目的ではありません。

ましてや、それありきで無理やり適当なものを作成して、パフォーマンスを低下させるとなれば本末転倒です。

デフォルトの設定が気に入らないのであれば変更しましょう

デフォルトの広告ローテーション設定が、自分の管理方法とマッチしていないのであれば、単純に変更しましょう。

アラート機能やカレンダーなどを使って、レビューする期間を決め、負けた広告文の処理をルーティーン化することもアリだと思います。