京急アクセラレータープログラムの第3期募集を開始、デモデイは2020年9月上旬

京浜急行電鉄とサムライインキュベートは12月10日、新規事業創出を目指した「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」(京急アクセラレータープログラム)の第3期の募集開始を発表した。取り組みの成果を発表するデモデイは2020年9月上旬を予定している。

同プログラムは2017年からスタートしており今回が3回目。ベンチャーキャピタルのサムライインキュベートは第2期から運営に参加しており、これまでに京急グループと8件の実証実験を実現してきた。ちなみに第2期の採択企業は、TechCrunch読者におなじみの手荷物預かりサービス「ecbo cloak」を運営するecbo、タクシーの相乗りのマッチングサービスを運営するNearMe、傘シェアサービス「アイカサ」を運営するNature Innovation Group、AIチャットボットを活用したホテルのカスタマーサポート支援サービスを提供するtripla、ヘリコプターのライドシェアサービス「CodeShare」などを展開するAirXの5社だった。

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募集からデモデイまでのスケジュールは以下のとおり。

  • 募集開始:2019年12月10日(火)
  • 個別相談会:2019年12月12日、19日、2020年1月9日、23日、30日
    ※場所:AND ON SHINAGAWA、専用ウェブサイトから予約
  • AND ONパートナーミートアップ:2020年1月15日
    ※場所:AND ON SHINAGAWA
  • 募集締め切り:2020年2月3日
  • 書類・面談選考、事業共創プランの議論:2020年2月~3月
  • 事業審査会・採択企業決定:2020年4月
  • テストマーケティング期間:2020年4月~8月
  • 成果発表会(デモデイ):2020年9月上旬

第3期のテーマは「リアルとテクノロジーの融合による新しい顧客体験」で、、沿線地域にこれまでにない新しい体験を付加するもの、既存事業領域をデジタルテクノロジーでアップデートするものの2つの方向性でスタートアップとの事業共創を進める。テーマとなる領域は、Mobility、Living、Working、Retail、Entertainment、Connectivityの6つが設定されている。具体的には以下のとおりだ。

  • Mobility(移動)
    1.パーソナルモビリティ、デマンド型交通、水上交通、エアモビリティなど
    2.配車、案内、チケッティング、点検業務などにおけるテクノロジーの活用
  • Living(暮らし)
    1.地域情報の統合、防犯・防災、住宅向けモビリティ、シェアリングサービスなど
    2.賃貸仲介、新規物件の販売・分譲、タウンマネジメントなどにおけるテクノロジーの活用
  • Working(働く)
    1.オフィスとモビリティの連動、出張の手配、オフィス向けの飲食サービスなど
    2.リーシング、点検業務、警備、清掃などにおけるテクノロジーの活用
  • Retail(買い物)
    1.体験型店舗、パーソナル・リコメンド、デジタル広告、無人店舗など
    2.リーシング、需要予測・分析、仕入れ、配達、物流などにおけるテクノロジーの活用
  • Entertainment(遊び)
    1.観光資源の発掘・活用、パーソナル・リコメンド、位置情報やVRを活用したゲームなど
    2.宿泊・娯楽施設の需要予測、分析、ガイド、警備、清掃などにおけるテクノロジーの活用
  • Connectivity(つなぐ)
    1.複数領域をまたぐ検索・予約・事前決済、リコメンド、送客など
    2.各事業領域におけるデータの統合、分析、予測などにおけるテクノロジーの活用

なお、採択企業はもちろん応募したすべての企業は、AND ONパートナーとの個別協業やサムライインキュベート(Samurai Incubate Fund 6号投資事業有限責任組合)からの出資の検討対象となる。

京急がVCファンドへ初の出資、アクセラレータープログラムもスタート

京浜急行電鉄は11月21日、VCのサムライインキュベートとともに「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」を発表した。募集期間は2018年11月〜2019年8月。2017年に続く第2期の募集となる。また「Samurai Incubate Fund 6号投資事業有限責任組合」に出資することも発表。京急としては初のVCファンドへの出資となる。出資額は明らかにしなかったが、数億円規模とのこと。

京急の新規事業企画室で部長を務める沼田英治氏によると、ファンド出資については社内でもかなり調整が必要だったという。京急としては投資による儲けではなく、スタートアップとの事業連携を重視したうえでの決断だったそうだ。

今後、京急自らが投資する可能性としては、社内でもCVCを作るという話は議論したが、当面はサムライインキュベートなど連携してスタートアップに投資していきたいと沼田氏。ただし、京急としても数社への直接出資は検討しているようだ。

京浜急行電鉄の新規事業企画室で部長を務める沼田英治氏

KEIKYU ACCELERATOR PROGRAMは、少子高齢化や労働力不足の深刻化を背景に、AIやIoTによるオープンイノベーションの進展を図るのが狙い。新たな顧客体験や鉄道を中心とした生活インフラ、沿線周辺にある資源の活性化などで新たなライフスタイルの創出を考えていくというものだ。第2期では、移動、くらし・働き方、買い物、観光・レジャー、テクノロジーの活用という5つのテーマで募集する。

サムライインキュベート創業者/共同経営パートナーの榊原健太郎氏

昨年の第1期の募集では、7件の事業を採択し、4件の実証実験や事業連携を実現。エンジョイワークスが葉山の空き蔵を宿泊施設にリノベーションしたほか、チャプターエイトは民泊施設へのチェックインの代行事業を手がけるといった展開があった。そのほかヤマップは、三浦半島の新たな観光資源を掘り起こす「MIURA ALPSD PROJECT」を立ち上げた。

また今回のファンド出資にともなう提携により、サムライインキュベートは京急に対して、国内外の有望なスタートアップの紹介、投資や育成のノウハウの提供などを行うという。