産業向けのAIソリューションを開発・提供するHACARUS(ハカルス)は9月29日、大阪ガスと共同で、地中の埋設管の位置を自動的に判定できる「AI自動判定ソフトウェア」の開発を発表した。熟練技術者のノウハウをAI化して、地中の埋設管の調査を効率化するというもの。大阪ガスが、日本信号を通じて10月1日より発売する。
今回共同開発した同ソフトウェアを用いると、熟練の技術がなくても、AIにより埋設管位置を正確に判定できるようになるという。AIによって埋設管の位置の検出率89%を実現し、現場作業員の平均と比較して10%以上高い判定精度を達成したとしている。
ガス工事などで道路を掘削する際、ガス管や水道管、電力・通信など各種ケーブルの埋設物を傷つけないよう、地中レーダーなどでその位置を正確に把握する必要があるが、検出されたレーダー波の解析には、熟練の技術者の勘と経験が物を言う。だが、少子高齢化、人材不足などにより熟練の技術者が減少する傾向にある今、そのノウハウを継承する方法が求められている。そこで、HACARUSは、同社独自のAI技術を活かして、そのAI化に取り組んできた。
AI自動判定ソフトウェアには、スパースモデリング(疎性モデリング)と呼ばれる、少ない情報から全体像を把握するAI技術が使われている。大量のデータを必要としないため、クラウドなどに接続する必要がない。そのためローカルで処理が行えるエッジ端末として、システムを既存の地中レーダーなどの装置(既存データ収集デバイス)に組み込むことができる。「今ある設備やオペレーションをなるべく維持しながら、AIを活用した匠の技やノウハウの継承が可能」とHACARUSでは話している。