固定資産税の節税を自動化するTaxProperが2億円超を調達

あなたは持ち家の固定資産税をどのくらい払っているだろうか。高すぎると思ったことはないだろうか?

自分の払っている税金に不満があるときは、再査定を要請することができる。しかし、そうする人はほとんどいない、おそらくできることを知らないか、弁護士や書類作成に充てる資金や時間がないからだろう。

Y Combinator2019年夏クラス(未訳記事)出身のTaxProper(タックス・プロパー)は、その手続きを簡単にすべく、このほど200万ドル(約2億1600万円)を調達した。調達ラウンドをリードしたのはKhosla Ventures(コースラ・ベンチャーズ)で、Global Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)、Clocktower Ventures(クロックタワー・ベンチャーズ)ほか数人のエンジェル投資家が出資した。

利用者が住所を入力すると、TaxProperのアルゴリズムが、家の大きさ、部屋の数、建築資材などの要素に基づいて周辺地域の似たような物件の査定額を調べる。

もし、あなたの支払っている固定資産税が高すぎるとアルゴリズムが判定すると、必要な書類を自動的に作成して国に申請してくれる。同社によると、システム側の手続きに必要な時間は3~5分ほど。そのあとは国からの連絡を待つ必要があり、実際には6~8週間かかる。

料金には2種類のモデルがあり、前払い手数料149ドル、または1年目の節税額の30%のどちらかを支払う。税額を減らせないとアルゴリズムが判定したときや、申請が却下された場合は支払う必要がない。同社によると、現在顧客1人あたり平均700ドル程度節税しているそうだ。

TaxProperの二人の共同創業者は、税金と政府に関わる豊富な経験を持つ。Geoff Segal(ジェフ・セガール)氏は保険統計学と調査分析の専門家として保険会社のState Farm(ステート・ファーム)に勤めていた。Thomas Dowling(トーマス・ダウリング)氏はシカゴのLori Lightfoot(ロリ・ライトフット)市長の財務顧問だった。

なお、現在TaxProperは一部の地域でのみ活動している。どこの地域にも完璧に対応するために、いくつかの戦略を試しているからだと同社は説明する。現在利用できるのはシカゴおよび近隣のクック郡で、「数カ月のうちに」ニューヨーク州とテキサス州にも進出する計画だ。。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

仮想通貨の税金計算をサポート、取引履歴から売買損益を算出できる「G-tax」ベータ版公開

2017年の1年間で、ビットコインを始めとした仮想通貨の知名度は急上昇した。

以前から注目していた層や投資家はもちろん、大手取引所のテレビCMやマスメディアで取り上げられる機会が増えたこともあり、一般層にも広がってきている。VCやエンジェル投資家に2017年の振り返りと2018年のトレンド予想をしてもらっても、やはり仮想通貨に注目している投資家が多かった。

仮想通貨の取引を始める人が増える一方で大きな課題となりそうなのが、税金の問題だ。法整備が追いついていないことに加え、対応できる税理士も多くないのが現状。確定申告でどうしていいかわからず困っている人もいるだろう(仮想通貨の売却や使用により生じた利益は原則として雑所得に区分されるため、年間で20万円以上の所得を得た場合には確定申告が必要)。

この問題の解決に取り組むのがAerial Partnersだ。同社は1月6日、仮想通貨の売買損益を計算できる新サービス「G-tax」のベータ版をリリースした。まずは500人限定でユーザー登録を受け付け、順次拡大していく予定だという。

少数の取引所で売買だけを行う「ライト層」向けの利益計算サービス

G-taxは対応する取引所の取引履歴をアップロードすることで、仮想通貨の売買による利益金額を自動で計算するサービスだ。

現時点でZaifやbitFlyer、coincheckなど10の取引所に対応。海外の取引所で行った売買履歴の円貨換算、国税庁の「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」に示される方法に基づいて損益計算を行える。

TechCrunch Japanでは仮想通貨の税務問題に取り組むスタートアップとして、2017年11月にAerial Partnersを紹介した。同社は12月に税理士紹介・記帳代行サービス「Guardian」をリリース。ユーザーへ仮想通貨に詳しい税理士を紹介しつつ、税理士には税務計算をサポートする独自の計算システムを提供している。

G-taxはこの「独自の計算システム」の一部を切り出し、個人向けに無料で公開したものだ。Aerial Partners代表取締役の沼澤健人氏によると、今回G-taxのリリースに至った背景には「税務問題に悩む投資家からの問い合わせが想定以上に多かった」ことがあるという。

Guardianではこれまで2度ユーザーの募集を行っているが、100人の枠を設けた1次募集が30分、200人の枠を設けた2次募集も1時間で締め切りに達した。現在も問い合わせが続いていて、Guardian以外の解決策も検討。G-taxの開発に踏み切った。

「(取引所の口座開設数の状況や、投資家の方のサポートを通じて感じたことも踏まえると)確定数値ではないが、仮想通貨取引により確定申告義務が生じる人は数十万人単位にのぼると考えている。投資家の数が増えるとともに幅も広がり、少数の取引所で売買だけを行っている比較的ライトな層も多い印象。そのような投資家には自分で利益の計算ができるシステムを提供していくべきだと決断した」(沼澤氏)

税理士から断られる投資家も多い

仮想通貨に精通した税理士によるサポートがあり、マイニングなど売買以外もカバーするGuardianと違い、G-taxでできることは限られている。対応する取引所も一部のみで、損益計算は自動でできるが計算結果の正確性を税理士が検証、保証するものではない。そのためG-taxで算出した結果をもとに税理士に相談することを推奨しているという。

「これまで個人的に税務相談を受けた人や、Guardianの応募者の約半数は税理士から『受けられない』と断られた人たち。税理士側も仮想通貨の知識が必要な上に、各取引所ごとにデータの形式が異なるため、相談されても対応できないのが現状」(沼澤氏)

正確な取引データを集めて損益計算をするという工程が特にハードルが高いため、そこに焦点をあてたサービスとしてG-taxのリリースに至った。一方のGuardianは主にG-taxでは対応できないユーザーに向けて引き続き提供。利用価格を減額するとともに、電話対応や節税提案なども含めた上位プラン「Guardian+顧問」も始める。

Aerial Partnersではまず仮想通貨に関する「税金」の問題に取り組みながら、今後はポートフォリオ管理や取引管理など税金以外の領域への拡張も目指していくという。