凸版印刷は10月12日、非接触で操作可能なタッチパネルのニーズに応えるべく、従来品と比べ筐体の50%薄型化を実現した空中タッチディスプレイを開発したと発表した(掲載写真のディスプレイ表示は、はめ込み画像)。2020年12月よりサンプル品の提供を開始し、2021年の量産試作を経て、2022年の本格量産を目指す。
同製品は、濡れた手や手袋のままでも操作が可能なため、医療現場やクリーンルームなどでの使用が可能。さらに、左右15度に固定された視野角を活用し、暗証番号などの覗き見を防止できる。
主に医療用機器、公共施設の設備操作盤、高いセキュリティが求められる施設の入退室管理設備などへの採用を目指し、2022年度に関連受注も含め20億円の売り上げを目指すとしている。
- 液晶パネルタイプ: 7インチ 高輝度高コントラストTFTディスプレイ
- 表示解像度: 800×RGB×480(WVGA)
- 外形寸法(サンプル機): 幅285×高さ285×奥行60mm
- 重量(サンプル機): 約1.9kg
凸版印刷によると、新型コロナウイルス感染症の拡大予防対策として、何もない空間に画像を浮かび上がらせ、センサーで指の動きを検知する非接触型タッチパネルのニーズが高まっているという。しかし従来製品では奥行きを必要とする構造のため、設置場所と使用用途が限定されていた。また、生成される空中画像は暗く不鮮明でゴースト像が発生し、視認性に問題があった。
そのような中で同社は、産業機器向け高精細液晶ディスプレイ分野で培ってきた独自の光学設計技術と構造設計技術を駆使し、視認性が高く、壁に埋め込みも可能な薄型の空中タッチディスプレイを開発。
世界で初めて、液晶パネルに対して平行位置に空中映像を生成することに成功。従来の、パネルに対して画像が約90度に出現するタイプと比べ50%薄型化できるほか、より直感的な操作が可能となった。
また、同社独自の高透過率TFT液晶技術と光学設計技術により、従来品に対して約5倍の輝度(同社比)を備え、ゴースト像の少ない鮮明な空中映像の生成が可能となっているという(掲載写真右側)。
さらに、赤外線方式の空間位置センサーや、ToF(Time of Flight)方式の距離画像センサーを搭載し、空中映像上で目標をタッチする動作を認識できる。濡れた手や手袋をした状態に加え、ペンなどでも認識できるため、画面に触れることなくタッチ操作が可能となる。
このほか、独自の光学設計技術により、空中映像の視野角を左右15度に制限。映像正面以外の場所からは視認できないため、パスワードの入力などセキュリティ性が求められるシーンでの使用にも適しているとした。
カテゴリー: ハードウェア
タグ: 凸版印刷、空中タッチディスプレイ、日本
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