非上場スタートアップへの投資機会を増やす米証券取引委員会の提案

このところ非上場企業の数が増え続けており、しかも彼らはこれまでよりも長く非上場を続けている。以前ならGoogleやAmazonのような企業の成長から利益を得たであろう公開市場の株主は、今や仲間はずれだ。米国証券取引委員会(Securities & Exchange Commission、SEC)は、この現状を危惧している。そこで、なんとかしなくてはいけないとSECは考えた。

SECは米国時間12月18日、富裕投資家などの「認定投資家」(Accredited Investor)の定義と、投資企業などの「適格機関購入者」(Qualified Institutional Buyer)の定義を変えて、非公開資本市場で投資できる人や機関の種類を増やそうという提案を行った。非公開資本市場とは、非上場のスタートアップやヘッジファンド、ベンチャーファンド、プライベート・エクイティ(非上場株)ファンドなどのことだ。それで何がどう変わるのか?現状のSECの定義では、認定投資家は100万ドル以上の流動資産を持ち、年収が20万ドル以上の人を対象とする。

今回のSECの提案では、エントリーレベルの株式ブローカーのライセンスや、認定教育機関が発行した信用証明書を持つ投資家が非公開株に投資できるようにする。また現在のSECの富裕基準を満たさなくても十分な知識のあるファンドの社員や、管理している資産が500万ドル以上のファミリーオフィスとそのファミリークライアント、そして自分の資産を認定投資家になるためにプールしている「配偶者格の者」も非公開株に投資できるようにする。

この改善提案では、1億ドル以上の証券を有し旧定義の投資基準を満たす有限会社とRBICs(FactSet Revere Business Industry Classification System)が適格機関購入者と見なされる。またSECの案では、投資企業法の定義を満たす500万ドル以上の投資の実績があり、特殊目的に限定される投資を行っていない法人などを新しいカテゴリーとして設けようとしている。

提案は現在、60日間のコメント受け付け期間にある。しかしこの、非公開(非上場)投資プールを拡大しようとするSECの主張に対しては、さまざまな賛否が巻き起こると考えられる。

投資家保護を重視する勢力は、すでに十分な資本を有しているスタートアップが弱い投資家たちを食い物にすると主張するだろう。もう一方では、経験の浅い資家家が米国のイノベーション経済から閉め出され、所得格差が一層悪化するるという声も高まるかもしれない。

SECの提案文書はここで見られる。また、コメントの提出方法もわかる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

イーロン・マスクとSECの和解、裁判所が正式に承認ー株価は上昇

Teslaを非公開化することについての、今や悪名高い「資金は確保した」ツイートに端を発した、TeslaのCEOイーロン・マスクと米国証券取引委員会(SEC)との間で繰り広げられた一連のゴタゴタは正式に解決した。

連邦裁判所は、詐欺疑いの提訴をめぐるマスクとSECの和解を承認した。Bloombergが裁判所の承認を真っ先に報じた。

このニュースを受け、Teslaの株価は4%超上昇した。

SECは、1株420ドルで株を買い取って会社を非公開にするための“資金は確保した”とのマスクの8月7日のツイートは虚偽にあたるとして9月に提訴した。連邦証券当局はツイートの1週間後にTeslaに召喚状を送付したと報道されている。そして6週間後にSECは証券詐欺容疑で提訴した。

提訴は、マスクとTeslaの役員会がSECとの和解案を無下にした後に行われた。提訴の後、役員会は和解を引き出すどころか、マスクを擁護する声明を出した。ニューヨークタイムズ紙は、マスクが役員会に最後通牒を発し、和解案をのまなければ辞めると脅した、と報じた。

最初の和解よりペナルティは厳しいものになったが、とにかく最終的に和解に落ち着いた。しかしながら、両者が和解に落ち着いたにもかかわらず、Teslaの一連の問題のある行いは終わりではなかった。

米連邦地裁のAlison NathanがSECとTeslaに、なぜ地裁が和解案を承認しなければならないのかを説明する連名の書面を提出するよう求めた。そして連名の書面が10月11日に提出された。Nathanは、和解案は“妥当で理にかなっている”と決定し、16日に承認した。

9月29日に合意に達した和解案で、マスクはTeslaの会長職を離れることと、2000万ドルの罰金を支払うことに同意した。

マスクは合意から45日以内にTesla役員会の議長を辞めなければならない。マスクは、議長として再選の模索はできず、3年間は指名も受けられない。和解案に基づき、独立した議長が指名されることになる。SECによると、それとは別に、Teslaは2000万ドルの罰金を支払うことに同意した。SECは、Teslaに対する制裁金については、マスクのツイートに絡んで管理と対応を怠ったことに対するもの、としている。

イメージクレジット: Diego Donamaria / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)