買い物代行のInstacartが210億円を調達、バリュエーションは1.8兆円に

Instacart(インスタカート)は10月8日、既存投資家向けの新たな資金調達ラウンドで2億ドル(約210億円)を調達したことを発表した。D1 CapitalとValiant Peregrine Fundが本ラウンドをリードした。ポストマネーでInstacartの価値は177億ドル(約1兆8700億万円)、プレマネーでは175億ドル(約1兆8500億万円)だ。ブログ投稿によると、調達した資金は顧客エクスペリエンスの向上、法人事業や広告事業のさらなるサポートを目的とする新機能やツールの導入に使われる。

Instacartはこれより前の今年6月に2億2500万ドル(約238億円)に(CrunchBase記事)、7月に1億ドル(約106億円)を調達した (Axios記事)。6月のラウンドで同社の価値は約137億ドル(約1兆4500億円)になり、それから数カ月後の今回のラウンドの調達額はいっそう大きなものとなった。

ほかのテック企業、そしてテックを活用した企業と同様、Instacartもパンデミックの間に需要増を経験した。家から出たくない人々が安全を確保するためにオンデマンドサービスを利用し、新型コロナウイルス感染症と事業成績の間に相関性を見つけることはたやすい。

Uberのフードデリバリー事業の成長は、もう1つの格好の例だ。

Instacartのバリュエーションは、2018年のシリーズF時の79億ドル(約8400億円)から倍になっている。成し遂げた成長ペースは驚くものだが、IPO計画は見通せなくなったようで、またパンデミック収束がまだ見えない中で新型コロナ特需がどのくらい続くのかもわからない。

同社は第2四半期中のある月に黒字化を達成し、The Informationによるとその額は1000万ドル(約10億円)だった。記事はまた、Instacartは2019年に3億ドル(約320億円)の赤字だったとしている。2020年に通年で黒字となるかはまだわからない。

TechCrunchはInstacartに、2020年に黒字となった月が他にあるかどうか、2020年第3四半期の成長幅など多くの質問をしたが、同社の広報担当はそうした質問に答えなかった。

「今回の投資は、既存投資家が当社のチームの強み、顧客やパートナー、グローサリーエコシステム全体にとって当社が担っている重要な役割を支持するものです」とCEOのApoorva Mehta(アプオルワ・メフタ)氏はプレスリリースの中で述べた。「昨年当社の事業を拡大するため、そして前代未聞の消費者需要と成長に対応するチームの働きを本当に誇りに思っています」

Instacartはカリフォルニア州がAB5法案を通過させた後に展開されている規制戦争に直面している企業の1社だ。この法律によりギグワーカーにかかる州の規則が変更された。ライドシェアドライバーやデリバリーワーカーを独立した請負業者と分類することになるかもしれないProp 22という住民投票がカリフォルニアで間もなく行われる。InstacartはUber、Lyft、 DoorDash、Postmates(現在Uber傘下だ)とともに請負業者分類に賛成の立場だ。

Uber、Lyft、Instacart、DoorDashはYes on 22キャンペーンに合計1億8400万8361ドル46セント(約195億円)を支援した。そうした貢献は金によるものとそうでないもの、ローンという形態を伴うものだった。これら4社は9月にそれぞれ1750万ドル(約18億円)をYes on 22キャンペーンに提供した。公正な政治慣行に関する委員会によると、こうした資金の大半はYes on 22が受け取った。

Yes on 22はさておき、InstacartはワシントンD.C.地方検事総長Karl A. Racine(カール・A・ラシーン)氏に訴えられている。同氏は、Instacartが「詐欺的なサービス料金」として顧客に何百万ドルも課金し、そして何十万ドルもの売上税を納めなかったと主張している。訴訟はそうしたサービス料金を支払った顧客への返還、D.C.への滞納税金と利子の支払いを求めている。特に、Instacartは2016年9月から2018年4月までの間、配達員へのチップだと思わせて徴収した10%のサービス料金について、顧客をミスリードしたと主張している。

一方、パンデミックとカリフォルニアの山火事の期間、Instacartのワーカーたちは個人防護具と報酬アップ、そして直近では災害基金を要求した。

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タグ:Instacart、買い物代行、資金調達

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

スーパーでのお買い物を代行――シンガポール発のhonestbeeが東京でローンチ

AmazonフレッシュUberEATSなど、日用品や食事のデリバリーサービスが日本でも増えている。今回、新たにシンガポール発の買い物代行サービス「honestbee(オネストビー)」が日本に進出した。honetbeeはユーザーが専任スタッフにスーパーへの買い出しと配送を依頼できるサービスだ。

通常ネットスーパーで買い物をする場合、そのスーパーで扱っている商品しか購入できないが、honestbeeでは配送圏内にある提携スーパーや専門店の商品をまとめて購入し、配送を依頼できる。

ユーザーはhonestbeeのサイトから注文すると、honestbeeの専任コンシェルジュがユーザーの代わりに買い物を行い、まとめてユーザーの元に届ける。注文した商品が品切れの場合、別の代替商品を指定したり、コンシェルジュに代替商品を提案してもらうオプションも提供している。

現在、対応しているのは港区、渋谷区、目黒区、品川区、千代田区の一部エリアで、順次対応地域を増やしていく予定だ。買物を依頼できる店舗は各地域で異なるが、honestbeeの提携ショップ一覧を見ると「東急プレッソ」、「COSTCO」といったスーパーやカナダ産ワインを扱う「Heavenly Vines」、花屋の「Sun Florist」、コーヒー専門店「丸山珈琲」といった専門店もある。複数のレストランとも提携していて、料理の注文も可能だ。

honestbeeの利用にはコンシェルジュ手数料490円と配送料490円がかかる。3000円以上購入した場合は配送料は無料だ(一部店舗除く)。注文が集中するピーク時には最大200円のピーク配送料がかかるとhonesetbeeはサイトで説明している。

ただ、月額利用料はかからない。honestbeeは手数料や配送料でユーザーに課金するのではなく、小売店とのレベニューシェアを行なうビジネスモデルを採用している。

honestbeeは2014年12月にシンガポールで創業し、2015年7月からサービスを提供している。2015年10月には1500万ドルを調達した。シンガポール以外には香港と台湾でサービスを提供していて、今回新たに東京に進出した形だ。

honestbeeのサイトを見ると、ところどころUIの日本語訳がおかしいところがあって少し不安になる。ただ、いつも複数のスーパーやお店を回って買い出しをしている人にとっては重宝するサービスになるかもしれない。

honestbeeのサービスはウェブとアプリ(iOSAndroid)から利用できる。