TapRm(タップルーム)の創業者でCEOであるJason Sherman(ジェイソン・シャーマン)氏は、ビール愛好家たちがもっとオンラインショッピングをするときが来たと語る。なお、タップルーム(taproom)とは、ホテルなどに併設されているバーのことだ。
Anheuser Buschおよびアルコール業界の大手であるZX Venturesインキュベーターで弁護士として働いていたシャーマン氏にとって、そこはよく知った業界だ。仕事を続ける中で、彼はなぜ オンラインでビールを購入する層がたったの0.2%なのか疑問に思ったのだと語る。
彼によれば、その理由は基本的に州ごとに異なる規制に由来するのだという。そしてそれぞれの州が何らかの形で3階層のシステムを固守している。つまり酒類をあるグループが生産し、別のグループがそれを流通させ、そして最終的に3番めのグループが消費者に向けて売っているのだ。それが意味することは、ビール醸造所(ブリュワリー)がビールをオンラインで販売することで、法的トラブルに巻き込まれる可能性があるということなのだ。
シャーマン氏によれば、150万ドル(約1億6000万円)の資金を調達したTapRmは「既存のライセンスと特定のライセンスを組み合わせたユニークなライセンスを見出すことで」これらの規制を緩和させ、最終的には「これらの過グループを組み合わせることのできる合法的な手段」を提供することができるのだと言う。
言い換えるなら、TapRmは流通業者と小売業者の両方として機能することができるということだ。そこで同社は醸造所と提携してビールを600店以上のバー、レストラン、スーパーマーケットに販売しているが、それに加えて同社のウェブサイトを通して、消費者に直接ビールを販売することも可能にしている。実際、シャーマン氏は、TapRmはオンライン販売を優先する醸造所には報奨金を出すと述べている。
「私たちは、オンラインで販売されるすべての売り上げの一部を売り手に還元します、このため彼らはトラフィックをサイトに導くインセンティブを与えられているのです」と彼は語る。「TapRmのサイトを通して販売すると、量によりますが1ケースあたり2〜8ドル(約330円〜870円)を取り戻すことボリュームに応じて、すべてのケースで2ドルから8ドルを取り戻します」。
シャーマン氏は「日常的にコロナまたはハイネケンを買いに行くこと」で完全に満足できる消費者がいることは知っている。その場合はTapRmで特に買う必要はないだろう。しかし、普通の店では見つけることができない醸造所のファンである場合や、または単に「棚にあるもので満足しなければならないことにうんざり」していて、何か新しいものを試したい気分のときには、オンライン購入が最善の策かもしれない。
TapRmをDrizlyのようなスタートアップと差別化しているのは、実店舗の酒屋向けの配達システムとして機能するだけでなく、クラフト醸造所が消費者に販売できるようにすることに焦点を当てている点だ。
さらに、同社は独自のオンラインマーケットプレイスを運営し、オンラインストア上で様々な推奨ビールの情報を提供している。スタートアップが、競合している醸造所を宣伝していることを顧客が気にしているのではと尋ねてみたが、シャーマン氏によれば醸造所たちはTapRmマーケットプレイスを「小売店の1つ」とみなしているために、特に苦情は寄せられていないと言う。「人気商品を使って、高値をつけたり抱き合わせ販売を行ったりすることは決してありません」。
スタートアップは現在、ニューヨーク州全体で配送を実施しており、ブルックリンでは2時間以内にビールが届く。シャーマン氏は「ニューヨーク市で実績を重ねる」ことに引き続き注力しているが、来年はさらに3つの都市でローンチを行う予定だと述べた。
今回の資金調達は、The Broe Groupが主導し、VU Venture Partners、Branded Strategic Hospitalityなどが参加した。
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(翻訳:sako)