Googleとカリフォルニア大学SF校が薬の処方の危険な間違いを見つける機械学習ツールを共同開発

Google Healthの機械学習エキスパートがこのほど公開したUCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)の計算健康科学部との共同研究は、患者の電子健康記録(EHR)を入力として研究者が作った、普通の医師たちによる薬の処方の一般的なパターンを表した機械学習モデルを記述している。これが役に立つのは、入院患者の約2%が、防ぐことのできた薬物処方の間違いに悩まされているからだ。その間違いが、死に結びつくこともある。

研究者の説明では、このシステムはクレジットカード会社が顧客に詐欺の可能性を警告するのに使っている、機械学習を利用した自動的不正検出ツールのような仕事をする。それらは、過去のクレジットカードトランザクションに基づいて消費者のノーマルな動きのベースラインを作り、それに合わない動きを見つけたら銀行のセキュリティ部署に警報したり、アクセスを凍結したりする。

GoogleとUCSFが訓練しているモデルも、「この患者の現在の状況に対しては異常」と見える処方を見つける。ただしそれは、消費者の行動の異常よりは発見が難しい。なぜなら1人ひとりの患者の状況やニーズは、機密性がある上にきわめて複雑で解明が非常に困難だからだ。

そのために彼らは、匿名化した患者の電子健康記録から、生体信号や検査結果、投薬履歴、診療履歴とそれらの予後などの情報を知る。そんな履歴データを現在の状態の情報と組み合わせてさまざまなモデルを作り、個々の患者の今後の処方の正確な予測を作り出す。

「彼らの最も性能の良いモデルでは、正答率が4分の3だ」とGoogleは説明する。本物の医師が書く処方も、このモデルで採点するとそんなものだそうだ。また、モデルの正解が医師がその患者に処方するであろう薬の上位10に含まれる率は93%と高い。しかし、1位の選択が医師が選ぶ1位ではないこともある。

研究者たちが念を押すのは、モデルは今のところ、ごく普通の処方の予測は正確だが、それから外れたものの良否をすべて正確に指摘することはできない。でも、この種の警告システムを作っていく過程の第一歩としては上出来だろう。

画像クレジット: Akio Kon/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa