日本参入の99designsの差別化は「ブリーフィングツール」、来日中のCEOに聞いた

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photo01東京・台場で開催中の「Slush Asia」の場で、初来日という99designsのCEO、Patrick Llewellyn氏に話を聞くことができた。99designsは2008年創業の世界最大規模のグラフィックデザイン特化型のクラウドソーシングのプラットフォームで、コンペ型のクラウドソーシングの先駆者だ。発注者は99designsにデザインを発注し、応募が集まった中から一番良いデザインを採用することができる。

先駆者とはいえ、今やクラウドソースのプラットフォームは多くある。日本市場で見てもランサーズやクラウドワークスがある。何が違っていて、どう差別化していくのか。

「ブリーフィングツールと呼んでいますが、デザイナ向けツールが充実していることが大きな違いですね」

99designsでは発注元のクライアントが、名刺やロゴ、Webページ、アプリデザインなどを選択して、ウィザード形式で質問に答えていくことでデザインの発注ができるというテンプレートが豊富に用意されている。好みのデザインをマウスで選ぶなど直感的にできる。これはデザイナが発注元へと出向いて要件ヒアリングをするようなプロセスをオンライン化したイメージだ。以下の画面の通り。ちなみに、これは国内だとランサーズが最近事業譲渡を受けたdesignclueが似ている。

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99desingsは2008年にアメリカでサービスをスタートしているが、その後はヨーロッパへ市場を拡大してきた。これまでアジア市場には進出していなかったが、それは何故なのか?

「リクルートから投資を受けることになったのが最大の理由ですね(同社は2015年4月にリクルートからの出資を含むシリーズBの1000万ドルの資金調達と日本進出を発表している)。リクルートとは2年前から接触していましたが、当時はまだ早すぎたということです。99designsは地域ごとのコミュニティ、特にテック・コミュニティを取り込んでいくことが重要で、そのパートナーが必要でした。ヨーロッパは、ベルリンを皮切りに各国ごとに合計12人のカントリーマネージャーがいて、対応言語もドイツ語、フランス語、イタリア語などと増やしてきました。今回、日本市場参入にあたってサポート言語として日本語も追加した形です。中国や東南アジアでなく日本からスタートする理由は、日本ではブロードバンドが普及していてデザインが大きな市場だからです」

コンペ型のクラウドソーシングでは、コンペで負けたデザイナは時間コストを失うことになる。アンフェアさはないのか?

「いえ、もし不採用となって対価が得られないとしても、デザイナは経験とフィードバックが得られます。それに、99designsには非常に多くの大企業が参加していて、すでに仕事も大量にあります。われわれのプラットフォームが仕事を探してきている状態です。デザイナはすぐにクライアントに話すことができるわけです。デザイナの中には仕事探しが好きでない人も少なくないのです。それにリモートで仕事ができるので、デザイナは各国を旅行しながら仕事ができます。しばらく暮らした国や地域でクライアント企業と新たな関係を築くこともできるんです」

ヨーロッパであれば数カ月単位で住む国を変えて顧客を開拓していくような、デザイナにとっては、そんな働き方もあるようだ。