企業のローカルネットワーク(LAN)をクラウド上に作れるPertino–もうハードウェアは要らない

Pertino

Pertinoが今日立ち上げたサービスを利用すると、中小企業などが自社のローカルネットワークを、ハードウェアもケーブルもいっさい使わず、完全にクラウド上に構築できる。

PertinoはAmazon Web Service(AWS)を使ってそのサービスを提供し、ユーザである企業はその上にセキュアなネットワークを大小を問わず作ることができる。かつて、そのようなネットワークを作るためには、高価なネットワーク機器に一財産を投じなければならなかった。今ではPertinoが、世界中にあるAWSのデータセンターでソフトウェアを動かすことによって、それを提供する。

Pertinoのサービスにログインした顧客は、適正なネットワークを構成するデータプレーンに接続することになる。それにより顧客企業は、社内的なネットワークをセットアップしてもよいし、あるいは契約企業や契約技術者たちとの一時的なネットワークを作ってもよい。そのネットワークの上では、ファイルの共有やリモートデスクトップサービスなども提供できる。ネットワークの規模の拡大〜縮小や高速化などの維持管理業務は、“software defined networking (SDN)”(ソフトウェア定義ネットワーク)によって行われる。

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SDNはいわば、ハードウェア上に構築されるネットワークのもろもろの機能をラップして抽象化するソフトウェアの層だ。ユーザはもはやハードウェアを操作せず、そのソフトウェアをネットワーキング装置として利用し操作する。SDNは、エンタプライズ市場に今起きていることを象徴している。ソフトウェアがハードウェアをリプレースして、新しいサービスを、顧客がハードウェアを直接購入していたときよりも安価に、かつよりベターに提供するのだ。今はどの業界にも、この変化が起きつつある。たとえば消費者はもはや、自分で店へ行ってビデオを借りない。自分でDVR機器を持たない。ビデオはすべて、Netflixがストリーミングしてくれる。消費者のところでディスクが陳腐化するように、企業がCisco、Juniperといった企業から買っていた高価なネットワーキング機器も陳腐化する。

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Pertinoは今非公開ベータだが、すでにそのソフトウェアを世界中のデータセンターにインストールしている。まだデータセンターの世界的な遍在という状況がなかった3年前には、同社のようなサービスは不可能だっただろう。最近の2年間でAWSは、シドニー、東京、サンパウロ、北米北西部地域などにデータセンターを開いてきた。そのデータセンターネットワークは、今ではほとんどグローバルだ。アフリカが、まだ弱い。そこでPertinoは、AWSで間に合わない部分をほかのデータセンターで補うつもりだ。

Pertinoは、今雨後の筍し始めているSDN企業の一翼だ。Big Switch NetworksやVMwareが買収したNiciraなどは、それまでCitrixやCiscoなどのベンダが支配していたエンタプライズ市場を、徐々に横取りし始めている。しかし今現在は、SDN企業の多くが顧客企業のデータセンターを利用してSDNのインフラストラクチャを構築している。Pertinoは、それをすべてクラウドでやろうとする…主なターゲットはネットワーキングに大金を投じられない小企業だ。その料金は、人員3名/使用機器3台までが無料、その後利用者が一人増えるたびに10ドルが課金される。Aerohive や、Ciscoが買収したMerakiもクラウドネットワーキングを提供しているが、それらはWiFiのアクセスポイントとコントローラを使う。

ただし、今のPertinoには制約があって、対応ユーザ機器はWindows 7搭載機のみ、モバイルのサポートはない。今年の終わりごろまでには、互換機をもっと広げるそうだ。

Pertinoは、ソフトウェアがハードウェアをリプレースするというディスラプトの好例で、これからの中小企業は、Ciscoなどから高価な機械装置を買わなくても堅牢なネットワークを構築できるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))