米国最大の防衛関連企業であるLockheed Martin(ロッキード・マーチン、LM)は、ロケットエンジンとミサイルメーカーのAerojet Rocketdyne(エアロジェット・ロケットダイン、AR)を負債と純現金を含めて44億ドル(約4550億円)で買収し、宇宙と超音速分野へと注力する。この動きは、宇宙・防衛産業における競争の激化の中で起きた。
LMはプレスリリースの中で、今回の買収によって同社のポートフォリオに推進システムに関する専門知識が加わり、ARの技術はすでにLMのサプライチェーンの 「重要なコンポーネント」 になっていると述べた。同社はすでに、ARの推進システムを航空、ミサイル、射撃管制に利用している。
ARの2019年の売上は約20億ドル(約2070億円)だった。同社はカリフォルニア州エルセグンドに本社を置き、5000人近い従業員を抱え、2013年にGenCorpのAerojetとPratt & Whitney Rocketdyneが合併して設立された。同社は国防総省向けに固体ロケットモーターのほか、戦術・戦略ミサイルを製造している。
ARはUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)のDelta 4とAtlas 5ロケットの上段に搭載されるRL10ロケットエンジンを製造しており、NASAのSpace Launch System用のRS-25エンジンも製造している。
LMの今回の動きは、SpaceX(スペースX)やBlue Origin(ブルーオリジン)などの新規参入企業に対抗して推進技術を強化し、米国政府との宇宙契約を獲得するためのものだ。一方でライバルのRaytheonは米航空宇宙・防衛大手のUnited Technologiesとの合併を準備している。
LMのJames Taiclet(ジェームズ・タイクレット)CEO は声明で、「ARの買収により、国内の防衛産業の基盤における重要な要素が維持・強化され、当社の顧客と納税者のコストが削減されます」と述べた。
ARのEileen Drake(アイリーン・ドレイク)CEOは「LMの一員として、私たちは米国の防衛と宇宙探査を可能にするという共通の目的を加速させるために、同社の豊富な専門知識と資源と私たちの高度な技術を集結します」と述べた。
買収は2021年後半に完了する見込みだが、規制当局やARの株主による承認プロセスが必要となる。
カテゴリー:宇宙
タグ:Lockheed Martin、Aerojet Rocketdyne、買収
画像クレジット:NASA
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(翻訳:塚本直樹 / Twitter)