Airbank(エアバンク)は、オープンバンキングの規制と関連APIを活用することで、企業の持つすべての銀行口座を1つにまとめるスタートアップだ。スタートアップや中小企業をターゲットに、この会社は財務データのアクセス、支払い、キャッシュフロー管理などを行うオールインワン・バンキング・インターフェイスを作ろうとしている。
つい最近Airbankは、250万ユーロ(約3億3000万円)のシードラウンドを完了した。リードしたのはNew Wave(ニュー・ウェーブ)のPia d’Iribarne(ピア・ジリバーン)氏とJean de la Rochebrochard(ジャン・ド・ラ・ロシャブロシャー)氏で、Speedinvest(スピードインベスト)とTiny VC(タイニーVC)も参加した。他にAccelの常任幹部であるCris Conde(クリス・コンデ)氏、AccellのスカウトであるLuca Ascani(ルカ・アスカーニ)氏、およびSequiaのスカウトであるMarc McCabe(マーク・マッケイブ)氏らのビジネスエンジェルが参加した。
この会社の価値提案はごく単純で、1枚のスクリーンショットで説明できる。Airbankでは、まず使っている銀行口座や関連するアカウントのログイン情報を入力する。その後はすべてをAirbankアカウントから確認することができる。
多くの企業が複数の銀行口座を使わなくてはならない理由はいくつかある。会社を登記したときに銀行口座を1つ開設し、融資を申し込むために別の口座を開き、海外取引手数料の安いWise Business(ワイズビジネス)の口座を開き、社員にデビットカードを作るためにRevolut(リボリュート)のビジネスアカウントを作る、といった具合だ。
銀行口座だけではない。Stripe(ストライプ)やPayPal(ペイパル)やShopify(ショッピファイ)で売上を立てている会社も多い。多くの会社幹部がウェブポータルに接続し、データをCSVファイルでエクスポートし、そのファイルをMicrosoft Excel(マイクロソフト・エクセル)にインポートして情報を統合するために多大な時間を費やしている。
Airbankは、複数の口座を横断して残高を自動的に最新状態に保つ。複数の通貨で合計残高を見ることもできる。複数口座にわたって検索ができるので、未処理伝票のある取引を一覧するのにも役立つ。
これは出発点にすぎない。Airbankは利用者のあらゆるバンキングニーズの唯一のインターフェイスになろうとしている。取引を分類し、サプライヤーごとの出費を確認し、定期的支払いを追跡し、すべてをGoogleスプレッドシートやExcelにエクスポートする。近々Airbankを使ってキャッシュフロー予測をしたり、Xero(ゼロ)やQuickBooks(クイックブックス)のデータを使って自動的に突き合わせを行うこともできるようになる。
オープンバンキングは口座統合だけのものではない。適切なAPIを使えば、サードパーティー製品から支払いを実行することができる。そしてAirbankはこれを利用して支払い機能を実現しようとしている。アクセス権を管理することで、Airbankは財務部門の支払いポータルの役割を果たすことができる。
「オープンバンキングのおかげで銀行とのスムーズな統合が可能になりました。私たちはこれを活用してより便利なバンキングと支払いの体験をユーザーに提供することができます。当社の目標はオールインワンの財務ハブを作り、すべての取引勘定を1か所にまとめることです。当社の統合システムを使えば、請求書の支払い、経費管理、FXまで、すべてをかんたんに使える1つのプロダクトの中で行なえます。
他のスタートアップでは、Agicap(アジキャップ)はキャッシュフロー管理に、Libeo(リベオ)とUpflow(アップフロー)はB2B決済に進出しようとしている。Airbankは口座の集約を手始めに、全体論的方法でB2B金融に取り組もうとしている。
このところバーティカルなSaaS(サーズ)製品が好調だ。そしてこの市場の競争が激しいのには理由がある。B2Bフィンテックと特化したSaaS(サービスとしてのソフトウェア)製品にはすべきことがまだ山ほどあるからだ。
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カテゴリー:フィンテック
タグ:Airbank、資金調達
画像クレジット:Stephen Phillips / Unsplash
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(文:Romain Dillet、翻訳:Nob Takahashi / facebook )