クラウド上でレンダリング可能なAdobe Dimension CC

アドビは米国時間4月3日、2Dおよび3Dの合成ツール、Dimension最新版のリリースを発表した。Creative Cloudの最新メンバーだ。新しいリリースには、2つのハイライトがある。1つは、まだベータ段階だが、クラウドレンダリング。もう1つは、AllegorithmicのSubstance Designerから、Substanceマテリアルをインポートできることだ。

Dimensionでのクラウドレンダリングは、クラウドそのものと、その長期的なビジネスについて、アドビがどのように考えているかを端的に表す機能だろう。ユーザーは、この新機能を使って、レンダリングの負荷から自分のマシンを開放し、それをクラウドに転嫁することができる。3Dコンテンツの生成には、どうしても多大な計算能力が必要となる。特に最終的に高解像度の作品に仕上げたいという場合はなおさらだ。最近のノートパソコンやデスクトップ機なら、そうした画像を生成するのに必要な性能は備えている。それでも、多くのリソースが必要となり、一時的にせよマシンの反応が悪くなることもある。ファンも高速に回転する。

クラウドレンダリングを実現するには、アドビとしてもクラウドリソースに対する出費が必要となる。それは安いものではない。そこで、この機能を使用するために、すべてのCreative Cloudユーザーに、15の無料レンダリングクレジットが提供される。1回のレンダリングごとに、1から3クレジットが必要となる。これは、画像の品質によって異なる。今のところ、この15のクレジットが、ユーザーが手にできる最大のものだ。ベータ期間中は、クレジットを買い足すことはできない。アドビは、ベータ期間終了後も、ユーザーに無料のレンダリング機能を提供したいと言っているものの、CCの有料メンバーが何クレジットもらえるのか、クレジットを追加購入する場合の料金体系はどうなるのか、などは明らかにしていない。

ベータ期間中は、画像サイズは2000×2000に制限されている。自動ノイズ除去は無料で利用できる。

この技術をアドビがどう扱っているかを見れば、ビデオのレンダリングなど、他にもコンピュータにとって重い処理に応用しようと考えていることがよく分かる。

Allegorithmicのサポートも、まったく驚きではなかった。アドビは、すでにこの1月に同社を買収していたからだ。Allegorithmicは、テクスチャやマテリアルを作成するツールを開発している会社で、ゲームのクリエーター、視覚効果アーティスト、デザイナーなどに利用されている。Dimensionは、Substanceのネイティブなファイルフォーマットをサポートするようになった。そのマテリアルは、スマートテクスチャと呼ばれるパラメータベースのものなので、利用するシーンに応じて簡単に調整できる。

その他の新機能としては、3Dモデル上の高解像度グラフィックの品質向上がある。たとえば、3Dのボトルの上にロゴを貼り付けるような場合だ。従来、多少ピクセルが荒い感じに見えていたのだが、今では高い解像度が維持されるようになった。さらに、DimensionもCCライブラリをサポートするようになった。これは、アドビのCreative Cloudに含まれるアプリ間でアセットを共有するためのサービスだ。たとえば、Photoshopで画像を編集すると、更新された画像がDimensionでもただちに利用可能になる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)