Appleが自前のバッテリー内蔵iPhone 6s用のケースを投入してきた。名前をiPhone 6s Smart Battery Caseという。利用すればiPhone 6sのバッテリー寿命が最大で25時間伸びるのだそうだ。ホワイトとチャコールグレイのモデルが用意されている。価格は99ドル(日本では11800円)で、すでにAppleのサイトからオーダーできる。
素材は概ねシリコンだ。バッテリー性能については、18時間から25時間の延長効果があるとしているが、容量については明らかされていない。
本体との接続は、サードパーティーの製品と同様にLightningコネクタを利用する。ケースの充電にもLightningケーブルを用いることができるようになっている。サードパーティー製はmicroUSBを使うものが多いので、まずは持ち運ぶケーブルを1本減らすことができるわけだ。ちなみにiPhone 6でも利用可能だが、6 Plusや6s Plusのためのものは用意されていないようだ。
ところでこのバッテリー内蔵ケースは背面部分に美しいとは言えない膨らみをもつ形態になっている。デザイン的にはMophieのJuice Packの方が優れていると言えるかもしれない。もちろんAppleとしては、バッテリー持続時間を増やしながら、カメラやマイクなどにきちんとアクセスできるスタイルを考案したのだともいえる。
ちなみに、Apple純正ケースには、ケースを装着することによって電波の受信状況を悪くすることがないようにアンテナも内蔵している。
もちろん、予備バッテリー付きのiPhoneケースはサードパーティーから数多く供給されている。但しAppleは自社プロダクトのメリットを十分に活用しているようだ。サードパーティーに公開していない仕組みを通じて、自社プロダクトの魅力を高めているのだ。
具体的にはどのようなところか。
たとえば下の(左側の)スクリーンショットを見ていただきたい。ロック画面にて、ケースの充電状況を表示しているのだ。
ケース側と内蔵バッテリー側の双方にすいてバッテリー残量を示していることに注目してほしいのだ。サードパーティーのバッテリー内蔵ケースでも、アプリケーションを使えば同様の仕組みを備えることはできる。ただ、ロックスクリーンで残量表示を行っているのはApple製品のみだ。さらに(右側の写真を見て欲しいのだが)通知画面にても、バッテリーの残量についてきちんと表示できるようになっている。
ところで、サードパーティー製のケースが数多くリリースされている中で、Appleが自社プロダクトを提示する理由はどこにあるのだろう。簡単にいえば、iPhoneオーナーからより多くの利益をあげようということなのだろう。MophieやAnkerのバッテリーを扱うよりも、より大きな利益につながる。
iPad用のSmart CoverやSmart Caseを扱うのと同じ意味だとも言えよう。iPadを使う人の多くはいずれかのケースを購入しており、Appleになかなかの利益をもたらしている。
Appleがアクセサリーに注力しているという事実もある。iPad Pro用のApple Pencilは、アクセサリーの存在でプロダクトの魅力を高めるのに成功しているといえるだろう。キーボード、タッチパッド、およびマウス、さらにはApple Watch用の充電ドックやiPad Pro用キーボードなどもリリースしている。サードパーティー製品の開発を阻害しているという見解もあるだろう。しかし他社製品にはない魅力を備えている面もあり、また他社製品が利用できないような状況を作っているわけでもない。Appleのやり方を非難することはできないだろう。
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(翻訳:Maeda, H)