ポインティングスティック&メカニカルスイッチで一心不乱に入力できるQuattro TKL、Macでも使ってみた

スマートフォンやPC関連製品の卸売販売、製品売買、貿易、正規代理店業務などを手掛けているアーキサイトは、自社ブランド「ARCHISS」(アーキス)より、ポインティングスティックを搭載したテンキーレスメカニカルキーボード「Quattro TKL」(クワトロ テンキーレス)を2020年7月16日に発表、同日より販売を開始している。日本語仕様または英語仕様に、4つのメカニカルスイッチを組み合わせた8モデルが用意されており、価格はオープンプライス(実売価格1万6200円前後)だ。

筆者はキーボードとマウスはPCの最重要パーツであり、体感的な処理速度すら変えると考えている。また仕事柄、キーボードには特にこだわりがある。そこで今回は主に使い勝手にスポットを当ててレビューしていこう。

アーキサイト「Quattro TKL」の実売価格は1万6200円前後

テンキーレス&ポインティングスティックで省スペース

Quattro TKLは静電容量式ポインティングスティックを搭載したメカニカルキーボード。テンキーレスに加えて、ポインティングスティックを搭載することでマウスが不要となるので、省スペースに設置・操作できることが最大の特徴だ。

本体サイズは幅360×奥行き140×高さ26~36mm。重さは剛性の高い鉄板シャーシが内蔵されているため、ちょっと重めの975g(ケーブルを除く)。対応OSはWindows 10で、接続方式はUSBケーブルによる有線のみだ。

本製品には日本語JIS配列(91キー)、英語US ANSI配列(89キー)それぞれに、軽いキータッチとクリック感がある「茶軸」、軽いキータッチとクリック感に加えて軽いクリック音が出る「青軸」、押圧力がキーストロークに応じて直線的に変化する最も軽いキータッチの「赤軸」、赤軸と同様の軽いキータッチに加えて底打ちの打鍵音を低減している「静音赤軸」の4種類のCHERRY MXスイッチが組み合わされている。好みや環境に応じて、最適な一台を選べるわけだ。

日本語JIS配列(91キー※かな印字あり)

  • AS-KBQ91/CGBA(CHERRY MXスイッチ青軸搭載)
  • AS-KBQ91/TGBA(CHERRY MXスイッチ茶軸搭載)
  • AS-KBQ91/LRGBA(CHERRY MXスイッチ赤軸搭載)
  • AS-KBQ91/SRGBA(CHERRY MXスイッチ静音赤軸搭載)

英語US ANSI配列(89キー)

  • AS-KBQ89/CGB(CHERRY MXスイッチ青軸搭載)
  • AS-KBQ89/TGB(CHERRY MXスイッチ茶軸搭載)
  • AS-KBQ89/LRGB(CHERRY MXスイッチ赤軸搭載)
  • AS-KBQ89/SRGB(CHERRY MXスイッチ静音赤軸搭載)

なおキーピッチは全モデル19mmだが、キーストロークは茶軸、青軸、赤軸が4.0mm、静音赤軸が3.7mmとなっている。

今回は日本語JIS配列(91キー)、CHERRY MXスイッチ茶軸搭載の「AS-KBQ91/TGBA」を借用した。英語US ANSI配列(89キー)もラインアップされている

背面にはDIPスイッチを用意

SW1では左CtrlとCapsLock、SW2では左Altと左Windows、SW3では左WindowsとFn、SW4ではひらがな/カタカナとFnキーを入れ替え可能だ

本体背面(上)と本体前面(下)

USBケーブルは中央、左、右から取り出し可能。端子はMini USB Type-Bなので、ケーブルを変更する際には選択肢が少なくなる

右側面(左)と左側面(下)

ラバーストッパー付きのチルトスタンドを備えており、キーボードの角度を変更できる

Quattro TKLはDIPスイッチで左CtrlとCapsLockなどを入れ替えられるが、このカスタマイズに合わせてキーキャップが用意されている。また、エラストマー樹脂を採用したポインティングスティックはオレンジ色キャップ(凸型×2、凹型×2)、紫色キャップ(凸型×2、凹型×2)が付属する。色が異なっても使い心地は変わらない。それぞれ4個あれば当面困ることはないだろう。

パッケージには本体以外に、ユーザーマニュアル兼保証書、USBケーブル(1.8m)、キー引き抜き工具、交換用キーキャップ、ポインティングスティック用交換/スペアキャップが付属

交換用キーキャップは、ESC、CapsLock(段差あり、LED窓なし)、Ctrl(段差あり、LED窓なし)、Ctrl(段差なし、LED窓あり)、CapsLock(小)、無変換、変換キーが用意されている

ポインティングスティックはオレンジ色キャップ(凸型×2、凹型×2)、紫色キャップ(凸型×2、凹型×2)が用意されている

ポインティングスティック周囲のキーを打つのには慣れが必要

打鍵感については、自分に合ったキースイッチを選べばまず満足できるはず。ただしCHERRY MXスイッチ搭載キーボードを触ったことがないのなら、必ず実機を試したほうがよいと思う。スペック的には、6キーまでの同時押しが可能な「6キーロールオーバー」と、複数キー同時押しが可能な「Nキーロールオーバー」をキー操作で切り替え可能なので、文章入力にもゲーミング用途にも活用可能なキーボードだ。

ポインティングスティックの操作性もいい。筆者はデフォルトの設定でちょうどよかったが、違和感があれば「マウスのプロパティ」→「速度」で調整できる。

注意しておきたいのがポインティングスティック周囲の「G」「H」「B」キーを打つのに少し慣れが必要なこと。これらのキーを打つときに、最初のうちは指がポインティングスティックに引っかかってしまうことがあった。

「ThinkPad」の「トラックポイント」で戸惑うことはなかったので、キーストロークが深いぶん正確な打鍵が要求されるのだろう。とはいえ、筆者は30分ぐらいで誤操作しなくなったので過剰に心配する必要はないと思う。

左クリック、右クリックはスペースキーの左右に配置されている

ポインティングスティックに対して、左クリック(L-Button)と右クリック(R-Button)の位置を揃えたほうがよかったと思う。右クリックがやや右にずれているのが気になった

ポインティングスティックは凹型、凸型が用意されているが、凹型のほうが指の引っかかりがよく操作しやすい

自己責任となるがMacでも利用できる

Quattro TKLの対応OSにmacOSは入っていない。しかし一般的なWindows用キーボードと同じく、Macに接続すれば一応文字入力は可能で、ポインティングスティックと左右クリックもマウスと同様に動作する。難点は「英数」「かな」キーがないことだが、「Ctrl」+スペースキーで入力ソースは切り替えられる。自己責任となるが、Macでポインティングスティックを使いたい方はぜひ試してみてほしい。

ホームポジションから手を動かさずに、マウスカーソルを操作できるポインティングスティックを搭載したQuattro TKLは、主なPCワークがテキスト入力の方に絶好のデバイスと言えるだろう。

キーボード側の端子がUSB-Aなので、最近のMacに接続するにはUSB-Cに変換するアダプターか、USBハブが必要になる