民間初の月面貨物輸送を行うIntuitive Machinesがその着地点と打ち上げ日を決定

民間企業として初めて、NASAに代わって月への科学機器輸送を担当するIntuitive Machines(インテュイティブ・マシンズ)が、着地点とミッションの目標日付を決定した。同社の月面着陸機、Nova-C(ノヴァC)は、Vallis Schröteri(シュレーター谷)と呼ばれる月面最大の谷への着地を目指している。そこは比較的平坦で十分な太陽光が当たり、着地を妨げる大きなクレーターや岩石はない。

Intuitive Machinesは2021年10月21日の打ち上げを目指しており、不可能だった場合のための予備日も決められている。同社はSpaceXと契約し、Nova-CをFalcon 9(ファルコン9)ロケットでNASAのフロリダ州ケネディ宇宙センターから発射する。このミッションではNASAの科学実験機器(有人月面探査を目指すアルテミス計画準備のための情報収集に使用される)だけでなく、商業貨物もいくつか運搬する。

Intuitive Machinsが本ミッションを与えられた商業月面輸送サービス(CLPS)プログラムの主目的は、NASAがアルテミス計画のための準備を行ったり資材を運ぶパートナーを民間企業の中から探すことにあり、そのパートナーがミッションの費用を負担してくれる他の民間組織を集めてくれることにも期待している。現在NASAは、Jim Breidenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官の下、公民連携を積極的に推進する方針を打ち立てており、宇宙の商業化を通じて費用対効果を追求している。

Nova-Cに積載される主要貨物の1つは、高精度自動着陸システムで、着陸機が月面の障害物を回避するために設計されている。これは2024年(NASAのアルテミス計画が延期されなければ)に人間が再び月面に降りるときにも利用される極めて重要なシステムだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ホワイトハウスが新たな「国際月協定」推進を示唆

国際社会は宇宙や月の資源を収集、利用することに関する規則の制定で何十年も苦闘を続けている。米国をはじめとする宇宙開発国はすべて、最もよく知られた試みである1979年の「月協定」を却下したが、月探査の新たな競争によって、ホワイトハウスは新しい国際協定を受け入れる意志があることを発表するにいたった。

米国時間4月6日に発行された大統領命令でトランプ政権は 、これを「宇宙資源の国および民間による回収と利用の国際的支援の促進」を進める政策であることを示唆した。

命令は何かを強制するものではなく単なる政策の表明なので、第一歩にすぎない。しかしこれは、米国が宇宙資源の利用に関する新たな枠組みづくりを進める意思を示すものだ。

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ひとたび地球を離れた後、どの法律(財産法、国境協定など)が適用されるかは複雑な問題だ。そうでなくても、この件に関して数多くの法律や規則が、大きく異る宇宙時代とさまざまな形態の冷戦の中で検討、想像されてきた。現在の宇宙ビジネスのブームや、月あるいは小惑星などの近地球天体の差し迫る植民地化を考えると、新たな規則が必要であることは明らかだ。

現状はといえば、月で収集された物、月に持ち込んだ物、他の国と分けあった物などに関する正式な法的見解はないも同然だ。いったい地球のどの機関が論争を仲裁するのか? 商業採掘によって月面の表土が軌道に吹き飛ばされ月の外見が損なわれることをどうやって防ぐのか?

通信衛星が空を埋め尽くすことを巡る規則がないために世界中で怒号が飛び交っているのと同じように、何か手を打つ必要があることは明らかだ。しかし、ルールの範囲さえ問題なる。月における財産権のようなものを検討する必要はあるのか? 問題の複雑さを踏まえると、その規則が目的としている紛争の解決に間に合うのか? 必要ないというならそれはなぜか? だったらいつ考えるのか?

想像できるように、米国が始めようとしていることは恐ろしく複雑な解決困難な問題であるが、遅かれ早かれやらなくてはならない。

そのために、米国は「宇宙資源の国および民間による回収および利用の安全で継続可能な運用に関して、諸外国との共同声明と二国間、多国間の合意を目標に努力」すると、大統領命令に記している。

高官レベルの話し合いがすでに進んでいることは間違いない。さもなければ、宇宙規制への新たなアプローチ指示を公に宣言するという手段を政権が選ぶはずはない。宇宙の商業利用を計画している各国が参加することは間違いないだろう。だがそれは、交渉が単純で簡単であるという意味ではない。

画像クレジット:NASA

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