データ分析統合プラットフォーム開発のAvoが3億円超を調達

企業がチーム間のデータ品質をより良く管理できるように支援するスタートアップであるAvoは米国時間9月3日、GGV Capitalが主導し、Heavybit、Y Combinatorなどが参加する300万ドル(約3億2000万円)のシードラウンドで資金調達したことを発表した。

同社の創業者で、現在はアイスランドに拠点を置くStefania Olafsdóttir(ステファニア・オラフスドッティル)氏は以前、一時は世界中に1億人のユーザーを抱えていたモバイルゲームのQuizUpでデータサイエンスの責任者を務めていた。「私はデータサイエンス部門を立ち上げる機会を得ました。同部門は、人々が正しい質問に回答し、データに興味を持つように支援するという文化的な側面がありました。一方で、インフラストラクチャやツール、パイプラインのセットアップの技術的な部分を支援するという一面もあります。技術的な部分を支援することで、人々は必要なときに正しい答えを得ることができます。私たちは独自開発の製品分析ツールと文化をいち早く取り入れていましたが、データの信頼性を維持するのには非常に苦労しました」と同氏は続ける。

画像クレジット:Avo

企業が製品やチーム全体でより多くのデータを収集するようになると、扱いにくくなり、異なるチームが異なる方法、あるいは単に異なるタグをを使用するようになるため、データパイプライン全体で非効率になってくる。

QuizUpでの経験についてオラフスドッティル氏は「当初、信頼性の低いデータは意思決定を遅らせていました。なぜなら、人々がそのデータを理解しておらず、質問する必要があったからです。しかしそれが原因で、間違ったデータに基づいて間違った製品アップデートをローンチしてしまいました。時が経つにつれて、その問題が明らかになってきたのです」と振り返る。

 

「組織がこの問題の大きさを認識すると、事実上盲目になってしまいます。データの信頼性が低いため、競合他社は市場をリードしているかのように見えることもあります。そういった場合、通常は非効率なプロセスとツールを自分たちで修復して、部分的に法的責任のレベルを高めることになる」と同氏。この面倒な作業には通常、プロダクトマネージャーとスプレッドシートが必要になる。

Avoチームは、この問題を解決するためのより良いプロセスを構築することを目指した。オラフスドッティル氏と共同創業者は、いくつかの回り道や他製品のアイデアを経てY Combinatorプログラムに参加していた時期に、まさにこの問題に焦点を当てるために再編成された。

Avoは開発者、データサイエンティスト、プロダクトマネージャーに、データパイプラインの開発と最適化のための共有ワークスペースを提供する。「優れた製品分析は、これらの部門横断的な利害関係者グループ間のコラボレーションの成果です」とオラフスドッティル氏。Avoの目標は、これらのグループに分析計画と管理のためのプラットフォームを提供することだ。また、分析イベントの作成方法に関する全社的基準を設定することもできる。

これが完了すると、Avoは開発者にタイプセーフ(型安全)なアナリティクスコードとデバッガを提供し、これらのスニペットを取得して数分以内にコードに追加できるようにする。一部の企業では、この新しいプロセスにより、特定の分析問題の修正に10時間を費やしていたのが、1時間以下にまで改善されたそうだ。

「ほとんどの企業は、自分たちのデータを完全に信頼できないことを心の底ではわかっている」とAvoの開発チームは説明する。しかし、この問題を解決する方法を知らないことも少なくない。この問題を解決するためにAvoは本日、Inspector製品をリリースした。このツールは、企業のイベントストリームを処理して可視化して潜在的なエラーをハイライトする。これらのエラーは、型の不一致、プロパティの欠落、またはその他の矛盾などが考えられる。さまざまな意味で、これらの問題を正確に回避することを目的としたサービスにとって、素晴らしいセールスツールであることは明らかだ。

「ほとんどの企業は、自分たちのデータを完全に信頼できないことを「心の底から」知っている」とAvoの開発チームは主張する。しかし、この問題を解決する方法を知らないことも少なくない。これを助けるためにAvoは本日、Inspector製品をリリースした。このツールは、企業のイベントストリームを処理・視覚化し、潜在的なエラーを強調表示する。具体的には、タイプの不一致、プロパティの欠落、その他の不一致などのエラーが考えられる。Inspectorは多くの点で、データ分析のエラー問題を正確に回避することを目的とした優れたツールといえる。

Avoの初期の顧客の1社は、ラテンアメリカの配送サービスRappiだ。「今年は10万人の新しい顧客が配達とカービングサイドピックアップをデジタル化するという需要に応えるために規模を拡大しました。新しいソフトウェアをリリースするたびに問題となっていたのは、分析結果が壊れてしまうことでした。これは、当社のJiraチケットの25%を占めていました」とRappiのエンジニアリング責任者、Damian Sima(ダミアン・シマ)氏。「Avoでは、分析スキーマを事前に作成し、データ分析時の問題を迅速に特定できるので、時間の経過とともに一貫してデータの信頼性を確保できます。我々は顧客がビジネスで毎月1200万人以上のユーザーにサービスを提供するのを支援できました」とのこと。

Avoはこの段階のほとんどのスタートアップ企業と同様に、今回の新たな資金調達を利用してチームを構築し、製品の開発を継続する予定だ。

「次の1兆ドル規模のソフトウェア市場は、開発者があらゆる業界のデジタルトランスフォーメーションを実現するために使用するツールを決定することで、ゼロから推進されることになるでしょう。Avoは、製品リーダーのためのスキーマとデータ分析の管理を維持しながら、エンジニアに実装の容易さを提供します」とGGV CapitalのマネージングパートナーであるGlenn Solomon(グレン・ソロモン)氏は語る。「Avoへの投資は、強い影響力を持つソフトウェア開発者と、新たな使命を持つ製品リーダーへ向けてのものです」と続けた。

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day2日目のスタートアップ88社(5)

米国時間3月19日は、Y Combinatorが開催した、2019年冬クラスの2日間のDemo Day後半だった。1日目は85以上のスタートアップがステージに上がりピッチを行った。2日目も同様に多数のピッチが行われた。

以下に、2日目に発表した全社と、そのプレゼンテーションに対する私たちのメモを紹介する。

Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day 2日目のスタートアップ
・Part 1:パイオニアステージ(1)
・Part 2:パイオニアステージ(2)
・Part 3:パイオニアステージ(3)
・Part 4:パイオニアステージ(4)
・Part 5:ミッションステージ(1)※この記事
・Part 6:ミッションステージ(2)
・Part 7:ミッションステージ(3)
・Part 8:ミッションステージ(4)

ミッションステージ

WeatherCheck
保険会社ために気象被害額を計算する。同社はローンチ以来、保険会社の全体の請求処理費用を削減する手助けをして、すでに5カ月のうちに年間予約で470万ドルを確保している。このサービスを利用するためには、保険会社は管理する資産に関するデータをアップロードする必要がある。WeatherCheckは天気を監視し、例えば資産がひょうで損傷した場合などに保険会社に通知を送信する。

EatGeek
創業者たちは、彼らの直前のスタートアップをGrubHubに売却した後、レストランがもっと大規模なケータリング注文を受け付けることができるようにしたいと考えていた。ほとんどのレストランは、イベントへのケータリングを狙う人たちには焦点を当てていない。EatGeekは特にそうした大規模なオーダーを求めている観客たちに対してレストランを結びつける。店舗はシステムを通過するすべての注文に対して20%の手数料を負担しなければならない。

Avo
分析機能を実装する際の人的ミスを防止する。同社によれば、人間は分析機能の実装が苦手なのだという。エンジニアとデータサイエンティストで構成される彼らのチームは、以前Sequoia Capitalに支えられ1億人のユーザーを獲得した、QuizUpを構築したチームだ。Avoはさまざまな企業の中で用いられているが、その中にはSkip Scootersも含まれている。

Adventurous Co
拡張現実スカベンジャーハント(モノ集め競争)を開発している。これは実際の俳優と提携し、モバイルアプリを使って、通常の画面で遊ぶものよりもはるかに魅力的な対話型家庭ゲームを生み出すことができる。1人あたり15ドルで45~60分の体験が行える施設をサンフランシスコでローンチした。Adventurousに関しては、ここでも記事にしている

Globe
「デリバティブのためのCoinbase」とも自称するこのスタートアップは、高頻度トレーディングをサポートする、暗号通貨デリバティブ取引所を構築した。このプラットフォームにより、暗号通貨保有者はグローバル市場とビットコインを使って取引を行うことができるようになり、機関投資家が利用するデータへのアクセスも可能になる。

XGenomes
時間とお金を節約できる低コスト高効率のソリューションで、DNAシーケンシングを変革することを目指している。同社のソリューションは、スライドガラス上に検体を置き、個々のシーケンスを識別したうえで、機械学習を利用して高解像度の写真をつなぎ合わせて画像を完全なDNAシーケンスへと組み上げる。オックスフォードとハーバードのチームは、XGenomesが現在ターゲットにしている市場は、65億ドルを超えていると言っている。

Habitat Logistics
消費者向けモバイルアプリを持っていないスタートアップだが、レストランのデリバリーを手助けすることを狙っている。競合他社との違いは何だろうか?同社は、顧客の家から10分以内にあるレストランからのデリバリーのみを引き受けることで、長距離デリバリーに必要な時間を不要にする。レストランはデリバリーが必要になった時点でHabitatに通知を送り、それを受けて会社はデリバリーのためのドライバーを派遣する。Habitatによれば、毎月17%の成長を見せており、1回の配達ごとにレストランに課金することで、現在月額11万ドルの収益をあげている。

WorkClout
製造業者がまとまった製品を製造する際の、生産管理を支援するソフトウェアを開発している。チームによれば、全製造業者の56%が、まだ紙とExcelで管理を行っていると言う。WorkCloutは非能率を見つけてワークフローを改善する作業をはるかに簡単にする。チームはまずパッケージ製造分野の顧客に焦点を当てており、次に食品および飲料会社と繊維製造会社に取り組むことを目指している。

PadPiper
月決めの住居と適切なルームメイトを見つけるためのマーケットプレイス。同社は、インターンが住むための適切な場所を探すことを支援し、同時に適切なルームメイト探しも支援する。インターンのための住居探しマーケットに対する支援を求めている大企業と提携している。創業者たちは、かつて学業上の理由から5年間で35回引っ越しをしなければならなかったが、その際にCraigslistやその他のオプションにはがっかりしたと述べている。PadPiperの月の収益は1万ドルで、毎週37%成長しているという。

DevFlight
オープンソースソフトウェアのビジネスモデルを改革したいと考えている。彼らが構築しようとしているマーケットプレイスは、オープンソース開発者と企業の橋渡しをするものだ。DevFlightは、企業ならびに開発者と協力して、両者がプロジェクトのスコープに対して理解できるような計画を策定する。DevFlightは取引に対して25%の手数料を請求する。

Handle.com
未払いの建設請求書の回収プロセスを自動化する。顧客の支払いが遅れると、建設会社はしばしば自分の仕事に対してお金を支払うことを余儀なくされる。Handleによれば、未払いの建設請求書は、毎年1040億ドルにも及ぶ。Handleは6週間前にローンチし、現在月に2万2800ドルの収益を得ている。創業者たちは以前、Andreessen Horowitzが支援するTenfoldという会社を起業した者たちだ。

Y Combinatorの2019年冬のDemo Day初日の有望スタートアップ10社

[原文へ]

(翻訳:sako)

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