Googleマップのエンジニアが作った公共スペースを安全に再開するためのアプリ

新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威は続くが、その中にあって経済活動を円滑に再開しようと提案、あるいは開発されているテクノロジーは多数ある。そうした取り組みのひとつが、Keyholeの共同創業者だったBrian McClendon(ブライアン・マクレンドン)氏から米国時間5月22日に発表された。Keyholeは2004年にGoogleに買収され、Google EarthとGoogleマップのベースになった企業だ。マクレンドン氏が新たに始めたCVKey Projectは認可を受けた非営利団体で、症状を自己診断して一時的なQRコードを生成するアプリをリリースする。そのQRコードは、例えば図書館など、このプロジェクトに参加する各地の施設に入るための健康状態の「パス」として今後機能する。

CVKey Projectは、最終的には公共のスペースを安全に再開するのに役立つ一連のアプリをリリースしたい意向だ。先日、AppleとGoogleがリリースした濃厚接触通知APIを利用して、CVKeyのアプリにも通知機能が組み込まれるかもしれない。CVKeyは、現在の政府のガイドライン下でオープンしている施設と、その施設の新型コロナウイルス感染拡大防止ポリシーに関する情報を提供することも計画している。

CVKeyのアプローチの中心となるポイントは、アプリユーザーが共有スペースに入っても「安全な」人であると確認するために、アプリが生成するQRコードを利用することだ。マクレンドン氏によれば、利用者のプライバシーには配慮してシステムを設計しているという。個人を特定する情報や健康に関するデータが保管されるのはユーザーのデバイスのみで、ユーザーの同意なしにデータがクラウドサーバーにアップロードされたり共有されたりすることはない。共有した結果どうなるかという情報も提供される。ユーザーは自発的に自分の健康に関する情報を提供し、アプリが位置情報を求めることは一切ない。インターネットに接続していなくてもほとんどの機能が動作するとマクレンドン氏は説明している。

自分のQRコードを生成してこのシステムに参加している施設でスキャンすると、施設のポリシーに基づいて、ユーザーが中に入ってもいいかどうかがシンプルなバイナリで示される。施設側には、利用者の健康に関する情報は提供されない。コードが伝えるのは症状に関する項目(症状やその時期など)だけだ。その症状が公共スペースのポリシーに反していないかどうかが判定され、それによってアプリが入場の可否を判断する。

マクレンドン氏は、Google EarthやGoogleマップ、Uberで一緒に仕事をしていたManik Gupta(マニク・グプタ)氏とWaleed Kadous(ワリード・カドゥス)氏、そして公衆衛生の専門家で公共機関や民間組織で長くリーダーを務めてきたMarci Nielsen(マルシ・ニールセン)博士とともにCVKey Projectを立ち上げた。

CVKey Projectのアプリはまもなくリリースされる予定で、同プロジェクトではこのプログラムに参加するパートナーを募集している。新型コロナウイルス対策として作られているものはいずれも単純な解決策ではなく、それはこのプロジェクトも同様だが、感染拡大に対応するための大規模な戦略の一部となる可能性はある。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)