東大発のAgIC、インクジェットプリンターをプリント基板プリンターに変えるDIY KitプロジェクトをKickstarterで展開中

電子工学プロダクトのプロトタイプを作成するのに、ブレッドボード上にコードを這い回らせることすら無用にしてしまうプロダクトがKickstarterに登録された。

名前をAgIC Printというプロダクトで、以前にTechCrunchで紹介したアイデアを組み合わせたようなものとなっている。その2つとは、プリント基板を印刷するEx1 3D printerで、もうひとつは伝導インクにて回路を描くCircuit Scribeだ。これらプロダクトの直系というわけではないが、AgIC Printは、家庭用のインクジェットプリンターで伝導インクを使い、文字通りのプリント基板を作ってしまうプロダクトだ。

AgICはペンで利用することもできるようになっていて、その場合は前述のCircuit Scribeボールペンと同様の形で回路を描くことができる。

但し、このプロダクトの主な特徴は、やはりインクジェットプリンターをプリント基板プリンターに変身させてしまうことだろう。しかも299ドルという低価格にて変身させることができるのだ。299ドルのキットには以下のものが含まれる。

フィルターとシリンジ(注射器) x3 + 伝導シルバー・ナノパーティクルインク 25ml + 専用コート紙(A4) x20 + 伝導グルー(シリンジ3本分) + 伝導マーカー x1 + 伝導テープ x3

以上がプリント関連のものだが、これにさまざまなパーツがついてくる。

サーフェスマウントタイプのICソケット x4、電池 x2およびマウントケース、mbed MCU(LPC1114FN28) x2、サーフェスマウント・スライドスイッチ x2、チップレジスター x50+、チップLED x50+、そしてサーフェスマウント・ピンヘッダー(20×2ピン)

AgICのDIYキット購入者は、プリント基板プリンター化するためのインクジェットプリンターを自前で用意する必要がある。専用のインク注入器の利用できるプリンターが推奨される。また既に通常の印刷用途に利用しているものではなく、新たなものを購入した方が良いとのこと。既存のものを利用する場合には、内部に残ったインクを完全に除去する必要がある。

599ドルを出せば「完全版」を手に入れることができる。こちらにはインクジェットプリンターも同梱されている。この、プリンタ同梱版であっても、Kickstarter上で1499ドルであったEx1 PCBプリンターよりもはるかに安価となっている。

但し、Ex1の場合は木材、ガラス、プラスチック等、紙以外の素材にも印刷することができる。また印刷用回路を設計するためのソフトウェアも開発中で、よりトータルな用途への展開を考えているようだ。AgICの方はハードウェアプロダクトを提供するもので、設計にはAdobe IllustratorやCorel Drawなどを使うことになる。

AgICの目標調達額は3万ドルだが、既に2万5000ドルが集まり、締め切りにはまだまだ多くの日が残されている。目標額を調達できれば(おそらく調達できるだろう)、キットは8月までに出荷を開始したいとしている。

訳注:AgICは東大発ベンチャーで、ホームページはこちらになります。

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(翻訳:Maeda, H


PCBを作れる安価な3DプリンタEx1, Cartesian Co.がKickstarterで資金募集中

3Dプリンタはプラスチックの小さなウィジェットを作るのには良いけど、もっと複雑なもの、たとえば電子回路の基板なんかにはどうかな? オーストラリアと合衆国にまたがるスタートアップCartesian Co.は、安価な3DプリンタでPCB(プリント回路基板)作ることを考え、Ex1と名づけたそのプロトタイプを市販の製品として完成させるべく、Kickstarterで3万ドルの資金を募集している。

回路基板をプリントできる3Dプリンタは、これが初めてではないが、彼らが主張するのは、価格をメーカーフレンドリなレベルにまで下げたことだ。“これは世界初の、ホビイストでも買える回路基板プリンタ”だ、と彼らは言っている。“インクジェット方式だけど、これまで5万ドル以下のPCBプリンタはなかったのだ”。

Kickstaterの支援者は、最初が899ドル、次が1199ドル、そのあとは1499ドルでEx1を入手できる。そして最後が、1999ドルだ。それでも、5万ドルに比べれば安い。

Ex1は、回路を試作しようとするときの、ブレッドボードよりはましなもの、を目指している。手彫りでPCBを作る方法もあるが、相当に難しい。Ex1を使えば、便利、かつ、気軽、かつ安価に回路を試作できる。その価格は、学校やワークショップや子どもたちの利用を想定して決められた。電子工学で遊ぶ子どもが増えることを、彼らは期待している。

“ふつうの3Dプリンタが機械的/物理的なプロトタイピングにもたらしたもの(個人やホビイストにできる、“メーカー”化)を、電子回路にもたらしたい”、と彼らは言う。“3Dプリンタは今みたいにポピュラーになる前に、数十年の歴史を背負っている。誰でも買えるようになったのは、ごく最近だ。高度な技術製品を大衆化すること、これが、これまでなかった完全に新しい種類のプリンタにわれわれが取り組んだ理由だ”。

Ex1は、ナノサイズの銀の微粒子をインクジェット方式で基板材の表面に吹きつけて、回路を形成する。そのとき銀に加える添加剤が、接着材であると同時に、回路の伝導性の鍵だ。

基板材は、紙、プラスチック、ステッカー、布、シリコン、さらに木、ガラス、セラミックなど、さまざまなものを試してきた。また“どんな面の上にでもプリントできる”ための、コーティング材も作っている。

まず個々の部品(抵抗器、コンデンサ、etc.)は、ハンダ付けまたは伝導性のある糊で基板材に取り付ける。伝導性のある糊は、ハンダごてを使わないので、Ex1をさらに便利に気軽に使える。

またPCBの設計そのものを単純化するために、Ex1のソフトウェアは、回路図として描いたものをそのままプリントする。

“ふつうのユーザはCADの名人でなくてもよい。ネット上の何百万という既存の設計の中から、自分の目的に合ったものをダウンロードすればよい。うちのプリンタも、それと変わらないぐらい簡単で、今まで誰もできると思わなかったことができるのだ。そのためのインフラストラクチャはすでにあるから、今後はコミュニティを大きくして、もっともっと容易で簡単なものにしていきたい”。

“みんなに、物作りの未来を楽しんでほしい。ハッカーたちも、学校の児童生徒も、このプリンタがあればそれができるんだ。たとえば中学や高校の教室で、電子回路についてただ教科書等で学ぶのではなく、実際に回路を作って動かせる学習経験が一般的になったら、未来はすごいことになるだろう”。

Cartesian Co.はブリスベーンのインキュベータiLabに育てられ、最初の資金とオフィススペースとメンタリングを得ている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))