企業の機械学習利用の空隙を満たすMLOpsのスタートアップCometが約57億円調達

機械学習がビジネスを動かすための欠かせない技術になっているが、その中でモデルを構築する工程は今なお、反復と実験を必要としている。それに対しCometは、モデルをアイデアからプロダクトまで仕上げるための全体的なプラットフォームを作り、米国時間11月18日は5000万ドル(約57億円)のシリーズBを発表した。これに先立つシリーズAは、4月の1300万ドル(約15億円)だった。

OpenViewがリードしたこのBラウンドには、これまでの投資家であるScale Venture PartnersやTrilogy Equity Partners、そしてTwo Sigma Venturesが参加した。Crunchbaseのデータによると、同社の累積調達額は7000万ドル(約80億円)近くになる。

共同創業者でCEOのGideon Mendels(ギデオン・メンデルス)氏によると、プロダクトはノートパソコンでもクラウドでも、あるいはオンプレミスのクラスター上でも、どのようなプラットフォームでも使える。「Cometは実験の追跡調査からモデルのプロダクションのモニタリングまで、機械学習の全ライフサイクルを管理し最適化します。そのためデータサイエンティストに力をつけ、機械学習の技術者が開発を加速できるプラットフォームだ」とメンデルス氏はいう。

メンデルス氏によると、そのアプローチは実績を出し、同社の年間経常収益は2021年5倍になり、UberやZappos、Etsyなど150社がCometを利用している。またOpenViewのパートナーでリード投資家のMackey Craven(マッキー・クレイヴン)氏によると、彼がCometに惹かれたのは、同社が大きなチャンスを抱えた新興市場のための有効なプロダクトを作っているからだ。「私たちが今、目にしているのは、彼らを十分サポートできる大きくて永続性のある市場機会のコアとなりうるような傑出した創業チームと、そしてその市場における変化との稀なる組み合わせです。その変化の理由は、新しい市場の創造または、技術の転位によって新規参入者たちが、私たちが作り出す今後の大きな市場における価値を創造し捉えているからです」とクレイヴン氏はいう。

現在、同社の社員は50名で、4つの大陸の9カ国から来ている。計画では、2022年は100名になる予定だ。メンデルス氏によると、ダイバーシティとインクルージョンは同社の価値システムの重要部分だ。氏は「実はそれこそが、弊社の企業文化の核であり、今でも従業員の35%はマイノリティの人たちであり、今後の雇用でもそれに配慮していく」という。

同社の新製品であるArtifactsは、文書のバージョニングと同じように動作し使えるデータのバージョニングツールだ。それはデータの変更履歴を知るために、データサイエンティストたちが利用する。

メンデルス氏によると「機械学習のパイプラインで仕事をしているときCometのArtifactsがあれば、データの各回のスナップショットを自動的にバージョン化できます。変更を加えるたびに、そのバージョンができます」。そのアドバンテージはいろいろあるが、その主なものは、モデルの訓練に使っているデータがどう変わってきたか、データサイエンティストにわかることであり、訓練時のモデルのデータと最終プロダクションのデータを比べられる。

画像クレジット:yucelyilmaz/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

機械学習モデルの作成とメンテナンスを支援するCometがシリーズAで14.1億円調達

機械学習のスタートアップへの投資が最近とても多いのは、多様な企業が多様な事業にその応用を見出そうとしているからだ。そうした顧客企業におけるモデルの長期の継続的開発を、最後にはプロダクション(本番稼働)に行き着く実験的なプロセスで支援するCometが、米国時間4月8日にシリーズAで1300万ドル(約14億1000万円)を獲得したことを発表した。

Scale Venture Partnersがそのラウンドをリードし、これまでの投資家であるTrilogy Equity PartnersとTwo Sigma Venturesがこの投資を支援した。Crunchbaseのデータによると、Cometの調達総額はこれで2000万ドル(約21億8000万円)近くになる。

投資家たちの目に映じたものは、売上が前年比で500%ほど伸びた企業だ。そう語る共同創業者でCEOのGideon Mendels(ギデオン・メンデルス)氏は、次のように述べる。「このところ、追い風が吹いていた。プロダクトに関しては、弊社が実験管理と呼んでいるものに注力して、実際にモデルの追跡調査を行ってきた。そこで調べるものは、モデルに入ってくるデータと、学習のプロセスをコントロールするハイパーパラメータであり、それらを調べることによってチームのデバッグとモデルの現状理解を助ける」。

今回の資金調達に加えて同社は、モデルをポストプロダクションまで見届ける同社プラットフォームの拡張プロダクト、Comet Model Production Monitoring(Comet MPM)を発表した。

これに関してメンデルス氏は「モデルのプロダクションをモニタリングするプロダクトは、要するにモデルのポストプロダクションにフォーカスするものです。私たちの最初のプロダクトは、訓練の間に複数のオフライン実験がモデルとしてどのようにして作られるかに着目したが、このMPMではこれらのモデルが初めてプロダクションに入って以降にフォーカスする」と説明する。

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Scale Venture PartnersのパートナーであるAndy Vitus(アンディ・ヴィータス)氏は、Cometのようなライフサイクルを管理するツールには今後、大きな市場があると考えている。「エンタープライズソフトウェアの未来を牽引するものは機械学習とAIだ。そうなれば、企業がモデルのライフサイクルに対する完全な視野とコントロールを確保することが絶対的に欠かせない」とヴィータス氏は声明で述べた。

同社は成長にともなって、ニューヨークのオフィスに加えてイスラエルに新たなエンジニアリングハブを開設した。オフィスは現在、閉鎖しているが、メンデルス氏によると、パンデミックが落ち着いたら、リモートと通勤の両方を混ぜたハイブリッドオフィスにしたいという。

「オフィスはニューヨークとテルアビブの両方に置く計画だが、オフィスで仕事するのが嫌な人はそれでも良いし、週に2日だけオフィスに来るのでもいい。いずれにしても、世界中からの雇用は続けていく」とメンデルス氏は語った。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Comet機械学習資金調達

画像クレジット:Westend61/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)