何週間にもわたるティーザー広告と無限のリークあれこれ、そしてすでにリリースされている1曲がラジオで無数回放送されてきたダフト・パンクのニューアルバム「Random Access Memories」は、正式発売に先立つこと数日、その〈全曲〉がiTunesで公開された。
トリックは? 今はストリーミングのみだ。このリンク先で「iTunesで見る」ボタンをクリックして「今すぐチェック」ボタンを押す。今年の夏一杯聴くことになるアルバムを一足早く味わってみよう。
いくつかのサイトではこれを「リーク」だと主張しているが、まず間違いなくそうではない。Appleはこれと似たようなことを、最近リリースされたジャスティン・ティンバーレークのアルバム「20/20」でもやっており、宣伝テキストには「今すぐ予約しよう」と明記されている。意識的に先行公開しているのでなければこうは書かない。
「なぜこんなことをするのか?」と疑問に思うかもしれない。「高音質の違法コピーをばらまくだけじゃないのか?」
イエス。ただし、現時点でそれは殆ど問題ではない。アルバムの正式発売まであとわずか4日間。アルバムが全米をトラックで移動しているのはほぼ確かだ。ひとたびトラックに載せられれば、リッピングされてインターネットにアップロードされる。まず間違いなく。
アルバムを先行してストリーミングするのは、新しいタイプのリーク「事故」だ。これは唯一実効性のある武器である「利便性」を使った海賊との戦いだ。リークをダウンロードする厖大な数の人々は、ちょっと味見しているだけだ。少しでも早く聞きたいから。こうした人たちの欲しがるものを、公認、公式、高音質で与えることによって、彼らが違法コピーをダウンロードする必要性を否定している。
これでアルバムの違法コピーはなくなるか? もちろんノーだ。しかし、巨大な山を登る戦いの中の小さな一歩であることは間違いない。
(しかも、今日のアーティストはそもそも収入の大部分をツアーで得ている ― そして、ライブで見る価値のあるショウがあるとすれば、それはダフト・パンクだ)
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(翻訳:Nob Takahashi)