ディープラーニングで「アイドル自動生成AI」を開発するデータグリッドは3月19日、東京大学松尾研究室のスピンアウトVCであるDeep30から1500万円の資金調達を実施したと発表した。
このスタートアップが持つ技術はいろいろな意味で非常に面白い。その技術とは、GAN(敵対的生成ネットワーク)と呼ばれるモデルを利用してアイドルの顔画像を学習し、それらの特徴を組み合わせることで「架空のアイドル」の顔画像を生成するというもの。
ここで登場するGANとは、画像などのデータから特徴を学習することで、実在しないデータを生成したり、存在するデータの特徴に沿って変換する技術のこと。例えば、シマウマの画像と走るサラブレッドの画像を学習させることで、実際には存在しない「走るシマウマの画像」を生成することができる。
データグリッドは、この技術を利用してオルツおよびICOVO AGというスタートアップの3社合同で「GENE A.I.dols(ジーンアイドル)」というゲームを開発中だ。このゲームでは、データグリッドがもつ技術により、画像を学習させて「人工遺伝子」を作成し、それを組み合わせていくことによって「自分だけのアイドル」を作ることができる。
また、オルツが持つ話者適応技術(少量の音声データから、その人の音声を真似する技術)を利用することで、アイドルの声も生成する。そうすることで、世界で1つの容姿と声を持つアイドルが生まれるというわけだ。アイドルファンにはたまらないゲームだろう。
それと、この人工遺伝子はこのゲームで生成したアイドルからだけでなく、実在する人物からも抽出することができる。だから、例えば自分の画像や声から抽出した人工遺伝子と、ゲームから生まれたアイドルの人工遺伝子を組み合わせれば、自分とそのアイドルの「子ども」も作り出せてしまう。うーん、じつに奥が深い。
同社は将来的に、ジーンアイドルのVRへの対応、および人工遺伝子に書き込まれたアイドル個々の音声モデルと対話エンジンの開発も行う計画だという。それが実現すれば、VRを使って自分が生んだ架空のアイドルと“会って会話する”ことも夢ではない。
ジーンアイドルは2019年春にリリース予定。気になる読者はこのページからサインアップすることができるので、チェックしてみてほしい。