「次世代AI搭載MRIイメージングマシン」と自らが呼ぶシステムを開発するベルリンを拠点とするスタートアップのDeepSpin(ディープスピン)が、シード資金として60万ユーロ(約7300万円)を調達した。
ラウンドを後押しするのはAPEX Digital Healthで、既存の投資家であるEntrepreneur First(EF)とSOSVが参加し、多くの無名のエンジェル投資家も参加している。助成金と以前の投資を含めると、ローンチ前の総調達額は100万ユーロ(約1億2000万円)となった。
DeepSpinはEFの企業ビルダープログラムを卒業した企業で、そこで出会った2人の創業者、元マッキンゼーのコンサルタントであるClemens Tepel(クレメンス・テペル)氏とカールスルーエ工科大学(KIT)のPhD研究者であるPedro Freire Silva(ペドロ・フレイレ・シルバ)氏が2019年9月にパートナーを組んで始まった会社だ。フレイレ・シルバ氏は、彼の研究を小規模で大量生産可能なMRIシステムへと活用するアイデアを、未来の共同創業者に対してプレゼンした。
「当初から、このアイデアは非常に興味深かったので、その実現可能性の証明作業に飛び込みました」とテペル氏は言う。「4週間以内に私たちはシミュレーションで実現可能性を証明することができ、業界をリードするアドバイザーを迎え、関心を示した臨床医たちから最初のLOI(契約基本合意書)を得ることができました」。
まだリリースされておらず開発段階にあるDeepSpinは、既存システムを「コスト、重量、サイズ」の点ではるかに下げた新しいタイプのMRIシステムを構築することを目指している。これを可能にするためにスタートアップはAI制御と組み合わせた新しいアンテナ技術を開発したが、これは現在特許申請中だ。
「私たちが解決しようとしているのは、最先端の医用画像診断法であるMRIが非常に高価で、専門のオペレーターが必要であり、そして特別にシールドされた部屋が必要であるために、現在は簡単に利用できないという問題です」とテペル氏は説明する。「私達は独自技術に基いて、これらすべての制約を取り除き、MRIを世界中のどこにいてもあらゆる患者が普通に利用できるようにします」。
フレイレ・シルバ氏がこれに付け足す。「従来のMRIスキャナーで行われているように、非常に高価なハードウェアに標準的なソフトウェアと組み合わせる代わりに、単純化されたハードウェアに非常に洗練されたアルゴリズムを適用することによって、同じ臨床情報を得ることができます。このことによって、私たちのシステムのコストを桁違いに削減することができました」。
テペル氏は私に対して、2つの主要な実現技術(高度なAIアルゴリズムと特定のアンテナデザイン)が利用可能になったのはごく最近なので、このアプローチはこれまでとられて来なかったのだと語った。
シミュレーションを使ってDeepSpinのメソッドを証明した後、次のステップとチームの現在の焦点は、完全にAI駆動する最初のプロトタイプを開発することだ。「それに基づいて医療機器認定に進む前に、試験臨床適用を目的とした初期製品バージョンを開発します。これにより幅広い医療分野にわたる臨床用途の製品を販売できるようになり、従来のシステムを購入する余裕のなかった新たな場所を開拓できます」とテペル氏は言う。
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(翻訳:sako)