最近では、あらゆるものがクラウドに移行しているようにも思える中、映画制作が取り残されているのはなぜなのか?米国時間の9月16日、ウォルト・ディズニー・スタジオは、Microsoft(マイクロソフト)と今後5年間の提携を発表した。コンテンツ制作をAzureクラウドに移行する方法を模索するための、イノベーションラボの設立に関するもの。
このプロジェクトでは「Walt Disney StudioLAB」という名前の実験的なワークスペースを設ける。そこではディズニーのスタッフが、さまざまなワークフローのクラウドへの移行を試してみることができる。ここには、映像制作ソフトウェアの会社であるAvid(アビッド)も一枚噛んでいる。
このような3社が協力して動くことで、創造的なクラウドベースのワークフローが生み出されることが期待されている。それにより、この高名な映画制作会社であるディズニー・スタジオのイノベーションサイクルを加速できるはずだ。大企業はどこも、コアとなるビジネスの種類に関係なく、革新する方法を模索している。ディズニーも例外ではないということ。
映画制作には、非常に膨大なコンピューティングリソースが必要となるため、クラウドは、そのための最適なモデルと考えられる。シーンのレンダリングやSFXの追加など、必要に応じてリソースのスケールを増減することができるからだ。ディズニーのCTOであるJamie Voris(ジェイミー・ヴォリス)氏が言うように、そうしたプロセスを効率的なものにすれば、コストを下げ、製作期間を短縮することができるはずだ。
「今回のマイクロソフトとのイノベーションを目指した提携により、私たちのプロセスの多くを最適化することができるでしょう。それにより、私たちの才能のある映像作家が自分の得意なことに集中できるのです」とヴォリス氏は声明の中で述べている。これは、一般的に大きな組織が求めているのと同様の、クラウド化のための価値提案となる。日常的なタスクを自動処理に任せることで、市場導入までの機関を短縮しようというわけだ。
この提携は、すでにマイクロソフトがAvidと結んでいる協力関係の上に成り立つもの。そこでは、Azure上でAvidのソフトウェアソリューションを利用し、映画製作会社向けにクラウドベースのワークフローを開発することに取り組んできた。ディズニーは、そこに独自の要件を追加する。そして、5年間のパートナーシップを通じて、より近代的なクラウドコンテキストの中で、必要なワークフローを最適化することを目指している。
画像クレジット:Chris Pizzello/Invision/Getty Images
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(翻訳:Fumihiko Shibata)