軍事企業のDuke Roboticsは兵器を搭載するドローンのビデオを公開した。TIKADと呼ばれる新しいプラットフォームはユニークだ。仕組自体は比較的シンプルで、カスタムメイドのマルチローター機体の下部に小火器を搭載し、旋回、照準を行うメカニズムが組み込まれている。機関銃、狙撃銃、グレネードランチャーなどがあまり手を加えずに搭載可能なようだ。しかしこのビデオが示唆する未来の戦争は恐るべきものだ。
機体下部のジンバルが小火器を安定させ、専用パッドにカメラ画像が表示され、リモートコントロールで索敵、照準が可能になっている。かなり以前からこうしたことを可能にするテクノロジーは存在しており、最近ではAV社の無人航空機システム、Switchbladeプロジェクトなどがその例だ。実のところ、DJIのような有力ドローン・メーカーであればこうしたシステムは今すぐ片手間にでも開発可能だろう。しかし兵器は極めて限られた市場であり、その点が興味深い。
このシステムの開発者は「TIKADは政府に全く新しい能力を与え、テロリスト・グループの掃討とその際の地上兵力の死傷者の減少に役立てることが可能になる」 と述べている。開発メーカーはこの種の兵器の開発のために出資を募っている。このビデオは本質的にはクラウドファンディングによる資金集めための大掛かりなバイラル・マーケティングの一環といっていい。ともかく機関銃搭載ドローンというのは人目を引く。
Duke Roboticsでは現在イスラエル国防軍と提携してテストを行っているとしている。またオンラインでのプロダクト受注も考えている。これがこうしたビデオを製作した理由だろう。現在のテクノロジーではこうした小火器搭載ドローンを実戦に投入するのはかなりの危険がある。しかしリモートコントロールで目的地へ飛び、敵を射撃して飛び去るシステムを作ること自体は比較的簡単だ。木などの障害物に当たると自爆する。
TIKADビデオそのものついていえば、額面どおりには受け取らないほうがよい。これは現実のプロダクトではなく、資金集めのマーケティングだ。そもそもドローンに武器を搭載するのがそれほど簡単なら米軍のMQ-1プレデターやその後継のMQ-9 リーパーのような巨大で高価なシステムよりずっと取り回しのいいシステムがすでに実現していたはずだ。とはいえ、「ドローンがリモートコントロールでテロリストをやっつける」という戦場を見たいならDukeのビデオはよくできている。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)