Y Combinatorの2016冬季クラス出身のElucifyは、営業マン/ウーマンが慢性的に抱える厄介な問題の解決を目指している。その問題とは、顧客や見込み客のコンタクト情報を常に最新に保つことだ。
Elucifyが作り出したソリューションは、機械学習と人工知能(AI)を応用した、Salesforce.com CRMのプラグインだ。そのシステムは様々な公開データやプライベートデータにアクセスして、最新のコンタクト情報を見つける。…ElucifyのCEOで協同ファウンダーのGerald Fongはそう説明する。
営業の人は、Salesforceのレコード中に表示されるElucifyのボタンをクリックする。するとElucifyのツールが既存のコンタクト情報をアップデートし、新たに見つけたコンタクトをリストアップする。そのツールは通常、電話番号やメールアドレス、現在の意思決定者、会社情報のアップデートなど、忙しいセールスチームが必要とするあらゆる種類のデータを見ていく。Fongによると、レコードのアップデートに要する時間は通常、5秒から10秒ぐらいだ。
Fongはこう語る: “われわれは、営業チームが毎日のように抱える面倒な問題に焦点を当てている。彼らは毎日、良質なコンタクトデータを探すのに長時間を費やしている。売り込みや訪問打診の電話をかけるよりも、いろんなWebサイトを訪ねてコンタクト情報を確認している時間の方が長い”。
しかも、コンタクト情報のアップデートを個々の営業が手作業でやってる企業が多い。しかしElucifyは、個々のレコードごとのアップデートを自動的に行う。
今では多くの営業チームが、SalesforceのようなCRMツールを使ってこの情報を調べている。だから、問題ないじゃないか、と思う方もおられるだろうが、しかしeConsultancyのデータによると、営業やマーケティングが利用しているコンタクト情報の30%はガラクタだ。
Elucfyは立ち上げからまだ数か月の企業だが、発想からY Combinatorまでがわずか1週間、すでにベータの顧客が3社いる。
同社の三名の協同ファウンダー、Fong, Mihir Deo, そしてNaveen Krishnamurthiは、Y Combinatorに参加したことによって、エンタープライズサービスを起業したさまざまな人たちに会うことができた、と言っている。またYCの社長Sam Altmanも、彼ら若きファウンダーのための良きアドバイザーになってくれた。
“われわれは最初から、エンタープライズソフトウェアの企業だと思っている。でもサービスを立ち上げて、実際にそれにお金を払ってもらうことは、容易ではない。自分たちが犯している間違いや、抱えている問題について、Y Combinatorのネットワーク上の人たちに相談できて大いに助かっている”、とFongは語る。実際にこれまで、このネットワーク上の人たちからのアドバイスで気付かされたり、解決した問題は少なくない。
同社の至近の目標は、なにしろ成功に向かう足場を築くことだ。CRMは巨大な市場であり、Salesforceがその60%を握っている。…Fongはそう指摘する。
“まず、Salesforceのユーザーたちに食い込みたい”、と彼は言う。それは同社にとって、とても分厚い顧客層だ。そして徐々に軌道に乗ってきたら、ほかのCRMツールにも同社のコンタクト情報機能を提供していきたい、それが、同社の長期的な構想だ。