英国のEdTechスタートアップErase All Kittens(EAK)は、子どもたち、特に女の子にプログラミングを教えるオンラインゲームだ。同社はこのほど、英国の大手スーパーマーケットTescoと流通契約を結んだ。その日、米国時間3月8日はたまたま国際女性デー、女性と少女たちをグローバルに支援しましょうという年に1度の日だった。Erase All Kittensはこれまで、100万ドル(約1億2000万円)ほどのシード資金を調達している。
この契約により、Tesco Clubcardの金券を使ってErase All Kittensの1年のサブスクリプションを9.99ポンド(約1530円)でTescoのウェブサイトから購入できる。Tesco Clubcardの会員は2000万人いて、そのうち660万人がストアのアプリをいつも使っている。
「Erase All Kittensとチームを組むことができたのはとてもうれしいことです。少女たちをプログラミングに誘う同社の労作は、デジタルのリテラシーが日常生活で重要になってきた今の世界ではとても貴重なものです」とTesco Clubcardの広報担当者はいう。
Erase All Kittensは子どもたちにプロフェッショナルなプログラミングを教えるオンラインゲームで「インターネット宇宙の魔法の世界で猫たちを救う」というアドベンチャーだ。これまでに、いくつかの賞を受賞している。
同社によると、この「マリオ」のようなウェブ上のゲームは、これまで100カ国ほどの4000の学校、その16万人以上の子どもたちがプレイした。2021年はTwinkl Educational Publishingがリードするシードラウンドで100万ドルを調達し、このラウンドにはA Black Square家族事務所のChristian Reyntjens氏や、Shazamの創業者を含むエンジェル投資家たちが参加した。
CEOで共同創業者のDee Saigal(ディー・サイガル)氏は次のように語る。「プログラミングやエンジニアリングは男の子のものという大きな偏見が現在でもあります。それは本当は、女性をSTEMのキャリアから排除する性差別です。もっと多くの少女や若い女性がテクノロジーの使い方を学んで世界を作っていこうとしないかぎり、性差別は大きくなる一方です。私たちはこの問題をグローバルな規模で解決するためにErase All Kittensを作りました。このたびTescoとパートナーして全国のもっと多くの女の子たちにプログラミングと創造へ向かう気持ちを持ってもらえることは、とてもすばらしいことです」。
Erase All Kittens(EAK、イレース・オール・キトゥンズ)は、8歳から12歳の子ども向けに「マリオ・スタイル」のウェブゲームを開発したEdTech系スタートアップだ。ただし、このゲームには特別な仕かけがある。女の子のコーディング学習の意欲を湧かせるゲームなのだと、同社は強調する(ほとんどのコードは男性が書いているのが現実だからだ)。100を超える国々でプレイヤーが16万人に達した現在、同社はTwinkl Educational Publishing(トウィンクル・エデュケーション・パブリッシング)主導のシードラウンド投資100万ドル(約1億800万円)を調達した。このラウンドには、A Black Square(エイ・ブラック・スクエア)ファミリーオフィスのChristian Reyntjens(クリスチャン・レンジェンス)氏が初めて参加し、その他以前からの支援者であるShazam(シャザム)の創設者の1人も加わっている。
「プレイヤーは、夢のインターネット宇宙に暮らす仔猫たちを救うために、ゲームをプレイしながらレベルを作ったり修正したりして、コード編集によりゲーム環境を管理します」と共同創設者でCEOとクリエイティブディレクターを務めるDee Saigal(ディー・サイガル)氏は話す。サイガル氏のチームに加わったのは、共同創設者Leonie Van Der Linde(レオニー・バン・ダー・リンダ)氏、CTOのRex Van Der Spuy(レックス・バン・ダー・スプイ)氏、上級ゲーム開発者Jeremy Keen(ジェレミー・キーン)氏、2DゲームアーティストMikhail Malkin(ミクヘイル・マルキン)氏だ。
Twinkl(トウィンクル)の共同創設者にしてCEO、またはTwinklHive(トウィンクルハイブ)のディレクターであるJonathan Seaton(ジョナサン・シートン)氏はこう話す。「Erase All Kittensのパートナーになれたことを本当にうれしく思っています。デジタル企業であるTwinklは、子どもたちにデジタル時代で成功する準備をさせることの重要性を認識しています。このパートナーシップによって大きな変化を起こせると、私たちは確信しています」。
「私たちのチームは、女の子たちを励まし、コード学習と独自のデジタル創作物の制作の機会を平等に与えるというErase All Kittensの使命を後押しできることに、特に胸躍らせています。すべての子どもたちが平等に学習機会を得ることは、Twinklのビジョンの中核でもあり、双方の企業の提携関係を深める決定的な動機でもあります」。
画像クレジット:Erase All Kittens
Erase All Kittensは、ジェンダー格差がますます広がる世界のスキルの格差に対処したいと話している。PWCによると、テック業界で働く女性の割合は24%に過ぎず、全エンジニアのうち女性はわずか12%だ。また、英国の女子学生で就職先の第一志望に技術職を選んだ割合はたったの3%だった。