そのSEOの個々の施策にどこまでの工数・金額が許容されるのか


これはとてもとても難問である。

最初からサイトを作る場合であればSEOの考慮を行うならばそれほど困難ではないことが多い。
まったくゼロからつくるなら、無限の選択肢の中で「こうしたほうがSEOの観点からは正解」という作り方を選ぶことができる。
それらのどの選択肢を選んでもコスト的に変わらないことがほとんどである。

端的に分かりやすい例を挙げてみよう。

社長ブログをサブドメインにするか?サブディレクトリにするか?

サイトの制作段階においてはどっちを選んでも制作に要する工数は全くと言っていいほど変わらない。
ところがひとたび作った後で変更するとなると、結構大変である。
設定を変更するだけなら簡単であるが、サイトの運用歴が長くなっているとこんなことでも結構面倒くさいことになる。
現在運用中のページのGoogleの評価を新しいページに引き継がなければならなくなる。

こんな感じで一度作ったものの変更を行うのはとても大変だ。
建築物を考えてもらうと分かりやすいと思う。

建てた後で「ここは洋室ではなく和室にした方が良かった・・・」

となった場合に変更するのは非常に面倒だ。
しかし、最初から和室にしておけばなんてことない。
Webサイトの場合はここまで極端ではないかも知れないが、似たようなものである。

最初から考慮しておくことが重要なのである。

しかし、最初からSEOの考慮ができているサイトというものはとてもまれだし、最初考えていた最適解と実際の運営にかい離が生じることはごくごく普通の出来事だ。
といったわけで後からの修正は避けがたく発生する。

しかし、ここがとてもとても難しいところだ。

SEOにおいて絶対の正解はほとんどないからである。

変更を行うことによってどれだけ検索エンジン経由での集客が増えるか?最終的なコンバージョンに寄与するか?はやってみなくては全く分からない。
費用対効果を予め推定することはほぼ無理だ。

ではどこまでやるべきなのか?
私はこう思うのである。

ここまで予算をかけることを許容しよう

という一線を引くのがいいのではないか。
サイトの収益から考えて、ここまでならばまずは費用をかけてもいいという予算をまずは決め、その範囲において優先順位をつけて実施するしかないと私は考えている。
不確実なビジネスに対する投資と同じ考え方だ。

結局のところそのための予算をまったく投下できないのであればSEOを実施することはできない。

また、ごくわずかな予算しかなければ成功は恐らくおぼつかないだろう。
ではどれくらいかければ適正なのか?

まずは感覚的に自然検索経由のユーザー10%増程度を目標にしてみるのがいいのではないか?というのが私のざっくりとした意見である。
10%ユーザーが増えることによって得られるコンバージョンから、どれくらい利益が得られるのか?
そこから逆算して予算を決めてみたらどうだろうか?

これには様々な前提があって、それを無視しているのであくまでごく乱暴な目安にしか過ぎない。
しかし、今までSEO観点においてサイトの修正をほとんど行っていないのであれば、一つの目安になりうると考える。
ほとんどSEOの考慮ができていないのであれば、チョロチョロ直すだけで10%ぐらいは増やせるだろう。

多くのサイトにおいて10%の自然検索の増大は大した利益向上をもたらさないだろうが、その範囲内での予算であればさして痛くもないだろう。

でも、これも様々な状況に当てはまるわけでもない。
そもそも自然検索経由での集客が月間500にも満たないようなサイトであれば、10%増えたところでコンバージョンが増えることはさして期待できないので、そこから予算をねん出することもできまい。

このようなケースも私は難問だと思っているのだ。
サイトが全く収益化に寄与していないケースである。

ゼロの収益を1万倍してもゼロだ。
ましてや10%増えたところでどうなるものでもない。

全く収益化に寄与していないサイトについては、私はまずは売りたいサービスなり商品なりの宣伝ページをきっちり作りこみ、まずはリスティングで集客することを勧めたい。
リスティング及びリマーケティングで集めても、まったくコンバージョンが立たないのであればSEOをやったとしても多分無理だ。

もう一つ難問のケースだが、10%ユーザーが自然検索から増えたとしても微々たる予算しか出ない場合だ。
会社がSEOに対する投資を認めてくれればいいのだが、認めてくれなければどうするか?

サラリーマン的な処世術からすればSEOなんかやらないというのも正解だろう。
しかし、それでもSEOをやりたいというのであれば、担当者が自発的に労働強化で乗り切るしかないのではないか?
自分でやれるところをやって、それで結果でもって示すしかあるまい。

さて、最後になった。

SEOに正面から取り組んでいるサイトで、個々の施策にどれだけかけるべきか?

もう簡単にできるところはあらかたやりつくし、工数がかかるところをどうするか葛藤しているケースだ。
SEOの担当者の力量、経験が最も試されるところだ。

場合によっては数百万といった金額がかかることもあるかも知れない。
それをやるかやらないか?

他のサイトで効果があった施策であったとしても、自サイトでは効果があるかどうかは不明だし、そもそも他サイトでSEO施策をやった結果どんな効果があったか?なんてことはほとんど情報がない。

これほどの予算規模になってきたら、SEOのちゃんとしたコンサルタントを頼むしかないのではないか?と考えている。

ちゃんとしたコンサルタントと書いたが、これが分かるコンサルタントは恐らく日本の中全部合わせても何十人もいないだろう。
本を書いているコンサルタントでも、すごくいい加減で嘘八百言う有害なコンサルタントも多く知っている。

難しいのだが、ちゃんとしたコンサルタントにジャッジしてもらうしかないというのが結論になりそうだ。
というなんともつきなみで、かつつまらない話で締めくくるしかないのである。

SEOの観点から危険性のあるサービスの見分け方


私はSEO的な観点からダメになってしまうサービスを予言するのが結構得意である。
(残念ながらうまくいくサービスを予言するのは外れることが多いのが残念である)

うまくいくサービスを見抜くのは非常に難しい。
しかし、将来的にダメになるサービス、特に検索エンジンからの集客が大きなウエイトを占めているサービスについては結構当たる自信がある。

その見抜き方について今まで誰にも語ったことはないのだが非常に簡単だ。
秘密にしていたのではなく単に語る機会がなかっただけなので書いてみようと思う。

それは、

検索エンジンから嫌われるようなことをしているか否か

私が理解しているのは、細かな原則というよりももっと大くくりである。
大くくりの考え方を理解しておけば、SEOを非常に容易くとらえることができるようになるだろう。
その意味で今回の記事は役立つかもしれない。

大くくりの考え方としてよく言われることは、

有用なページを作ればよい

と言われる。
しかし、これだけではまだ全然Googleの本質を捉えているとはいえない。
Googleの考える有用なページと、世の中の一人ひとりが考える有用なページには当然のことながら差異がある。

Googleが考える有用なページとは何ぞや?

なのである。
以前も書いたことがあるのだが、優秀なSEO担当者はシステムエンジニア出身といった人は少なくて、営業担当者といった対人スキルが求められる職業の人が多い印象がある。
これが正しいのであれば、一つ有力な仮説が導かれると私は考えている。

営業担当者といった職業についている人は、相手の思考を先回りして先手を打って対応することが求められる。

こんなことを言ったら、彼はこんなことを思うだろうなとか、
こんな時だったら、彼女はこんなことを言いそうだな、

といったことを予測したり、想定したりすることがスキルとして必須だ。
SEOはこれに似ている。

Googleを人格として理解すると非常に腑に落ちるというか、とても納得が行くと私は常々感じている。
Googleとはこんな人というイメージを完全に伝えることができれば、少なくとも私がたどり着いたレベルまでは誰でも来れるはずだ。

イメージを言葉にして伝えるのは難しいが、そこを頑張って言葉にしてみたい。

一言で表現するならば、精神の貴族という言葉がふさわしいように思う。
ノブレス・オブリージュという言葉がある。高貴な人は地位に応じた高い義務を負うという意味だ。

Googleは私利私欲で動いていると解釈すると、SEOは理解できないだろう。
私利私欲から離れた責任感がある高貴な人物と考えると非常に分かりやすい。
ではもっと具体的に掘り下げてみよう。

第一にGoogleは公平である。
誰に対しても基本的にはえこひいきをしない。
基本的にという留保がつくのは、余りにも反社会的であるといった場合はごくたまに罰を下すことがある。といったケースだ。

第二にGoogleは無私である。
自らが権力であることを自覚しているが、その権力を自分のために使うことは絶対にない。

第三にGoogleは自らを騙そうとするものを嫌う。
公平ではあるのだが、自らを騙して便宜を図らせようとするようなものに対しては、毅然として罰を与えるべきといつも考えている。
しかしこのような罰を与えるのは、自らの力が強大であることを知っているゆえに、慎重であるべきでルールに従って厳格に運用されねばならないと常に自重している。

第四にGoogleは人間の労苦を出来る限り尊重しようとする。
人間が苦労して作り出した一次情報を尊重する。
コピーしたり、ちょっと加工したり寄せ集めただけの二次情報なんかにはさしたる価値はないと思っている。

こんな人柄である。
そこからどんな結論が帰結されるか。


第四が人々の解釈と大きく違うところだろう。
情報を加工したり、寄せ集めて見やすくしたりするだけではGoogleは評価しない。
この種のサービスはあるが、いずれは評価されなくなるはずである。

まとめるのではなく創造しなければならない。
現時点においてはまとめただけのページでも上がっているものも多数ある。
しかし、いずれはただまとめただけのページなのか?創造されたページなのか?を見極める厳格なルールを自分で見出してそれに従うはずだ。
ルールがなければ、恣意的に扱ったりしない。
一律に全員に適用でき、罰することが可能になるルールを見出した時に初めて実施する。

今は良くても、そのうち駄目になるまとめが多数発生するだろう。

もう一度書くのだ。

このような罰を与えるのは、自らの力が強大であることを知っているゆえに、慎重であるべきでルールに従って厳格に運用されねばならないと常に自重している。

ここが重要であると思うのだ。
ルールを自らに課して厳格に運用する。
つまり目についたからといって場当たり的に罰したりすることは基本的にはやらない。
何か新たな不正が発生した場合などには、それを手あたり次第に罰していくのではなく、その種の不正をルールとして定めて統一的に扱えるようにして初めて罰を下す。

こう考えると今はわかった上で泳がされていると思えるサービスもいっぱいあると解釈される。

今の状況はGoogleにとって是なのか?単に泳がされているだけなのかの判断は比較的容易なのではないか?と思うのである。


ちなみにブログのネタ募集中である。最近は特にネタ切れでしんどいのである。
もし、こんなことについて見解を教えて欲しいといったことがあれば、是非問い合わせフォームやtwitter、Google+などでお伝えくださいませ。

SEOにおいて金で解決できることとできないこと


世の中金が全てだという人はさほど多くはないだろう。
少なくとも私の周辺には存在しない。
しかし、そういう意見を持っている人はある一定数は存在しているはずである。

私はどうかというとお金には執着しない質だ。
しょせん、お金では値札がついているものしか買えないのである。
(まあ、大富豪といったレベルになれば、話も変わってくるだろうがまあ一般的な話としてだ)

自分が欲しいと思っている物事はそれなりにあるが、自分自身あるいはその周辺の人々の努力でしか手に入らないものばかりである。

SEOの知識や技術とか、プロジェクトを円滑に回すことができる能力とか、上手に文章を書けるようになることとか・・・、

色々たくさんある。これらのうちのたった一つでもお金では買えない。

SEOについて考えてみよう。

基本的には同じである。
日常の運用の全ては人の手を通じて実現される。

誰かの努力によってのみ達成される

と言い換えてもいいだろう。
金で解決できることとはでは何だろう。

これは実は簡単である。

ほとんどの場合個人が実現したいことは、自分自身の力によって達成したいという前提がつく。
しかし、サイトの運営で達成すべき目標というものは誰が行ったとしても何ら問題ない。

もし、金にモノを言わせて外部から優秀な人物を招聘すれば全て解決することができるはずだ。

しかし、これは考えないこととする。
金だけで解決できる問題は何か?
と問題を限定したい。

現実問題としてある程度潤沢に金は使えるプロジェクトはあっても、人を自由にできるプロジェクトはほとんど存在しないだろう。
人に関しては原則的に現有メンバーでプロジェクトを遂行するしかないのが通常は前提である。

さて、やっと本題に入ることができるのだ。

SEOで行うべきことを分解して金で何とかなるのかならないのかを一つ一つ考えてみたいのだ。

  1. 検索エンジンにやさしいサイト作り
    唯一SEOのテクニカルな側面であり、狭義のSEOとはこれを指すといってよい。

    強調したいキーワードを検索エンジンに伝える。
    クローラビリティを高める。
    論理的な構成を検索エンジンに分かりやすくする。

    といった実装をそのサイトに即してどのようにするのが最善かを考える仕事である。
    これを行わないと元々は100伝えるべき内容が、検索エンジンには20とか40ぐらいしか伝わらないといった状況になる。

    SEOに詳しい担当者がいない場合は、この部分だけは外部コンサルタントの助力をあおぐことが正解であることが多い。
    サイトの規模が大きく検索エンジンからの集客がビジネス上重要であれば、金を払って依頼するべきだ。
    このようなコンサルタントの報酬は安くはないが、費用対効果は悪くないのでお金で何とかすべき問題であると言える。

  2. コンテンツの作成
    コンテンツの作成がSEOなのか?というと難しい問題である。
    良いコンテンツこそが検索エンジンから評価されるというのが原則なので、検索エンジンからの集客には良いコンテンツが欠かせない。
    コンテンツはSEOと不可分なのだが、そのものはSEOではないと言えよう。

    テストでいい点を取ることを目的としていなくても、普段から勉強をしている人はテストでいい点が取れるのと一緒だ。
    コンテンツ作成は勉強であり、テストの点数は検索順位に譬えればよかろう。
    勉強をせずにいい点数だけ取ろうというのはズルをしなければ不可能であり本来のあり方ではない。

    コンテンツとSEOが不可分であるというのはこういうことである。

    コンテンツを作るのは外注が可能だ。
    ただし、企画といった部分のコントロールはある程度自分たちで行わねばならないだろう。

  3. 被リンクを得ること
    なんだかんだと言いながらも現在もまだリンクである。
    リンクが全くないサイトの順位が上がることは少ない。

    これは「はい」でもあり「いいえ」でもある。
    リンクと言うものは一種の人気投票のようなものだが、金を払ってサクラを動員するって方法、つまり人工リンクは金で買えるからである。

    しかし、あくまでサクラはサクラなので、サクラであることがバレてしまったら逆に人気が失墜するという現象が起きる。
    これがペナルティと呼ばれる現象だ。

    本当の人気は金では買えない。これが答えである。

  4. 検索エンジンからの集客戦略の立案
    そもそも論の話である。

    どのようなユーザーを集客するべきなのか?
    どうすればそのようなユーザーを検索エンジンから集客できるのか?
    集客しただけでは成功とは言えない。どうやってコンバージョンにつなげるかといった道筋はどうするか?

    といった諸々を考える必要がある。
    外部のコンサルタントに依頼することもできるだろうが、アドバイスの域を出ない。
    自社の商品、サービス、顧客を知っているのはあくまで自社の担当者だけである。

    これは金で部分的にしか買えない部分である。

さて、ここまで書いてきたが結局のところ、多くの部分は金で買えるが買えない部分もあり、買えない部分が重要なポイントでもある。

という非常に月並みな結論に落ち着いた。

とは言え、SEOサービスを購入するのはその会社なり担当者なりの力量を見抜く力が必要である。
品質の悪いSEOサービスをとんでもない金額で販売している会社もあり、高ければいいというものでもない。
ここが難しいところで、見極めがとても難しく自信がなければ、金を払うという選択肢は除外したほうがいいと思うのである。

SEOは全ての悩みを解決する魔法の杖ではない


「金槌をうまく使える人は、すべてのものを釘と見てしまう。」

という譬えがある。
リスティング広告のコンサルタントとして有名な阿部氏はこれから、リスティングが得意な人は何でもリスティングで解決しようと考えてしまう傾向がある、ということを述べている。

これはリスティングだけではなく、他の販促手法にも言えることだ。

アフィリエイト広告も運用を細かく丁寧にやれば大きな成果を生み出すし、SEOもピントがずれていない限り継続していけばそのうち確実に成果が出る。


ちょっと横道にそれるがSEOにおけるピントのずれとは、集客するユーザーがずれているケースを指す。
コンテンツマーケティングで、「検索ニーズがあるから流入を大きく増やせるし、スパムにならないという」という理屈で、自社商材と全く関係のない妖怪ウォッチのコンテンツを大量に作ってしまったという例があるそうだ。詳しくは「SEOのロングテール戦略とコンテンツマーケティングの話」をご覧いただきたい。とても示唆に富んだ記事である。

さて、SEOであるが、私は特に近年においてはSEOだけで完結することは難しくなってきていると思うのだ。

近年はコンテンツ作成による検索エンジンからの集客がSEOの根幹と言われているが、コンテンツだけでは集客は完結しない。

集客とはサイトにユーザを連れてくることによって終了するのではなく、コンバージョンが得られて初めて目的を達成する。
コンテンツというものを商品の売り込みを目的としないユーザーのためになる情報だと定義するならば、コンテンツだけではコンバージョンに至らない。

コンバージョンを取るためにはコンテンツではなく売り込みのページ、セリングが重要なのだ。
これはSEOにさほど寄与しないかも知れない。
しかし、充分な情報量や、競合と比較した場合の優位なポイントを明示しない限りコンバージョンにはなかなかつながらない。

コンテンツそのものはサイトにユーザーを集めることはできるが、その先の購入という行動を起こさせることは難しい。
セリングのページの充実があって、初めてコンテンツに存在意味が生まれると私は考えている。

セリングはSEOという観点で考えるというのではなく、

競合と比べてどこがいいのか?
買うにあたっての阻害要因は何か?

を考えて、必要充分な情報を提示することが重要である。

この発想は何かというとマーケティングに他ならない。

そもそもコンテンツSEOもユーザー視点での必要な情報を提供する行為であり、これもまたマーケティングである。
SEOはSEOで完結するのではなく、マーケティングに包含される概念である。

さて、コンバージョンを取るためには、最低限コンテンツとセリングのページが必要であることを述べたが、これではまだ十分ではない。

これで確かにコンバージョンは取れるだろう。
しかし、これだけでは十分な成果を得ることは難しい。

コンテンツとセリングの間には隔たりがある。

コンテンツを見て役に立ったと感じたとしても、それがコンバージョンにつながる可能性は高いとは言えない。
コンテンツからセリングへの橋渡しが必要となる。

様々なコンテンツやセリングを作りこむことで、検索結果への露出を増やすことで、再訪を促すのももちろん有効なのだが、これは決定打とはいいがたい。
再訪させるためには、様々なニーズを満たすキーワードで検索結果に露出をはからなければならないが、狙ってもうまくいかないことも多い。

様々な手法を駆使して再訪を促し、セリングページを見せなければならない。

そのための手法とは、リマーケティングであったり、検索広告向けリマーケティングであったり、ディスプレイネットワーク、Facebook広告、メールマガジン、アフィリエイト広告といったあらゆるオプションが考えられる。
これらを選択、組み合わせ、最終的にコンバージョンを高める絶え間ない努力が必要だと私は考えている。

SEOの担当者がこれらの全ての手法を熟知することは不可能だと思うのだが、そのメリット・概要を押さえておくことは必須だと思う。

一人の担当者で押さえることができる領域は多くはないのだが、結局のところ細かいテクノロジーを知らなくても、それらの集客ソリューションが消費者にとって、どのような意味をもたらすか?を理解すれば、ある程度の見通しを立てることは可能だと思うのだ。

コンテンツSEOの意味と戦略・そして達成目標


コンテンツSEO

この言葉がめちゃくちゃ流行っている。
でもこれほど不明瞭な言葉も珍しい。

Web2.0という言葉がその昔流行したが、その解釈は人それぞれ違っており、本来の意味から離れて単に

「新しいインターネットのあり方」

といったような意味で用いられていたように思う。

「コンテンツSEO」という言葉もこれに似ている。

これまで被リンク一辺倒だったSEO業者がこの言葉を盛んに使っているのを見聞きするたび、これってどうなんだよ?
って思うのである。
まあ、リンクでは思うように順位が上がらなくなってきたから、

「しょうがない、コンテンツでも売るかぁ」

というのが流行の理由だと私は思っているのである。

そもそも論で言うなればコンテンツSEOというものは当たり前なのである。

コンテンツなくしてWebサイトは存在しない。
コンテンツとはWebサイトそのものだ。
Webサイトの価値を機械的に計測して順位計算するのが検索エンジンである。
言い換えれば、コンテンツの価値を計算するのが順位計算と言える。

そうなので、コンテンツSEOというのは余りにも当然すぎるほど当然だ。
SEO業者が、

「当社はコンテンツSEOを提供します。」

というのは、飲食店が、

「うちの店では食べるものを提供します。」

というのとほぼ同義である。
しかしながら、今までのSEO業者はこれを提供してこなかった。

コンテンツを良くすることなく、順位だけを上げるといった手法は本来のあるべき対応ではない。

空腹を満たすことを目的として飲食店に入って、

「このサプリメントを飲むとたちどころに空腹を忘れます。食事に比べたらずっと安いですよ。」

って言われるようなものだ。
まあ、確かに空腹であるという状態を解消するのであるから、目的は達成しているものの根本が違う。
本来のお客が求めているものとかい離があるのだ。

人工リンクによるSEOのサービスはこれに似ている。

確かに検索経由での集客を増やすことができるので、目標は達成できているのだが、手段が根本的にずれているのである。

お客もこれが常識になってしまっていて、食事をするのではなくサプリメントを飲むのが当たり前だと思っているのが現状であろう。
普通に食事を提供しようとすると、「時間かかりすぎだし、高えよ」って文句を言われるというのが今の状況かと。


本来SEOというものはコンテンツの価値を高める、あるいはコンテンツを正しく認識させることで、検索経由での集客力を増やすことを指す。
人工リンクはSEOではない。

コンテンツSEOというのは、ごくごく普通のSEOに過ぎないのだ。

それをことさらに強調するというのは、

「うちの食堂ではサプリメントじゃなくって食べ物を提供しますよ。」

ということを強調されているぐらいの違和感がある。
まあ、今までのSEO業者は飲食店で言えば食べ物を提供してこなかったし、提供する技術もなかったのだから「まし」になったとは言えよう。
あくまで「ましになった」あるいは普通になったということである。

では、そのコンテンツSEOとは何か?

である。

コンテンツとはWebサイトそのものだ。
コンテンツを作ってSEOするというのは、それだけでは何も語っていないに等しい。

「Webサイトを良くする取り組みをしますよ。」

というあまりにも曖昧模糊とした言葉である。
Web2.0という言葉が、人によって解釈が様々に分かれたように、コンテンツSEOという言葉も人によって解釈が異なる。

「コンテンツを作ることでSEOすることでしょ?解釈ずれないよ。」

と言われるかもしれない。
でも大違いなのだ。

コンテンツを作るのは

誰に対して何を作るのか?

という根本が問われなければならない。
多くの人はまだコンテンツを被リンクの代わりだとして捉えている。

無理な外部施策で上がらなくなったから、コンテンツを作ろうというのであればそれは人工リンクと変わらない。
これはスパムであり、いわゆるコンテンツミルってやつだ。

人間のためにコンテンツを作るのが前提だ。

その上で、どんな人に対して読ませたいものを作るのか?

  • その商品なりサービスなりを今、欲している人に対して訴求する。
    これはコンテンツではなくセリングと言うべきなのかも知れない。
  • 潜在的ニーズを掘り起こす。
    このような商品を買おうという気がなかった人に対して、気付きを与えるようなページを作ること。これもコンテンツではなくセリングに分類されるだろう。
    これらはSEOを考慮しなくても、コンバージョンを取るためにやるべきである。
  • 知りたいというニーズに応えるページを作る。
    これがいわゆるコンテンツによるSEOというものだ。
    今すぐ客ではなくても、いずれ顧客となりうる可能性がある人を集めるという考え方だ。
    結果としてコンバージョンとして刈り取るのは、リマーケティング広告、ブックマークなどによる再訪問といった経路である可能性が高い。
    直接はコンバージョンを生むことは少ないだろう。
    直接的な成果のみを追うのであれば、コンテンツSEOに取り組むと失望することになろう。
  • リンクを得ること。
    これもコンテンツSEOと言える。
    ソーシャルメディアを一緒に運用することがほぼ必須である。継続すれば大きくバズを取れる言うなればホームラン的記事をたまに書けることもある。

    ソーシャルメディアで交流を続けることで、単なる文字情報を超えた人と人とのつながりを作ることができ、その心のつながりはコンテンツを介してリンクとして結実する。
    コンテンツの中身もさることながら、この人が書いているからといった状況に意味があるといった状況だ。

    私が書いたら別にどうってことのないことでも、辻氏が書いたら、

    「うーん、すごいわ」

    て思われるかも知れない。
    まあ、そういったことも含めてコンテンツを作っていくことだ。

    このレベルは通常はSEO業者には無理である。

    たかぽん氏の記事「3年後に生き残るアフィリサイトを考えてみた①」が詳しくとても良記事だったので、是非ご覧いただきたい。

何を狙っていくのか?
それが曖昧模糊とした状態でコンテンツSEOという言葉でわかったような気になるからうまくいかないのだ。

それは、何の戦略もないWebサイトを作るとうまくいかないということとほぼ同義である。

SEOから先に考えると全て失敗する


企業担当者も制作業者もSEOについて誤解していると感じることがある。
SEOをそれ単体が特別なものとして捉えられているという誤解だ。

SEOはWebサイトにおける集客活動のごく一部を担うに過ぎない。

それ自体が独立して存在するわけではなく、SEOのみでできることなど高々知れている。
期待しすぎると失望する。

よくあることであるが、キーワードプランナーといったツールを使って、キーワードを洗い出してコーポレートサイトを作ろうという企てなどは間違いである。

コーポレートサイトに求められるページとは何であるか?

ユーザーに対して、製品・サービス・会社の情報を余すところなく伝えること、信頼を持ってもらうことだ。
集客しなくては目的は達成できないが、SEOに偏って内容をおろそかにすると、そもそもの目的を達成することができない。

SEOによって内容をおろそかになるケースというのが、キーワードありきでWebサイトを作ってしまう場合だ。
何故、キーワードありきで作ると内容がおろそかになるか?

それにはいくつかの理由がある。

  1. 本来、ページは書くべき内容が先にある。しかし、書くべき内容が明確なイメージがないままにページを作ることによって、価値のないページができる。
    読んでも印象に残らない、あるいはあまりにもありきたりでつまらないページになる、もしくは、ユーザーニーズとかい離した内容のページになる。
  2. 類義語を使ってそれぞれ別のページを作ってしまう。
    例えばお風呂のリフォームのページを作る場合を想定しよう。
    「風呂」「ユニットバス」「浴室」といったように主語に相当するキーワードが複数ある。
    「リフォーム」「改築」といったように述語に相当するキーワードも複数ある。
    このように主語、述語ともに複数ある場合、全部の掛け合わせのパターンを作るということが間違いのもとなのだ。
    サイト内での統一感が失われるし、単体の記事は良かったとしても類似のコンテンツが多数できてしまう。
  3. ユーザーが自社のサイトに求めている内容とかい離したページができる。

その結果として、ブランドイメージを損ない本来の目的を達成することができなくなる。

この会社はこの程度のことしか考えていないのか?

と思われてしまうのである。
最近は、コンテンツSEOという言葉が流行しているが、この手のページを量産しているのであれば結局のところ目的を達成できないだろう。

そうして、検索エンジン経由の集客そのものもうまくいかない可能性が高い。

書くべき内容のイメージがなければ、検索キーワードをとりあえずタイトルと、本文に含んではいるもののぼんやりとした記事になるだろう。
そうすると、検索キーワードに対する記事の内容の掘り下げが浅くなって、検索エンジンからは評価されない。

テクニカルな話をすると、「共起語」が少なくなるといったページになる。そのことがきちんと理解できていない人が書くため、どうしてもそうなるのである。

では共起語を文章中に入れ込んでやればいいではないか?

というようにズルく考えればなるのだが、これにはあまり意味がない。

Googleが認識している共起語を正しく知るツールなんてそもそも存在しないのだ。

また、文章の内容の良否は共起語だけに依っているわけではない。
良い記事は、良い記事を生み出す努力と、知識によってのみ作られる。
上辺だけ真似しても、うまくいかない。

歴史的に有名な画家の絵は数億円の価値があり、それを模した画学生の絵は価値が全くないか、数万円といったところだろう。
見る人が見ればわかる。
それと同じだ。

また、類似コンテンツができてしまうことによっても、サイト全体の情報量が薄くって検索エンジンから評価が下がることも十分に考えられる。

結局、SEOに偏したサイトというのは、ブランディングを損なうのみならず、検索経由の集客もうまくいかないのだ。

最後に一言書いておこうと思う。

私は検索キーワードを見つけるツールそのものは意味がないとは思っていない。
使い方によっては有用である。

「Google先生」という言い方がある。
「何でも知っているGoogle」という意味だ。
検索のほとんどは自分が知りたいことの答えを、Googleから教えてもらうという行為である。

「ユーザーはどういうことを疑問に感じるのか?」
「ユーザーはどういう言葉を使って検索しようとしているのか?」

ということを知るためにツールを使うことは非常に有用である。
検索キーワードの裏側には検索するユーザーが存在する。

そのユーザーのことを知るために、検索キーワードを知ることはとても有用だ。

そのキーワードの検索ニーズはこれだ。

と考えることは的が外れていることがままある。
そうではなくて、検索ニーズを満たすための内容とは何か?を良く考えてページを作ることは実際に検索ユーザーにとっても有用な試みである。

検索キーワードは単なる文字として存在するのではなく、人間のニーズとして存在していることを考えて作るのであれば有意義であることを最後に付け加えておくのである。

インハウスSEO担当者にとって知識より重要な能力・資質とは


インハウスSEOをやっていると、SEOの知識がそれ程必要ではないことに気がついたりする。
それはなぜかと言うと、

SEOの知識が必要になるのは新規サイトの構築時・リニューアル時といった非常に限られた場合しかなかったりするからである。

年がら年中、リニューアルをやっているわけはないし、実際にリニューアルがあったとしても、普通はそれほどSEOに関する考慮点はない。

数百ページ程度のWebサイトであればSEOの技術そのものの巧拙によってそれ程差は出ない。

極端な話、WordPressやMTといったCMSで作ってやれば、Google検索エンジン最適化スターターガイドに書いてある程度のことを理解していればまず問題ない。

※とは言え、SEO担当者に知識が要らないわけではない。
デザインやユーザービリティとのSEOがバッティングした場合にどっちを優先させるか?
あるいは、両方とも損なうことがないうまい落としどころを見つけるといったあたりは、知識あるいは経験がモノをいう。

さて横道にそれた。

SEOの高い技術がインハウスSEO担当者に求められるわけではない。
では何が必要なのだろうか?

私が考えるSEO担当者に必要な能力・資質とはこういうものだと思う。
必ずしも正解とは限らないのだが、参考になれば幸いである。

1.SEOに関する見識

SEO担当者の担当者たるゆえんはここにあると私は思う。
これが最重要だと考えるのだ。

もし、SEOに関する知識が足りなかったらば、外部のコンサルタントや業者を雇ってもいい。
会社の内部で足りないリソースを外部から調達するのはごく普通のことだ。

しかし、SEOのサービスは経営コンサルティングなどと一緒で、コンサルタントの言うことをうのみにすると非常に有害な時がある。
知識・経験の低い経営コンサルタントは時にクライアントの会社を傾けたり、時にはつぶしてしまったりする。

SEOのコンサルタントはこれと同じだ。
知識・経験の低いコンサルタント、業者に従うと、サイトの存続基盤が破壊されるという事態が起こる。

良否を見極めるのは、

見識

である。
自分自身の中に「あるべきSEOとはこういうものである」というぶれることがないしっかりとした軸を持つことだ。
あるべきSEOを実現してくれると確信できるコンサルタントや業者と契約するのである。

これが最も大切である。

2.実行力・実現力

コンサルタントであれば、

「こうすればいいんじゃないですか」
「こうするべきでしょう」

という助言をすればとりあえず責任は果たしたことになる。
しかし、インハウス担当者はそこからが仕事である。

それに必要な予算、人員、時間といった所要の資源を確保しなくてはならない。
非常に難しいが、障害を突破し、達成するまであきらめない強い精神、実現力がなくては成功はおぼつかない。

このあたりは社内の信頼がインハウスSEOの成否のカギを握るに書いたので、ご覧いただければと思う。

3.企画力

これを1番目にもってきても良かったかもしれない。
卓越した企画力を持つインハウスSEO担当者は、技術・知識が全くなかったとしても優秀な担当者たりうる。
技術、知識のないSEO担当者をSEO担当者と呼べるかは別だが、SEOがもたらすであろうビジネスの成果を

「競合に勝つためにはもっとリンクが必要ですね。」

コンサルタントならそう言うだろうし、

「内部だけでは無理です。やっぱりリンクを張りましょう。」

SEO業者はそう言うかもしれない。
外部施策の重要性は今もほとんど変わっていないので、リンク獲得は今でも非常に重要だ。

コンサルタントならば「外部リンクが必要です」というだけで普通仕事は終了だが、インハウス担当者であれば、

「どうやってリンクを得るか?」

を考え、実現しなくてはならない。

Webサイトの置かれている状況や、会社で使えるリソース、できること・できないこと、協力してくれる外部のパートナー・・・

といった状況は全てにおいて異なる。
あるサイトをやった時はリンクをもらえた方法でも、今やろうとしているサイトには適用できないことが普通だ。

知恵を絞り、柔らかい発想で考え、素早く実行に移すことが必要である。
これを持ち、リンクを外部から獲得することができれば、多少施策がまずかろうと技術がなかろうとSEO担当者としてつとまる。


最後になるが、なにゆえにこんな記事を書こうと思ったか?を記しておこうと思う。

私はインハウスの担当者であったりもするのだが(実際はそれ以外にも種々、諸々、様々な仕事を色々やっている)、インハウスSEO担当者にはビジネススキルが求められると感じるのだ。

「〇〇がないからできません。」

という言葉は外部コンサルタントであれば許されるが、インハウス担当者には、

「では、〇〇がないならどうやって目的を達成すればいいの?」

そこまで考えるのがインハウス担当者の仕事である。
〇〇には、予算、サイトのオーソリティ、人員、スキルといった様々な言葉が入る。
ないからと言って逃げることはできない。それを何とかするのが仕事である。

これがない状況、というか何かがないという状況はビジネスにおいてごくごく当たり前で、それがないならないなりにどうすればいいか?
を考え、実行するといった仕事だ。

元々業者やコンサルタントであったとしてもインハウスSEOが簡単にできるというのは大間違いであり、求められるものは全く違うと考えた方がいいと私は思っている。

コンテンツSEOで上位表示をうたうサービスの真実


インハウスSEOをやっているとSEO業者からテレアポがかかってきて、ブログを書くねたに事欠かない。
SEOとは関係のなさそうな業種なのでかかってくるのである。

これは以前「人工リンクだけではないスパムSEO業者の手法」に書いたとおり。

最近のテレアポは実に巧妙で、SEOの営業という意図を秘匿してかけてくる。
あたかも新手法であるかのようなテレアポである。

同じようなネタばかりで恐縮なのだが、注意を喚起しておきたいと思った次第なのだ。

「完全にナチュラルな手法ですので安心です」
「Googleのガイドラインには一切触れません」
「コンテンツSEOという手法なので大丈夫です」

こんなうたい文句がどうやら流行っているっぽい。

実際にその通りであれば問題ないのだが、嘘、まやかしかもしれない。
今回私にテレアポをしてきたのは、業界では有名な悪徳SEO業者。

それに付き合う私も私だが、評判だけで判断するのではなく実際に有用であれば採用してもいいかもしれないと思っているのである。

クライアントが検索順位の1位を占めているキーワードでググらせてみて、検索結果を表示させる。
確かにそこそこなキーワードで1位に表示されていた。
(でもこれって、クライアントの了解はとっているんですかね・・・)

「我々はコンテンツを作り込むことで、このキーワードで1位を獲得しました。」

とテレアポの担当者は言っていた。

このトークには気をつけたほうがいい。

「コンテンツだけでビッグキーワードは獲れない」

と思っておいたほうがいい。
コンテンツで確実にとれるのはスモールキーワードからのアクセスである。

ファインダビリティという用語がある。
SEOにおいてファインダビリティとは、検索結果にどれだけ露出をしているか?
を指している。

ビッグキーワードで上位表示すれば、検索数が多いので当然ファインダビリティは大きく上昇する。
コンテンツSEOによる効果はここにはなくて、様々なスモールキーワードで少しずつファインダビリティを高めることにある。

コンテンツでビッグキーワードを狙ってとることはできない。
コンテンツの増加によって、結果的にサイト全体の評価が上がってビッグキーワードが上位表示することはあるが、それはあくまで「ラッキー」だったということだ。
(面白いコンテンツを作ることによって、口コミを巻き起こしてリンクを集める方法もあるが、これも一種の博打のようなもので確実性はない)

私はその場でOpen Site Explorerを開いてみて、バックリンクを見てみた。

被リンクがバンバンに当たっている。

「これ人工的なリンクではないですか?」
「え?ナチュラルリンクですよ。」
「どう考えても人工ですよね?」
「いえ、一記事一記事手作りで書いてますので人工リンクではありません。」

手作りで書いていれば人工リンクではないという見解にはなかなかしびれるものがあった。
確かに発リンクするページは、アンカーテキストに応じてそれに関連する記事が書かれている。

ワードサラダや、無関係なテキストにアンカーテキストがただ埋め込まれているといった、いかにもバレバレな人工リンクではない。
確かにこれならGoogleを騙しおおせるかもしれないってレベルである。

人工リンクの定義とは何だろう?
それは、

「検索キーワードの順位上昇を狙って作られたリンクのこと」

である。
まさしくそれだ。
文章は確かに手作りであるものの、当たり障りのないことしか書かれておらず、これを読む価値はほぼゼロだ。
被リンクのチェックに慣れてくると、見た目だけで人工リンクかどうかはかなりの確率で瞬間的に見分けられるようになるが、慣れれば瞬時に見分けられるレベルである。
また、ドメイン名も明らかに内容と合致していない。
Wayback Machineで見てみると案の定オールドドメインである。

これを人工リンクと言わずして何という。

「中古ドメインも使われてますし、手作りとは言えコンテンツの内容はないに等しいですよね。」
「そうかもしれませんが、でもやはり被リンクがある程度はないと上がらないですから。」

被リンクがないと上がりにくいということはこれまた事実である。
今でも被リンク重要性は全くと言っていいほど変わっていない。
ナチュラルリンクが付けばいいのだが、今でもGoogleはナチュラルリンクと人工リンクを完全に見分けられないので、上がることは事実である。

まるっきり新規のサイトなどではSEO業者がちょろっとリンクを張ると瞬く間に上がったりとかするし、長年放置されていたような企業サイトでも検索エンジンからのトラフィックが見違えて増えたりする。

結局のところ、このテレアポ業者はコンテンツも作っているものの、人工リンクによる外部施策で上げているのだ。
まあ、今までの見るからに怪しい外部リンクだけで上げる手法よりはましとは言えるが、高いリスクがあり私としてはお勧めはしない。

もし、コンテンツSEOをうたい文句にしているのであればリンクは使うのか?
そこをよく確認する必要がある。
特に順位上昇をうたい文句にするコンテンツSEOは、実際はコンテンツSEOでない可能性が非常に高いので注意せねばなるまい。

社内の信頼がインハウスSEOの成否のカギを握る


最近のトレンドはインハウスSEO(外部業者に頼まず自社でSEOを行うこと)だ。

アフィリエイトサイトの場合は全く無から始まるので被リンクはゼロなのだが、企業サイトの場合は企業活動に伴い必ず何らかの被リンクが付く。
私は被リンクがゼロであることと、少数でもちゃんとしたリンクがあるのは天と地ほども違うと私は思っている。

何かサイトができました。

ということをGoogleが検出した時に、そのサイトの正当性みたいなものを把握しようとする。
その際に全く外部からのリンクがなければ、評価の下しようがない。
リンクがなければ評価が著しく低いままに放置される可能性がある。

ところが企業サイトであれば企業活動が存在する。
人材募集をすれば求人サイトやハローワークといったオーソリティの高いサイトからのリンクが付く。
業界団体といったページもオーソリティが高いだろう。
電話帳に掲載すれば電話帳データベース系のサイトからリンクが付く。

これらのリンクはいわば企業の実在証明みたいなもので、サイトに存在意義があることをGoogleに対して証明するものだ。
ということで無理やり人工リンクをつけなくても、原則的には内部だけで勝負になる。

コンテンツの充実やといった内部の施策だけで検索結果への露出を高めることができる。
今までと原則論としては変わってはいないものの、よりその傾向は強まっている。

この原則に従うならば被リンク業者の出番はないのだ。

では誰でもインハウスSEOはできるのか?
なのだが、

「YesでもありNoでもある」

といったもったいぶった答えになるように思える。
確かに誰にでもSEOはできることは間違いない。

数百ページまでといった小規模なサイトであれば、コツコツコンテンツを作っていけばいいのだし、比較的大規模なサイトであってもやるべきことは大体決まっている。
前までは少なかったが、現在はユーザ参加型の大規模サイトについてのSEOの情報も比較的手に入るようになった。

SEOはこれをやれば順位やファインダビリティが確実に上がる正解はないのだが、

「これはやるべき。やって損はない。」

といった正解は数多くある。
自社サイトの中にある確実な不正解をつぶしていけば、検索結果経由での集客力を確実に高めることは可能だ。
なので、確実にやりさえすればSEOはできる。

しかし、インハウスのSEOにはインハウスならではの難しさがある。

SEO担当者に力が必要なのだ。

外部のコンサルタントなどと異なり、担当者には担当者としての権限と権威しかない。

SEO担当者はWebの制作部門であったり、広報であったり、あるいはシステム部門の所属であったりとか何らかの部門に属している。
そして、たいていはその部門の長ではなく、一担当者に過ぎないことが多い。

インハウスSEOというものは部門横断的な取り組みが必要である。
システム部門や広報、営業部門といった様々な部門の協力がなければ成功はおぼつかない。

しかも、それを行うことによる成果について定量的な説明ができない。
これをやったからどれだけの成果が得られるか説明することは不可能だ。
やらないよりもやったほうがいいということを積み重ねて、そのどれかあるいはいくつか、あるいは全部が成果を生み出す。

これはシステム部門からすれば、

「それやるのに工数は大体10人日かかります。それに対しての効果はどれだけ見込めるんですか?わからない?わからないなんて言わないで下さいよ。そんなコスト感覚のない発言は無責任ですよね。」

営業部門からすれば、

「Webサイトからの引き合いを取ることには大賛成ですよ。でも、コンテンツを作っていつ成果が出るか?わからない?わからないってそんなものに協力はできませんね。こっちはあなたと違って目の前にお客さんがいるんですよ。」

といったように反対されるのが普通である。
これらの反対を押し切ることが出来なければインハウスSEOは絶対に失敗する。
障害は競合サイトではなく社内にあるのだ。

そしてこれらの反対発言には根拠があり合理性がある。
それに対してSEO担当者の意見には合理性がないことが多くSEO担当者に分が悪い。
SEO担当者に社長の後ろ盾といった政治力があればいいのだが、普通はそんなものはない。

社内の反対を押し切る力とは何か?

それは「信念」だ

もし成果が出るという信念が持てなければ、打ち負かされるしかない。
信念を持つためにはどうするか?

インハウスSEOに必要なものは成功体験だ。
こうすればうまくいったという過去の事例が、自信をもたらし、言葉に説得力を与え、人を動かす。

サイト内の小さな改善による成功事例がよいが、実験サイトでもよいだろう。
成功するかしないか自信がないということは、自分自身すら説得することができないということだ。
自分自信すら説得できなくて、どうして他人を説得することができようか?

自分自身のやったことが成果を生み出したことを実感できれば人を動かせる。

そして、最初はちょっとした成功でもよいので、成果を出すことで社内に少しずつSEOは役に立つといった評価を植え付ける。
これによって社内における力、信頼を得てSEOを円滑に進めることができるようになる。

これがインハウスSEOの力の源泉で、皆に信頼されることが成し遂げるために必須なのだ。

SEOはテクニックだけを真似しても成果は出ない


SEOで多くの集客を行い成功しているサイトは数多くある。
その真似をしてもSEOはなぜかうまくいかないことが多い。

nanapiのSEO施策を辻氏がセミナーで紹介して以来、nanapiはSEOのベストプラクティスとして有名になったように思う。
(この意味で有名になったのだが、これはユーザーを増やすことにつながったと思っている。現に私はあのセミナー以来nanapiを見るようになった。SEO的な観点ではなく、一般ユーザーとしても使うようになったし)。

このセミナー以降、nanapiのSEOは様々なWebサイトのオーナーから真似られるようになったようだが、これによって集客力が大きく増大したといった話を聞いたことがない。
まあ、私が単に知らないだけという可能性もあるので、実例があったら教えていただければ幸いである。

これは単に一つの例に過ぎないのだが、SEOでうまくいっている成功事例は数多くあるが、それをテクニックだけ真似てもうまくいかない。
それは何故か?なのだ。

私が実感することがある。

コンテンツには質量が存在していると思う。
読んだときに感じる質量がコンテンツの価値だ。
そうしてコンテンツの質量の総和がサイトの価値である。

逆SEOというモノがある。

企業名などで検索した際にイメージが悪い内容のページが検索結果上位に表示されている場合に、イメージが悪いページの検索順位を下げてイメージの悪化を防ぐというサービスである。
この手法は、検索下位にあるページにリンクをつけたり、新しくページを作ってリンクをつけた上で更新していき上位表示を狙っていく方法だ。
検索順位5位にあるページを下げようとする場合には、そのページよりも強いページを6つ作るといった必要がある。

逆SEOは実際は非常に難しい時が多く、ことの善悪はともかく都合が悪いページがずっと居座る時が多い。

いくら業者が頑張ってページを更新しようが、サイトのボリュームを増やそうが、被リンクを当てようがどうにもならないことがある。
そんな場合とはどんな場合だろう?

都合の悪いページの質量がズシッととても重たい場合だ。

たった1ページしかなくても、その中に込められた怨念がとても重たい場合。
あるいは、そのページを書かせるに至った背景が重たいといった場合。

こんな場合は、ただの個人のブログとかであっても順位を落とすのがとてもとても難しくなったりする。
SEO業者がいかにテクニックを駆使して、手間をかけても凌駕するのが難しいのである。

恨みといった負の感情だけではなく、そのコンテンツにどれだけ情熱を注ぎこむことができたか?
これがコンテンツの質量を決定し、SEOの成否を分ける。

SEOで成功しているサイトは、単に上辺のテクニックが優れているのではなく、いかにコンテンツの質量を増やしたか?において優れている。
コンテンツの質量を増やすためには、良いコンテンツを集めることを成功させるための周到な準備や仕掛けが重要になる。

もちろんSEOの設計がよくできていることも要因なのだが、コンテンツの質量を高めることができた故にnanapiは成功している。

読むに値するコンテンツがあることがSEOの前提であって、これなくしてSEOをいくら頑張っても無理なのだ。

私は一見非常に当たり前のことを述べているように思われるかもしれない。
しかし、当たり前だが難しく、そして知恵を絞らねばならないポイントだ。

コンテンツを作成するためにはコストがかかる。
コストには外部にコンテンツ作成を依頼する外注費であったり、社内で作成する場合の人件費、あるいはディレクションの手間といったものが存在する。

様々なWebサイトにおいてかけられるコストは決まっている。
そこから得られると想定される利益を超えてコストはかけられない。
コンテンツを第三者に書いてもらうようなCGMといったサイトの場合でも、集めるための様々な仕掛けのためのコストが必要で、膨大にかけたとしても費用対効果に見合うほど集まらないという可能性も大いにある。というよりこれに失敗して消え去るサイトが多い。

コンテンツの集め方については多数の戦略の中から自社の状況に応じた方法を適切に選択し、そして常に努力し続けることこそが成功をもたらす。

これがなく、サイトの構造や、コーディングといった上辺だけを真似してもSEOはうまくいかないのだ。

有名サイトを真似してもうまくいかない。

と嘆いているのであれば、サイトのコンテンツの質をそのレベルに高めるという取り組みを行ってみることをお勧めする。
最初は予算が潤沢になければないなりに、限られた予算、人的資源の中でできる限りよいコンテンツを用意してみよう。

これは遠回りに見えるかもしれないが、結局はこちらの方が成功には近道である。

多数の薄いコンテンツを用意して(薄いコンテンツというものは単に文字数を指すわけではないことに注意。また、単に共起語が入っていればいいって単純なものでもない)、サイトボリュームの増大や、ロングテールを狙うよりも、比較的少数のよいコンテンツを用意したほうがいい結果につながることを強調しておきたいのだ。

悪徳SEO業者をどう避けるべきか? SEO小説のまとめ


地味なSEOブログでありつつも3年も継続することができた。
これもひとえにこのブログを読んで下さる皆様のおかげである。

これは社交辞令でも何でもなくって、本音で暖かいコメントに励まされてやってこられたのだ。
実は毎週ブログを書きながら、こんなありきたりの内容を書いて何の役に立つのだろう・・・。と内心冷や汗をかきながらアップしているのである。

でも続けてきてよかったと思う。
ブログを始めるまではSEOというWebの業界の中のさらに狭い一業界の片隅でひっそり生きていたのだが、今は自分自身が主人公であると感じている。
これはうぬぼれではなく、ブログといったメディアは一人一人を主人公にする、極めて能動的なコミュニケーションツールなのだろう。

ブログを書かれたことがない方は書かれてみることをお勧めする次第である。
まあ、続けていくのはとっても辛いですけど・・・

さて、前置きが長くなったが本題である。

今までのSEOをテーマにした小説を4本アップしてきた。

全て悪徳SEO業者が行うSEOスパムによって被害を受ける小説である。

実際のところここまで悪いSEO業者は今はさほど多くはない。
クレームをつければそれなりに対応してくれるケースが多い。

しかし、今でも悪徳業者は存在するし、またユーザー側においてSEO業者を使う知恵がなければ、結果として悪徳SEO業者に依頼したのと同じことになるかも知れない。

なので悪徳SEO業者を避けるためにどうするか?
SEO業者の施策によって被害を受けないためにはどうすればよいか?について私なりの考えをSEO小説の総括として述べておこうと思う。

  1. その施策に価値があるかどうかを検証する
    そもそもそのキーワードで上位表示したとしてもほとんど儲からないキーワードがある。
    上位表示された場合のキーワードの有用性は、検索数とニーズの二つの観点から検証されなければならない。
    検索数が多く、自サイトの顧客になりうるキーワードは有用なキーワードだ。その観点からキーワードを提案してくれる業者でなければならない。
  2. 小説に出てくるクライアントはこのあたりの確認を全く行っていない。

  3. SEO業者の施策の内容を理解する
  4. 内部施策・外部施策ともに内容を理解できるためのスキルが必要である。それがなければ施策の良否を判断できない。
    担当者は最低限HTMLやCSSは多少は読める必要がある。

  5. ペナルティになった場合の契約書上の対応を確認する
    これが最重要事項である。
    契約中にペナルティになった場合は回復する支援を無償で行う、あるいはリンクを撤去した上で無条件で契約を解除することができる。といった条文が必要である。
  6. ペナルティになった場合は、有料で回復作業を行うのであればわざとペナルティにして、それをネタにしてまたお金を取る(盗る?)といったやり方で食い物にされる可能性がある。小説中の会社はこのような被害を受けている。どこの業者とは書けないのだが、このような悪徳業者も存在しているので要注意だ。

  7. Googleのウェブマスターツールの導入は必須
    ウェブマスターツールを導入しないと、手動ペナルティの有無が確認できない。
    ペナルティになったかどうかがわからないし、SEO業者が行っている被リンクの質の確認もできない。

    ウェブマスターツールの導入を嫌がる業者は警戒しなくてはならない。施策でペナルティになったことをクライアントに隠そうとする意図がある可能性が高い。

  8. 被リンクの確認を行う
    まずはSEO業者が施策を開始する前に被リンクをダウンロードしておく。
    その後、増えたリンクを見ればそのSEO業者のリンクの質がどのようなレベルかわかる。
    リンクの質は、SEOについて素人であったとしてもかなり分かる。明らかに不自然であったり、読む価値のないページからのリンクは質が悪いのである。

    最初にリンクをダウンロードしておくことには、もう一つの意味がある。
    もし、ペナルティを受けた場合に、SEO業者が張ったリンクを把握できるようにしておくためでもある。
    ペナルティを受けて業者がリンクをはがす場合に、ちゃんとはがしたかどうかを確認するためにも必要だ。

    ちなみにリンク施策の開始前と開始後のリンクの差分を調べるために誰でも簡単にチェックできる方法は、EXCELのvlookup関数を使うのが簡便でお勧めだ。

  9. そもそもそのSEOが必要なのかを吟味する
    SEOの巧拙はサイトの集客力を大きく左右する。失敗すると逆に大きくアクセス数を失う事態を招く。

    これが最も避けなければならない事態である。何もしない業者の方がまだはるかにましだといえる。
    やる必要がなければSEOを業者に外注しない方がいい。もし、業者の提案が魅力的だった場合であっても、リスクとの兼ね合いで判断しなければならない。

    業者がノーリスクだと言っている場合は特に要注意。実際にノーリスクなSEO施策も確かに存在はする。
    見分け方として、自動的に集客力がアップなんてSEO施策は100%スパムだと断言して差し支えない。それ以外の提案であれば納得のいくまで説明を受けるのが重要だ。

SEOに投資すべきか否かの現在と未来


SEOはすぐに結果が出るものではない。
そこを勘違いするクライアントが多いし、初心者のアフィリエイターも然りだ。

アフィリエイターのほとんどは、成果が出る前に挫折すると言われているが恐らくこれが理由だと思う(アフィリエイターではないので実はよく分かりません)。
特に個人のアフィリエイターはリスティングといったお金のかかる手法は最初から使うことができず、どうしても自然検索経由での集客がメインになってくる。
そうなると、ある程度記事を書いてみて、

「全然来ないわ」

というところで挫折してしまう。
以前、松岡修造氏の名言を紹介したことがある。

100回叩くと壊れる壁があったとする。
でもみんな何回叩けば壊れるかわからないから、
90回まで来ていても途中であきらめてしまう。

どれくらいまで頑張れば成果が出るのかわからないので、途中であきらめてしまうという比喩だ。

SEOで成果を出すことのできないサイトの多くはこれである。
90回どころか30回ぐらいであきらめているのではないか?
と思うのだ。

まずは気合の入った記事を100記事ぐらい作ってみましょうよ?
そうすれば成果が出る可能性が出てくる。

まともな記事を100記事作るには手間がかかるだろう。
その程度もできない、やりたくないのであればSEOで集客するのはあきらめたほうがいい。

と言っているのだ。
時間は金と同じく重要な資源だ。

その資源の振り分け先として、SEOにつぎ込まないほうがいいということなのだ。

中途半端につぎ込むのならばぼぼ無駄になる。

半導体の研究開発をする会社を作り、月間百万円の研究費を使うことに決めた場合を考えよう。

競合が数百億、場合によっては数千億とか投資しているような業界である。
たった百万円ぽっちを投資しても何の役にも立たない。

そんな業界に百万円程度しか投資できないのに参入するのは愚かな選択である。
でも、月間百万円投資できればできる事業もたくさんある。
百万でできる事業をやればいいのだ。

SEOもこれと同じだ。

SEOにつぎ込めるのであればやればいい。つぎ込めなければやらなければいい。
時間、あるいは資金をある程度潤沢にかけることができる。
ならばやることも選択肢に入れてよいだろう。

時は金なりというが、その逆に金で時間を買うこともある程度は可能である。

SEOのためには質のよいコンテンツが必要である。
質のいいコンテンツを作るためには、質のいいライターを確保する必要がある。

SEOに必要な質のいいライターとは、

「自社の扱う商材に関するテーマについて深い造詣があり、余すことなく表現できるライター」

を指す。
最も良いのは開発者やユーザーサポート担当者など商品について詳しく知っている人、最も良いのは会社の代表者といった詳しくてかつ売れ行きが利害に大きくかかわっている人であると言われる。
これは確かに正しいのだが、これらの人は一般的に多忙である。

コンテンツの企画は社内で行い、いいライターを選定して、しかるべき報酬を払ってやれば社外でも可能だ。

しかるべき報酬とはどれくらいなのか?は状況によって異なってくる。
報酬とは金に限らないからである。
自社サイトがすでに有名サイトと認知されていて、そこに原稿を掲載することがその分野での有名人の証とされるようなサイトの場合であれば金銭的には安くてもいいかも知れない。それまでに積み上げてきた信用こそが報酬である。その信用を得るまでにはやはり相当の投資が必要だ。

一般のサイトであれば報酬イコール金だ。
金を払ってコンテンツを作ってもらう。これは考慮すべき選択肢である。
金で時間を買うのである。
この場合は、十分な資金を用意する必要がある。

先ほどの半導体の研究開発と全く同じである。
十分とは全く言えない金額をかけても成果にはつながりにくい。

とは言え、やってみるまでどれくらい成果がでるのかが分からないのがSEOである。
費用対効果が予想できなければ投資することなどできない。
という考え方もあながち間違ってはいない。

そう考えるのであればSEOには投資をしないほうがいいのかも知れない。

しかし、私はこう問いたい。

「ではあなたの会社は費用対効果が確実なものにしか投資しないのですか?」

研究開発も失敗することがある。
広告も費用をかけても空振りするときがある。

しかし、やらなければ競合他社に敗れるだろう。
結局最後は不確実に賭けなければならないのだ。

SEOもまさしくこれである。

もし費用対効果が不明確だからといって全く投資しなければ、キーワード検索というWebマーケティングにおける最重要とも言える領域を他社に取られる。

それが意味することは何かを考えたほうがよい。

分からなければ10年前を思い出してみるといいだろう。

10年前インターネットで物を買うことはさほど一般的ではなかった。
10年前ネットでゲームをやる人は一部のマニアだった。
10年前新聞を止めてネットでニュースを見ようとは思わなかった。

と考えてみるといいだろう。

今はいいかも知れないが、10年後どうなんでしょう?と思うのである。

短期的にはSEOをやらないという選択肢はあるが、中長期的な戦略としてはSEOに取り組まなくてはならないというのが私の考えである。

※10年後検索エンジンがなくなっている可能性もなくはないが、その可能性は少ないだろう。またコンテンツに取り組むことは検索エンジンがなくなったとしても有用な取り組みであるはずであり無駄ではないはずだ。

5年後SEO業者は何をしているか?


Web&モバイルマーケティングEXPO2014春という東京ビックサイトの展示会があり、SEO業者も何社かブースを出しておりそれなりにまあまあ面白かった。
(リンクを張りたいのだが2014年のページとして適切なページがないので張らない。もう少し考えてほしいものである。もったいない)
被リンク一辺倒という業者はなく、ホワイトハットを謳い文句にした(実際は違うのかもしれないが)SEOサービスにシフトした感があった。

リンクでは飯が食いにくくなったことは私も色々なSEO業者から聞いており、

「いやぁ、最近は本当に上がりにくくなりましたよね・・・」

といった営業担当者の嘆きを聞いたりすることもある。
(どことは言いませんけどね)
今でも被リンクで上がることが多いのも事実であるが、ペナルティでガツンと下がるリスクを考えたら割が合わない。

私は色々なサイトの被リンクを分析したりしているが、ペナルティを食らったサイトを見ていると心配になることがある。
発リンクがある同じページから大量のリンクがあり、それ以外の様々なWebサイトへのリンクが張られている。

結構名前の知られている大手企業や、Webサイトを見ていると良心的な商売をしているような会社も多々ある。
それらの順位を調べていると必ずしもペナルティを受けているとは限らない。
ペナルティを受けてないことが多いのだが、ペナルティ予備軍であると言って差支えない。

コップに1滴ずつ水を垂らしていって、いつあふれるか?
あふれたらアウトだという状況に似ていて、これらのサイトは明日にもペナルティを食らう可能性がある。

実際にはペナルティを食らっていても気が付いていないのかもしれない。
いつも見ているサイトはGoogleでは検索結果上位に表示される(パーソナライズ検索)の働きがあるので、実際は順位が下がっていても気が付いていないのだけかもである。
心当たりがあったら一度確認されることをお勧めする。

さて、やっと本題。

5年後SEO業者は何をしているか?

である。

  1. 完全成果報酬による被リンク販売

    これまでの主流であった完全成果報酬による被リンクを売っているSEO業者は恐らくはまだあると思う。
    完全にSEOスパムを除去することはその頃の検索エンジンにはできていないと私は予想しているのだ。
    しかし、検索順位が上がって成果報酬がもらえる確率が下がる、言い換えれば歩留りが下がってビジネスが難しくなる。

    今と比較して高価なサービスになるだろう。
    歩留りが下がったら一つ当たりの単価を上げるしかないからだ。
    また、進歩したアルゴリズムに対応するためには、被リンクの質を良くしなくてはならないので、これもまたコストの上昇につながる。

    価格帯的にアフィリエイターや中小企業が使えるサービスではなくなるし、かといってブランディングを重視する大企業は使わないだろう。
    ごく一部の高収益キーワードで売り逃げするようなWebサイトで使うか、旬の短い商品のための特設サイトを上げるためといったニッチな用途になってくると思う。

  2. 固定報酬制の被リンク販売
    成果報酬ではなく月額固定、あるいは初回1回のみといった被リンクサービスである。

    現在もこのようなサービスを提供してるSEO業者が多いが、こっちのほうがまだ完全成果報酬よりはビジネスとして残りやすいと思う。
    ペナルティを食らうほどの無茶な張り方ではなく、チョロチョロ張ることで順位はガツンとは上がらないが、

    「ほら、上がったでしょ」

    みたいな有用性の説明をする。
    80位が40位になりましたみたいな感じである。

    あるいは、単独のページではなく多数の下層ページに数本ずつリンクを付けていくといった、サイト全体の底上げといったリンク商品が生まれてくると思う。
    どのキーワードで上がるとも言い切れないので固定報酬制にならざるを得ないし、手間のかかるサービスになりそうなので比較的高額な商品になりそうだ。

  3. 内部改善のコンサルティング
    これで食うのは難しいだろう。
    5年後のGoogleはかなり精度が改善していると想像している。
    クローラービリティが悪くても、論理的にコーディングができていなくても、ページのテーマをそれなりに適切に認識して、相応の順位に近い順位を返すことがかなり多くなっているはずだ。

    よっぽど規模の大きいサイトや、ほんの数パーセントの検索トラフィックの増減が大きな金額の増減につながるようなサイトでもなければ、このようなコンサルティングを頼む意味はなくなっている気がする。

  4. コンテンツ制作業者
    本来検索順位は上げるものではなくて、しかるべき順位まで上がるものである。
    そのしかるべき順位とは、コンテンツの量・質に他ならない。

    制作業者としてのコンテンツの企画力・制作力・デザイン力といった総合力を高めてコンテンツ力でしのぎを削る時代になるのではないか?と思うのだ。
    こうなると、既にSEO業者とは言えないだろうが、これが本来あるべきSEOの姿と言えるかもしれない。

  5. 自社で運営するメディアで食う
    本当にSEOができるならば、自社でメディアを運営したほうが儲かる。
    何故ならば、SEO業者に支払うクライアントは、支払った金額の何倍も何十倍もそこから利益を得ているからだ。

    自社でメディアをもってSEOの力で食う。という方向へのシフトをどのSEO業者も模索していると思う。
    そのためには企画力や、資金力が必要だったりするので簡単ではない。でも、これが成功すれば報酬としてもらえる金額の何倍も何十倍も稼げるのでこれもSEO業者の進む先としては大本命かも知れない。

  6. 異業種に転換する
    SEOの経験や技術が役に立つ業種と言えばWebの制作会社ぐらいしか思いつかないが、この業種は超が付くほどのレッドオーシャンである。
    クラウドソーシングといった発注形態も増えており価格の下降圧力は激しさを増している。正直、Webの制作会社に転換して生き残れるとは思えない。

    むしろ全く違う業種に転換してしまったほうが生き残れるのかもしれない。

  7. 廃業する
    これが実際は多いのではないか?
    前述の全てに失敗したり、資金力がなかったりした場合はこうなる。

    大手は自社メディアの運営やSEO以外の事業の売上比率を増やして生き残り、中小のSEO業者は淡々と廃業していき5年後にはほとんど残っていないのではないか?

    そんな気がしているのである。


どんな業種であってもずっと安泰ということは基本的にはあり得ない。

SEOをやっている担当者は考えなければならないことがあると思う。
SEOというスキルに意味がなくなってしまったらどうなってしまうのか?

5年後を考えたときにどうするべきか?
遠いようで近い将来の話である。

数字だけ見比べる競合分析にどれだけ意味があるか


SEOの競合分析系のツールは数多く存在する。
私はそういったツールを使うことを否定するものではないのだが、使える局面は限定的でありそれに頼ることは危険だという話をしたい。

ツールで分析できる内容というのは、大体こんな感じである。

  1. ページ数あるいはインデックス数
    site:ドメイン名
    で検索結果に表示されるページ数
  2. Googleページランク
    ページランクを見るためのプラグインで見ることができる
  3. ドメインエイジ
    Whoisサービスを使えば取得可能
  4. ページの中の単語数
  5. 形態素解析エンジンを使えば取得可能
  6. ページ内のSEO対象キーワード出現数
    HTMLのソースを見てカウントする
  7. W3Cバリデーションチェック
    HTMLの正しさのチェック
    Another HTML-lint gatewayなどでチェック可能
  8. ページ応答速度
    Google社謹製のツールPageSpeed Insights
    Pingdomなどで計測可能
  9. 被リンク数
    OSE(Open Site Explorer)
    などで取得できる被リンクの数
  10. アンカーテキスト割合
    OSE(Open Site Explorer)
    などで取得されたアンカーテキストを集計して割合を出す
  11. 被リンクIP数
    nslookupサービスを使い、IPを調べれば取得可能

1から7までが内部要因でそれ以降が外部要因だ。
様々な競合分析ツールがあるが、基本的にはこれらの組み合わせで大体成り立っているといっていい。

たとえば、ページオーソリティ・ページ価値といった指標は(まあこれ以外考えられない)リンク元のページのページランクを勘案したのちに、全て合算するといった手法を使っているものと思われる。

さて、これのどこが問題なのだろうか?

まあ、これらの数字は一面の真実(っぽいもの)を表現してはいる。
しかし、下記の点において不十分なのだ。

ツールで分析できる内容というのは、大体こんな感じである。

  1. ページ数あるいはインデックス数
    site:ドメイン名で示される数は正確とは限らない。また、インデックス数が多いことが評価につながるとも限らない。
    内容の薄いページ、重複するページはむしろインデックスから排除しなくてはならない。
    この手のツールを使って、ページ数が非常に多い競合サイトを見ていると上記のようなページの排除ができていないケースが非常に多く見受けられる。
    あくまで目安の一つにしか過ぎないのである。
    まあ、使うケースはあまりにもダメダメなサイトのWebサイトのオーナーから「なんで上がらないんでしょう?」と聞かれたときに「競合は数百ページ、数千ページありますよね。それに比べたら貴社サイトの30ページは少なすぎますよね・・・」といったことを説明するときに使うぐらいである。
  2. Googleページランク
    最近はあまりページランクはあてにはならない。
    ページランクが低いページの方が上位に表示されているケースも少なくない。
    また、
    「貴社サイトはページランクが0と低いですよね。だから上がらないんですよ。」
    と言ってみたところで自分でページランクを上げる術はないのだから、行動指針としてはほとんど役に立たない。
    ページランクは上げるものではなく、結果として上がるものなのだから「努力が足りないのではないか?」という推測による結果を述べているようなもんだ。
  3. ドメインエイジ
    昔はドメインが古いほうが圧倒的に強いことが多かったが、現在はそれ程の差はなくなった。
    とは言えこれも、
    「ドメインエイジが新しいから上がりにくいですよね。」
    って言ってみたところでこれこそまどうにもならない。何の足しにもならない。
  4. ページの中の単語数
    単語数と順位には関係がある。
    とは言え、単語数はSEOの観点から考えるべきものではない。
    ユーザーにとって必要な情報が十分にあるか?といった観点でコンテンツを作ればその結果が単語数である。
    ユーザー視点で見て十分な情報があるどうかという視点で見るべきであり、
    「単語数が少ないから上がらないんだわ」
    と考えると大局を見失う。
  5. ページ内のSEO対象キーワード出現数
    これもあくまでも参考程度だ。
    多すぎても少なすぎてもいけないとも言われたりもするが、別に気にする必要もない。キーワード比率が50%を超えている(5%ではなく50%である)ような例でも上位表示しているケースもある。
    この数字から読み取れる教訓はほとんどないと言っていい。
  6. W3Cバリデーションチェック
    GoogleはあくまでもHTMLチェッカーではない。
    人間が見てわかる程度の正しさであれば通常は問題ない。これを見ても何もわからないし何の参考にもならない。
  7. ページ応答速度
    SEOの観点ではなくユーザーの利便性の観点で応答速度は高めなければならない。。
  8. 被リンク数
    これはSEO業者のセールストークに使われている可能性を考えたほうがよい。
    「リンクが少ないから上がらないんですよ」
    といった感じである。また、リンクの数といっても正確な数字もわからないし、リンクの1本1本の価値も違うので、一概には何とも言えない。
    確かに上位のページは被リンクが多いし、ページランクが高いページからのリンクも多いかもしれない。
    とは言え、これも目安にしか過ぎない。よしんば、正確にわかったとしてもそれが何になるか?という話でもある。
    人為的なリンクであればともかく、自然なリンクは増やそうとしてもそうそう増やせるものでもない。
  9. アンカーテキスト割合
    これが分かったしてもそれがいったい何なのだ?という感じである。
    自サイトの分析をするのであれば意味はある。アンカー過剰はネガティブな要因になる可能性があるので気を付けなくてはならないかも知れない。
    競合サイトの心配をする必要はないわけだし、ましてや競合で上位サイトと同じようなアンカーテキストの割合に近くなるようなチューニングを施すなんてSEO背策は愚の骨頂でしかない。
  10. 被リンクIP数
    人為的な被リンク対策を行っているSEO業者のセールストーク以外にこれは考え付かない。
    「当社のリンクはIP分散がなされていて効果抜群です」
    という言葉を裏付けるため以外にこんな分析に意味があるだろうか?

あまりこのような分析そのものには意味がないと私は考えている。
意味があるケースとしては、

上位表示を狙うには完全に力不足のオーナーに対して競合との差を認識してもらう場合。
上位に表示されているサイトがなぜ上位表示されているかを説明する場合。

この二つであると思う。
だから、何をしようといった次のアクションを考えるのはこれらの分析だけからはできない。
あくまで判断材料の一つであって、それだけを見て、

「ではリンクを買おう」
「ページを競合より増やそう」

と考えることは危険であるということを述べて終わりたい。

アクセスはあるのにコンバージョンが取れない場合に確認すべき6つのポイント


いくらアクセスが取れたとしてもコンバージョンが取れなければ意味がない。
検索順位がいくら上がっても、ロングテールで集客できたとしても成功しているとは言えない。

よくあるのがブログといったコンテンツで集客していて、ブログ自体はアクセスがそこそこ取れるようになってきたものの、コンバージョンに結びつかないというケースだ。

最終的にコンバージョンが取れないならブログを運営する労力は無駄だ。
コンバージョンが取れているのかを吟味せねばならない。

少々本題から外れるがブログ運営の功罪に書いておこう。
業務の一環として社員にブログを書かせている会社は多い。
無料ブログを使って書かせている会社は、労力対効果を見ているのだろうか?と心配になる。

結局無料ブログを一生懸命書いても、Amebloといったブログ自体の評価が高まりこそすれ、自社サイトの評価は高まらない。
また無料ブログはそのブログの中でアクセスが完結するように作られているので、自社サイトにアクセスを誘導しにくい。

無料ブログを使って会社のブログを運営されている方は、一度当該ブログから自社サイトにどれだけ誘導できているのかを確認することをお勧めする。
その方法がわからないのであれば、Webサイトの運営自体を見直したほうがよい。

趣味であればともかく、費用対効果がまったくわからないビジネスは基本的にはあり得ない。
費用対効果がまったくわからない状態で何らかの投資を行うことはないはずだ。

ところが、ブログの運営に関してはこれがまかり通っている。

私が思うのは、

「社員の人件費は無料だから」

って考えられているからかもしれない。
どうせ日本の多くの会社は残業をさせたとしても残業代なんか払わないから、多く働かせてもコストアップしないという現実があるせいなのではないかと考えたりしている。
とは言えサービス残業は隠れたコストであって、従業員の気力・体力を使っており会社の支出するコストとしてはゼロではない。
また、クリエイティブな発想というものは、就業時間内には生まれにくいものなので、残業は会社の創造性を損なっている可能性がある。

ベルトコンベアによる流れ作業といった仕事であれば、創造性は必要ないのかもしれないが、会社のブログを更新するような立場や職種であるならば、創造性を発揮するべき立場であるだろう。
もし、ブログの更新に経営的意味がなく、残業になってしまっているのであれば即刻止めねばなるまい。

横道にそれてしまったので本題に戻ろう。

コンバージョンが取れていない場合、確認すべきポイントである。

1.アクセス解析が正しく動いているか?

アクセス解析が正常に動作していないことはありがちである。
特にサイトのリニューアルやページの変更を行った後で、コンバージョンが取れなくなったケースはこれを真っ先に疑わなければならない。

2.問い合わせフォームは正しく動作しているか?

これが正しく動作していないこともよくある。というかありがちである。
何度も私は実際に経験している。
それだけではなく、会員登録のフローが難しすぎて最終的にたどり着けないといったケースもある。

そもそもこんな記事を書いてみようと思い立ったのはこれが理由だ。
今日大手の家電量販店のECショップで大型家電を買おうと思い立ったものの、会員登録が難しく結局途中でギブアップしてしまった(本当に難しかったのだ)という出来事があったためである。

これでは100%、Amazonに勝てるわけがないわってしみじみ思った次第。
買うつもりなのに買えないのだから・・・

3.本当にコンバージョンが取れていないのか?

ブログといったコンテンツは、購入といった意図を持った人は検索からは来ない。
何か知りたいことがあり、その答えを見つけに来ることがほとんどだ。
答えを知ってしまえば直帰するのが普通である。

しかし、このようなことが何度かあると、ユーザーはサイトのファンとなりいずれコンバージョンに至ることがある。

このような場合はアクセス解析で確認する場合には、直接のコンバージョンではなくアシストコンバージョンも確認しなければならない。

ブログページに来たことがあるユーザーがその時ブックマークしたり、あるいはサイトの存在を知り、後日サイト名などで検索したりリスティング広告をクリックしたりする場合は多くある。
このような場合は、アシストコンバージョンとして計測されるので、これを評価せねばならない。

言い換えれば、

「このコンテンツがなかりせばコンバージョンにつながらなかったユーザー」

と言ってもよい(必ずしもそうとは限らないがその可能性が高い)。
これも含めて評価すると、コンバージョンの数字は変わってくるかも知れない。

4.コンテンツがターゲットとしているユーザーと一致しているか?

一致しないユーザーをいくら集めたとしてもコンバージョンするわけがない。
これは特にSEO・SEMについて言いたいことである。

アクセスを集めること自体はそれほど難しいことではない。
しかし、ターゲットとなるユーザーを集めることは難しい。
アイドルのゴシップ記事などを書けば、アクセスは集められるかもしれないがコンバージョンにはつながらないだろう。
そこまで極端な例ではなくても、キーワードツールを使って検索数からコンテンツを発想しマーケティングの視点が欠けてしまうとこのようなことが普通に発生する。

ナチュラルリンクを得るために、ターゲットとするユーザーと違うコンテンツを作成することは戦略的にはありだ。
しかし、それはあくまでコンバージョンを獲るための過程であることに留意せねばならない。

5.コンバージョンへの導線は適切か?

非常に抽象的な表現だが商品やサービス紹介といったページに誘導する仕組みが必要になる。
これが全くない、あるいは弱ければいくらせっかくアクセスを集めたとしてもコンバージョンにつながらない。
そのページを見ている人に対して、興味のありそうな商品やサービスを「適切」に見せる必要がある。
過度に見せるのではない、あくまで適切に見せるのである。

コンテンツを見ている人は何かを買おうと思っていることはまれだ。
そんな人に対して、

「買え買え!」

と勧めたら逆に嫌がられるだろう。適度に、適切に見せることが大切だ。

6.ブランディングを損ねていないか?

アクセスをとろうとするあまりに、余りにもSEOをゴリゴリにやりすぎたり、コンバージョンが欲しくて広告をベタベタ張りすぎたりしていないか?
あるいは、会社やブランドの信頼性を伝えることができているか?
といった点を第三者の視点で見て評価しなくてはならない。

余りにSEOをやりすぎると負のオーラーが漂う嫌な雰囲気のサイトになることがある。
そうなっているサイトも多いのでその観点は忘れないで欲しい。

検索順位に一喜一憂するより考えるべきこと


ここ最近の検索順位の変化は激しくてSEOの界隈はこの話題でにぎわっていた。

パシのアフィリエイトブログの「またしてもGoogleで大きな順位変動を確認

この記事によくまとまっているのでご覧いただけたらと思う。

晴練雨読というSEOをやっている人であれば知らない人はいない有名サイトだが、この「Yahoo!とGoogleの検索順位変動の異常値ウォッチャの記録 – 2014年5月」を見ると大きな変動が見られるし、ディーボ社提供のnamaz.jpは非常にわかりやすく大変動の有様を見せてくれる。
こんな感じだ。

ナマズのグラフ

大変動があったことがよくわかると思う。

一般のサイト管理者もこのような話題に触れたりして、興味を持たれた方も多くいると思う。
SEOの専門家ではなくても、パンダアップデートやら、ペンギンアップデートやら、ハミングバードやら・・・こんなGoogleの順位計算変更について見聞きした人も多いはずだ。
また、これらの変更によってSEO業者が、

「当社SEO対策はハミングバード対応済みです」

みたいなセールストークでSEOサービスを売ったりしているということもあるらしい。
まあ、商魂たくましいというかなんというか、まあ、自分には真似できんわって感じである。

さて、本題である。

検索順位そのものに興味を持つべきではない

というのが今日のお題である。
私はSEOにたずさわっており、多くのWebサイトを管理しているし、自然検索経由のアクセス数がダダ下がりしてしまったような悩ましいサイトの問題も抱えていたりする。そんなわけで、検索順位については意識せざるを得ないのである。

しかし、一般のウェブマスターは基本的に検索順位を見る必要はないと思う。

何故そんなことを言うのか?なのだが理由は二つある。

1.順位を自分で決めることはできない

SEOというものは結局何かなのであるが、自サイトに書かれている情報の価値を正しく検索エンジンに判断してもらう行為である。情報に100の価値があるならば、100に近づけることがSEOだ。
それ以上を狙うのはスパムである。100しかない価値を200であるとか1000であると誤認させようとするのはスパムだ。いずれ落とされるわけだし、それを狙うのはSEOの本道から外れる。

数十ページから百ページ程度のサイトであれば、100の価値を完全に認めてもらうのは無理でも、大部分の割合を認めてもらうのはさほど難しいことではなくなってきた。
だから、どこまで上がるのかは検索エンジンのみぞ知るってことで、それ以上気にしても仕方ないって思うのだ。
入学試験が終わりました、自己採点しました、さて合格しただろうか?
って色々情報収集したりするだろうが、いまさら考えても仕方がないっていうのと似たようなものだと思う。

この順位であるっていうことは、それが現状だと受け入れるしかない。

2.戦うべきは他サイトではなくて自分

コンテンツの価値を継続的に高めていくことが、検索エンジンからの集客を増やす唯一の確実な方法である。
その意味では他サイトがあろうがあるまいが関係ない。
他の選手が誰がいようが陸上競技の選手は日々鍛錬するだろう。
鍛錬したとしても勝てるとは限らないが、鍛錬しなければ間違いなく負ける。

他人のことを気にしてあれこれ情報収集したり、一喜一憂したり、ストレスを溜めている時間があったら、鍛錬をした方が生産的である。
Webサイトの運営もこれと同じであろう。

日頃コンテンツの向上に努めていれば、結果はそれについてくる。

現時点における検索順位が不当だと嘆こうが、スパムサイトが自サイトより上にあろうが、それが現実ってものであり、泣いてもわめいても現実は変わりはしない。
世の中によくいる人々で、うまくいかないのは全て自分以外の要因にしてしまう人がいる。

「上司がえこひいきするから出世できない」
「うちの会社の商材は競合に比べて高いから売れない」
「資金力がないから無理だわ」

といったことをいつも言う人がいる。
まあ、それは正しいのかもしれないよ。でもね、それを言ってもどうにもならないじゃん?
ってわけなのだ。

自分が変えられるのはあくまで自分だけで、自分を取り巻く諸条件を変えることは基本的にはできない。
ならば不平不満を言っている暇があったら、自分自身でできることをした方が生産的だ。

競合サイトを気にするより、自サイトの価値を上げていく方が生産的なのである。

今はまだスパムサイトも多数検索上位に上がってはいるし、価値あるはずのサイトでも順位が伴っていないことも多々ある。
その状況に憤りを感じても仕方がない。いつかは上がると信じて頑張るのがよいと私は思っている。

スパムを行えば短期的には上がるだろう。しかし、100を1000だと見せかけるハッタリはいつまでも通じない。

頑張ればそのうちスパムがあろうが、なんだろうが勝てる日が来るはずだ。
自分のサイトのコンテンツの価値が2000になれば、スパムによって1000と見せかけたサイトに対してもコンスタントに勝てる日が来ると信じて頑張るしかないと思うわけである。

SEOコンサルタントの出自と特徴・誰に依頼すべきか


最近は似たような記事ばかり書いている気もするのだが(単にネタ切れって噂もある)、またしょうこりもなくこんなネタで書いてみるのである。

今回のお題は、

SEOコンサルタントの出自と特徴・誰に依頼すべきか

である。
役に立つかどうかは微妙だが、結構個人的には面白いテーマだという気がしている。
まあ興味があればご覧くださいなのだ。

でははじめよう。

1.SEO業者に新卒で入社してコンサルタントになった人

推測なのだが、SEOコンサルタントと名乗っている(名刺に印刷している)人の中ではこのような出自が多いと思う。
この出自の人は実にスキル・経験がピンキリだ。
なんちゃってコンサルタントもたくさん存在する。

SEO業という業種は参入障壁が非常に低く、誰でもリンクを購入すれば始めることができる。
他のSEO業者からリンクを買ってもいいし、代理店をやってもいい。
社内にSEOのスキルがある人が誰もいなくてもできる仕事だ。

「今までテレアポでコピー機を売ってましたけど、どうにもきついのでSEOを売ることにしました」

みたいななんちゃってSEO業者もある。
こういった会社も含め営業戦略上、「SEOコンサルタント」と名刺に肩書を入れた方が売りやすくなると判断すれば、その日からSEOコンサルタントになる。
新卒の頃からSEOコンサルタントの名刺を持って営業している人もいる。

まあ、新卒の頃からSEO業者にいるコンサルタントにも力のある人もいるのだが、私の知っている限りではそれほど多い感じがしない。それはなぜかというと、

「SEOは知識は教えられても、感覚は教えられない」

からだと思うのだ。
しかるべき書籍を読めば知識としては身につくのだが、なかなかSEOの感覚そのものは教えることが難しく人を育成しにくいわけである。これはSEO業者の共通の悩みではないか?

さて、SEO業者のコンサルタントに依頼するのであれば、どう判断すればいいのだろうか?
まず第一に見分けるべきは、そのSEO業者が自社内で施策をしているかどうかである。
これを見分けるのは難しいが、

  • SEOのブログやソーシャルメディアを運営している
  • SEOの担当者がtwitterなどで他のSEO人たちと盛んに交流している
  • 展示会などにSEOを主商材として自社で出展している
  • 担当者と話をした場で様々なサイトのSEO分析などをさせてみて、納得感のある説明をわかりやすくしてくれた

といった見分け方はできると思う。
特に、「SEOの担当者がtwitterなどで他のSEO人たちと盛んに交流している」このあたりはごまかしが効かないので、判別の方法として有用だろう。

代理店ではなく自社でやっていることがわかれば、一番手堅いのはそのSEO業者の創業メンバーのコンサルタントに依頼するのがベターだ。
新卒で入社した社員でも経験を積んでスキルのある人はいるが、なんちゃってコンサルタントをつかまされる可能性も高いので、そんな可能性があると考えておいていいだろう。

SEO業者に新卒で入社してコンサルタントになった人に頼んでもいいかなと自分が思うのは、SEO業者の総合力をあてにしたい場合である。
複数人のコンサルタントが社内にいて、いつでも相談できるって環境にあり、担当のコンサルタントが人間的に信頼できるのであれば悪くはない。
更に言えばSEOだけではなく、ソーシャルの運用や、リスティング、Web制作の専門家などもそろっていれば申し分ない。

2.中途で入社してコンサルタントになった人

この出自のコンサルタントは1と同じかあるいはそれより多いかもしれない。
これまたピンキリであるが、更に分けてみようと思う。

1)前職では営業をやってました

といった経歴は意外に多い。
営業に限らずITには無関係の仕事をやっていたというケースだ。
この種の人もピンキリだが、天才的なSEOエンジニアなんかはこのような出自が多い。

これは仮説なのだが、私なんかはGoogleというものをある種の人格としてとらえている。

「あいつだったらこんな時、こんなこと言いそうだよな。」

人格の理解によって、こんなことを知人について予測できるようになる。
この予測ができる能力がSEOの感覚なのではないか?
って私は思っている。

「Googleの考え方からすると、こうするとよきにはからってくれるのではないか?」

みたいな感覚があり、理論や実験などで補強され強固なSEOの芯を持っているような人である。
こういう人は業界で有名だったり、SEO会社の中でも中核的な位置を占めていることが多いと感じている。

スキルがあるのかどうかを見抜くのは難しいのは一緒だが、いろいろ評判を聞いてみれば情報が得られる可能性もある。
ソーシャルメディアのアカウントを持っているか聞いてみて、その人の発言だけでなく、交流している様を眺めればよくわかるかもしれない。
私としては結構お勧めであるが、口だけうまいのかもしれないので注意である。

2)以前はWeb制作をやってました

このパターンの人も少ないが存在する。
SEOとデザインは時には相反する要素となることがあるが、このような出自の人はうまく折り合いをつけてくれる可能性がある。

SEOしかやったことがない、あるいはアフィリエイター出身の場合だとブランドイメージを損なうようなゴリゴリのSEOをやってしまう場合がある。
ブランディングを重視しなくてはならないSEOの案件などにおいては、Web制作の経験があるSEOコンサルタントに頼むのがベターであると思う。

3)以前はSEでした

IT関連の職種であり、一見近そうな職種に見えながらもシステムエンジニア出身のSEOコンサルタントは少ない。
私の知人にもSEは非常に多いが、どうもシステムエンジニアリングという仕事と、SEって仕事は意外に遠いように感じる。
SEにSEOのことを説明しても、理屈は分かってくれても納得してもらえないケースが多い。
SEOは定量的に説明できない部分が大きく、どちらかというと文系分野の仕事に属するように感じる。

「じゃあ、それをやったらどんだけ上がるの?」

なんて説明しようがない。

「上がるかどうかわからないんだったら、開発工数なんか割けないよ」

っていうのがごく普通のSEの発想である。
たまにSE出身のSEO人はいるが、インハウス担当者だったりしてあまり表に出てこない。
まあ、私があまり知らないだけなのかもしれないのだが、こういう出自のSEOコンサルタントに出会うことは少ないだろう。

データベースと連携する大規模なサイトのSEOの案件であれば、このようなコンサルタントに担当してもらえればラッキーだがそれを求めるのは難しそうだ。

3.以前はアフィリエイターだった

このケースは比較的多い。
アフィリエイター出身のSEOコンサルタントはとにかく腕力があるのが特徴である。
実戦で鍛えているので、実践に即したSEOの施策を提案してくれるはずだ。
SEO業者に新卒で入社してずっとコンサルタントをやっている人がお公家さんだとしたら、アフィリエイター出身者は野武士のようなもので、ある意味対極をなすような存在である。

また、なんちゃってコンサルタントはまったくといっていいほどいないのもこの出自の人の特徴だ。

たいていブラックハットの施策にも詳しいため、何としても短期に収益化しなくてはならないような案件の場合にお願いするのもよいだろう。
誰よりもブラックハットの手法に詳しく、その上でホワイトハットやるといったコンサルタントもいるのだが、まさしく最強だと思う。

この出自のコンサルタントに依頼をするのはよい選択だが、ブランドイメージを大切にしなければいけない場合、ペナルティを受けてはいけないような場合には注意である。
ビジネスの目的をよく理解して、その上でやってくれるのであればとてもいいが、アフィリエイトサイトと同じようなやり方でSEOされるとまずいことになる可能性が高い。

あともう一つは、アフィリエイトをやっていて稼げなくなった、あるいは疲れたのでコンサルタントに転身したって人もいる。
このような人に頼むと失敗する可能性がある。むしろ何も仕事をしないコンサルタントの方がましかもしれない。


こうやってつらつらと書き連ねてきたが、なかなかにSEOコンサルタント選びは難しいということが改めてわかったような気がしてきた次第である。

SEOコンサルタントが信頼できるか 初心者でもできるチェック8項目

この記事を以前書いたので、合わせて参考にしていただきたい。
かなりなんちゃってSEOコンサルタントに頼む危険性を減らすことができるはずだ。

Webデザイナーの稲垣氏SEO情報の受け取り方と個人的見解(制作向け)という記事を昨日書いており、こちらも合わせてご覧いただけたらと思う。
稲垣氏はWebデザイナーであるが、SEOについての理解はかなりのレベルであり、そんじょそこらのなんちゃってSEOコンサルタントの及ぶところではないと思う。

SEOの性質と限界・他の販促手法


SEOさえできれば、いや、上位表示さえできればWebサイトなんてなんとでもなると思っている方は多いと思う。

確かに、SEO、その中でも上位表示さえできればできることは多くある。
Webサイトにとっては最も必要なことの一つである。

Google Analyticsのコンサルタントとして有名なカグア氏と少しだけお話をさせていただいたことがあるのだが、

「検索上位になるとものすごい金が動くじゃないですか」

と言っていた。

何でもない言葉なのだが、アクセス解析の専門家の発言として、これはすごく重いなってその時改めて思ったのだ。
ロングテールSEOばっかりやっていると忘れがちなのだが、検索数が多くユーザーのモチベーションに直結するキーワードでの上位表示には、とてつもない金銭的価値がある。

しかし、これはあくまである程度SEOがわかってきてから改めて考えればいいことである。
初心者はビッグキーワードでのSEOなど一旦は忘れたほうがいいと思う。
ほとんどは幻想だからである。

私もSEOを学び始めた頃は幻想を抱いていた。

「ターゲットキーワードで上位表示されればサイトは収益化する」
「収益化しないのはターゲットキーワードで上位表示されないからだ」

これらが単なる幻想であったことに気が付いたのは、だいぶSEOをやったあとである。

上位表示されたとしても、
ほとんどの場合1キーワードだけで充分な集客は得られない

からである。

SEOについてよくわからないまま、単独のキーワードでの上位表示にこだわっている方がいらっしゃるのであれば、こんなものだってことを知って欲しい。
また自分がSEOをしているのではなく、業者にSEOを依頼している場合や依頼しようとしている場合が特に問題である。

無理に上位表示させたものの、支払った金額に見合った見返りがないなんてことはごく普通に発生する。
SEO業者に月に何十万円も払っているのに、引き合いが1件もないなんてこともあるわけだ。
なので、SEO業者に頼んで上位表示を依頼する場合は、そのキーワードの有用性を判断してからにして欲しい。
その判断ができないのであれば、SEOを外注すべきではない。

さて、ここまではいうなれば前置き。

特定のキーワードでの上位表示だけではなく、ここから先はSEO全般の話だ。

SEOには限界がある。
その限界とは

検索行動を起こさないユーザーには訴求できない

という当たり前すぎるほど当たり前の真実だ。

「SEO業者であるならば、テレアポなんかしないでSEOで集客すればいいではないか?」

ということはよく言われるが、これは100%正しいわけではない。
Webサイトに集客したいと思っていても、検索エンジンでSEOのことを調べたり、集客の方法について調べたりすることはまずない。

極端な例を挙げてみよう。
政府機関が申し込むだけで10万円相当の電化製品を無料でプレゼントするってキャンペーンをやったとする。
サイトに集めることさえできれば、コンバージョンすることはほぼ間違いないが、SEOで集めるのはすごく難しい。
こんなにニーズがあって、競合が少ないビジネス(実際には存在しないけど)であっても非常に難しいのだ。

この手のとにかく人々に認知させることが重要なビジネスにおいては、インターネット外を除けば「ソーシャルメディア」「ディスプレイネットワーク」「純広告」「Facebook広告」といった手法が第一選択肢となる。

私は様々なWebサイトのGoogle Analyticsのデータを見る機会がある。
ソーシャルメディアがとてもうまく回っているサイトを見ると、大量に集客して、そこからコンバージョンに数多くつながっていたりする。
そういうサイトを見ていると、

「SEOや検索連動型広告なんてたかだか知れてるなあ」

ってしみじみ思う。

SEOは確かに重要な集客手法で、多くの場合で使える。しかし、野球で例えればヒットしか打てない戦略で、ソーシャルメディアはホームランが打てるかもしれない戦略である。
どっちも重要で、「使い分ける」「併用してどっちも狙う」といった戦略が必要だと思うのである。

ナチュラルリンクを獲得する基本的な考え方


Googleは被リンクを評価しなくなったというデマ情報が出回ったことがあるが、決してそんなことはない。
被リンクはSEOにおける位置づけが低下しているという考え方もあるが、これもまた正しいとは言えない。

被リンクの重要性は全く変わっていない、あるいは逆に高まっているのかもしれない。
位置づけが低下したのは人工的な被リンクである。

2012年ぐらいまでは人工的にリンクをバンバンつければ、バンバン順位が上がったので、SEOと言えばほぼ人工リンクのことだったと言っても差し支えなかった。

なんだかんだといいつつも、コンバージョンが取れるビッグキーワードでの上位表示は、人工リンクによるSEOに占められていたわけだ。
(私自身の見解としては人工リンクはSEOではない。ユーザーにとって不必要なコンテンツが検索上位に表示させようと企てることは最適化の真逆だと思う)

現在は人工リンクでの上位表示が難しくなってきた。
とはいえ、被リンクの重要性が下がっているとは言えない。
今でもGoogleはコンテンツの重要性を判断するための最終的な決め手として、リンクの評価に頼らざるを得ない。
コンテンツの正当性を判断する術がないからである。
内部だけ判断しても、正しいかどうか判断しようがない。

タラバガニ1匹を殻ごとキッチンタイマーで叩いてつぶします。
つぶしたタラバガニを電子レンジに移します。
生クリーム200cc・卵2個・砂糖大さじ5・オリーブオイル300cc・パン粉100gを加え、
湯煎しながらトロリと角が立つまでよく混ぜます。
一口大に丸めて串に刺し40度の油で120分揚げます。
皿に盛って青のり、ハバネロソース、細かくちぎったキッチンペーパーをたっぷりふりかけて完成です。

Googleにはこんなデタラメなレシピの情報があったとしても、これがデタラメかどうかなど判断し得ない。
共起語などもたくさん含まれるので、それっぽくGoogleには映るだろう。

これは極端な例としても、内部だけでコンテンツの正当性を評価するのは不可能なのだ。

弱腰外交でナチスの勃興を助けてしまったネヴィル・チェンバレンの後を受けて、未曽有の国難の時にイギリスの首相になったウィンストン・チャーチルは、

「民主主義は最悪の政治形態であると言える。
ただし、これまで 試されてきたいかなる政治制度を除けば」

という有名な言葉を残している。

リンク評価はこれに非常に似ている。

「リンクは最悪のコンテンツ評価指標と言える。
ただし、これまで 試されてきたいかなる評価指標を除けば」

と言ってもいい。
Google登場前までは数多くの検索エンジンが存在し、内部要因だけでコンテンツを評価していた。
しかし、Googleが導入したリンク評価のアルゴリズムによって、ぼぼすべての検索エンジンは淘汰されるに至った。

確かにリンクはスパムの温床であるのだが、それよりもましな評価指標が存在しないのである。

当面リンクが重要であることは変わらないはずだ。

これまでは人工リンクでも容易に上がったので、天然リンクをわざわざ獲得する必要は低かった。
しかし、人工リンクでは上がりにくくなったり、リスクが増えた結果として天然リンクの価値の重要性はむしろ上がっているとも考えられる。

なので、被リンクは積極的に獲得しに行かねばならないと私は考えている。

どうやってリンクを獲得すればいいのか?
そのキーワードは、

「心を込める」

ことに尽きると思う。
言い換えてみよう。

「愛すること」

でもある。
他のブロガーの記事を読んで、

「面白かった、ためになった。」

といった、感嘆の念や感謝の気持ちがあれば、それを素直にソーシャルネットワークや自分のWebサイトに書く。
良質だと感じたコンテンツに対して、率直に心から感想を述べること。
このような文章は元々のコンテンツを作った人の心を動かす。

私のブログにも時々ピンバックが飛んでくるのだが、内容のいい悪いはともかく記事をよく読んだ上での感想や、補足などがあったりするととてもうれしく感じる。
本当にうれしいのである。

もちろんピンバックを受け入れて、こちらからもリンクするし、相手のブログも読みに行くし、そこに気になる記事があれば紹介したくもなる。
「にんげんだもの」
って相田みつをばりにそう思うわけだ(意味不明)。

逆に、記事について何の言及もなくただピンバックだけ飛ばしてくるようなサイトに対しては、好意を持つどころか逆にスパマーに対するいらだちを感じさせる。
これもまた「にんげんだもの」ってことである(なんのことやら・・・)。

心を動かすには愛がいる。

批判も同様だ。

上辺だけのでは心は動かせない。
愛の反対は憎しみではなく、無関心だという。
相手に対して無関心であることは字面からでも伝わる。
無関心であるにも関わらず、リンクを求められることほどつまらないことはない。

良い記事を書く人を敬愛し、コメントやピンバックを送る。
拡散している記事だけど間違っていればそれをきちんと指摘する。

このようなことを繰り返すと、誰でも結果として品質の高いリンクを得ることができる。
手あたり次第ピンバックするのではなくて、自分が紹介する価値があると確信するWebサイトからだけリンクがもらえるのだ。

遠回りのようだが、被リンクは安全性が重要でリスクを考えれば100本のごみリンクより、良いサイトからの1本のなリンクが重要なのである。
良いサイトからの正当なリンクをもらうためには、他の人のサイトのコンテンツに敬愛の念を持ち紹介することだ。

人間には二つの耳があり、一つの口があるという。

他人の言うことを二つ聴くうちに、一つしゃべるぐらいがちょうどいいという比喩だ。
たくさん他の人のコンテンツを読み、良いと思ったコンテンツを紹介する。
自分が主張したいことよりも、他人の意見をたくさん読む。その結果として、

「これは本当に素晴らしいコンテンツだな、是非紹介したいな」

と思ったコンテンツを紹介する。これが被リンクの極意だと思うわけなのだ。

何も知識がないのに企業のホームページ担当になってしまったら


知識が何もないのに、企業のホームページ担当になってしまうというケースはよくあることだ。
零細企業であれば、たいていホームページ担当者は最初はそんな感じである。

従業員の数が50人ぐらいいるようなそこそこ大きな会社であってもえてしてこんなことが起きる。
単にパソコンが得意だからっていう理由でホームページの担当者にさせられてしまうのである。

パソコンが得意だ。

といってもYoutubeの面白い動画をよく知ってるとか、Yahoo!オークションでものを売り買いしているとか、パソコンの自作が好きとか、そんな理由でパソコンが得意という評価になったりする。
パソコンの自作をするなんていうと、一般の人から見てとてもとてもすごい技術だと勘違いされるかもしれない。
実際はねじ回しだけ以外不要の組み立て家具よりも簡単だ。
こんな理由でホームページ担当にさせられてしまうことはあり得る。

まったくホームページの知識がなくて
担当になった場合どうすればいいのか?

である。
ホームページに関する技術は非常に広く、そして深い。

デザインをするデザイナー、デザインをホームページとして実現するコーダー、検索から集客する技術としてSEO、検索連動型広告から集客するSEM・・・、ホームページに来訪した人の行動を分析して改善計画を作るアクセス解析・・・

といったように、ホームページをビジネスとして成立させるために必要な技術の要素は多岐にわたり、それぞれその分野だけで食っている専門家が存在している。
全ての分野において専門家になるのは不可能だし、一つの分野だけでも極めるのは容易ではない。

ホームページをビジネスとして成功させようとしたならば、容易ではないにもかかわらずこれらのスキルがすべて必要だ。
大手企業ではこれらの技術を持った専任担当者をそれぞれ雇っていることも普通だ。

中小零細企業であったとしても、大手企業でもホームページに求められるものは同じである。
結局のところどのレベルを求めるか?という差であろう。
しかし、中小零細企業であったとしてもすべて大手に劣っていていいわけではない。

中小零細企業も大手企業も同じ土俵で戦えるのがインターネットの世界だ。
創意工夫と努力によって大手と対等に戦いうる。
全ての分野では対等に戦えなくても、限局化した局面では大手企業を圧倒することも可能だ。

実は大手企業であってもすべての要素において、優れた運営をしているわけではないことがほとんどであり勝てないということはない。

とは言え、全然知識がなければどうすればいいのか?

最も重要なのは

ホームページに対してどれだけの期待を会社は寄せているのか

を見極めることだと思うのだ。
たいてい中小零細企業のホームページ担当者というものは、他の業務と兼任である。
総務や経理といった事務業務と兼務だったりするだろう。

現在の仕事だけで余裕がなければ、ホームページの運用まで手が回らないはずだ。
ならば、運用の業務についてはそれがうまくいかなくても、責任が自分に及ばないようにするのがまず第一選択肢だと思う。
でも、それを気にする必要はない。しょせんその程度しか会社は期待していないのだ。

ユーザーからの問い合わせメールにだけはきちんと対応するが、それ以外は業者に丸投げして、自分が非難されないようにするべきだろう。
消極的に見えるが、そもそも主業務をおろそかにしたら怒られてしまうのであれば仕方があるまい。

※自分のスキルアップのためにサービス残業して頑張るというのであればそれはそれでいいと思う。

それとは逆に会社が期待をしており、ホームページの運営業務にそれなりに時間を与えてくれ、成果を出すことが自分の評価になるのであればやらねばならない。

そんな立場になってしまった人に伝えたいことがある。

「ホームページの運営っていうものは成果が見える楽しいものだ」

ということだ。
自分がやったことが成果として反映する面白い業務であるということをまず知ってほしい。
やらされ仕事と思ってやると苦痛だが、自分で主体的に取り組めばこれほど面白い仕事っていうものもなかなかない。
創意工夫が自分の成果として反映する、そんな仕事はあまりないだろう。

私ならこういうことを担当者にお勧めするのだ。

1.ホームページの運営にかかわる全ての分野についての全体像を把握する

このような本はおすすめである。
上記のようなホームページの運営に必要な様々な基礎知識をたった1冊に凝縮して解説した本である。
6人の共著からなるのだが(ほとんど大阪人なのは単に偶然・・・ではないだろう)、著者がその分野の第一人者であり、網羅的に解説された良書だ。
この本をまずは読むことをお勧めしたい。

2.他社のホームページを多数見て自分なりに感覚を養う

デザインのどこが気に入ったか?気に入らなかったか?
様々な情報に対してスムーズにたどり着けたか?

といった点を簡単に文字としてまとめながら見ると、漫然と見るよりも自分なりの視点が養われるようになるだろう。
毎日同業者や、他業者でも自分の会社と同じぐらいの規模の会社などを見たりすると得るものがあるはずだ。
ずっと継続すると、力がついていくだろう。

3.HTMLとCSSは最低限勉強する

1冊でいいのでHTMLの本を買って勉強しよう。
少しはホームページを自分でも作れないと話にならない。
外注するにしても、少しはわからないとまったく業者の仕事の良否の判断が全くできない。

4.SEOとリスティングを勉強する

SEOに関しては無料のいい情報源がある。
Google 検索エンジン最適化スターターガイドというコンパクトにまとまったGoogle社の公式のガイドブックがある。
これを読めば正しい基礎知識を得られる。
怪しい有料の情報源を読むよりはるかによい。

多忙な企業のホームページ担当者はこの程度知っていればまずまず充分だろう。
これを読んで、ホームページを増強すればそこからアクセスを集められるようになるはずだ。

リスティングは少々費用は掛かるが、月間10万円程度予算をかけられるのであれば、即効性のある方法である。
1ページだけでもきちんと自社の製品やサービスの他社にない良いところをきちんとアピールするページを作り、そのページにリスティングで誘導すれば成果が出るのが早い。
日々、改善することでどんどん良くなるのがリスティングの面白いところで、まるでロールプレイングゲームみたいな感じだ。


1.~4.までの過程にはどれくらい時間をかければいいのか?
一通り勉強するのに3か月程度だろうか。

3か月後には、リスティングなりSEOなりで集客するための施策を始められるのではないかと私は思っている。

大変だと思うのだが、これほど手ごたえがあって面白い仕事っていうものもなかなかないと思う。
是非頑張ってほしいと思う次第である。

参考ページ:

やる夫が企業サイトのSEOに挑戦するようです
4年前の記事だが、マンガになっており面白くわかりやすい。今読んでも十二分に通用する内容である。

零細企業のSEO