ドイツ拠点のEverphoneが約42億円調達、リモートワーク流行の中で社用スマホなどの貸与・修理・交換をまとめてサービス化

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって引き起こされたリモートワークブーム(未訳記事)によって関心を集めている最新のスタートアップの1つが、ドイツ・ベルリンを拠点とするEverphoneだ。同社は、従業員にモバイルデバイスを携行させる必要がある企業に対して、ハードウェアと関連するサポートを提供する「サービスとしてのモバイル」レンタルパッケージを販売している。

米国時間7月28日にEverphone は、新しい投資家のsignals Venture Capitalの主導による、3400万ユーロ(約42億円)のシリーズBラウンドを発表した。ラウンドに参加する他の新しい投資家には、ドイツキャリアのDeutsche Telekom (戦略的投資ファンドであるTelekom Innovation Poolを通した投資)や、米国のアーリーステージVCであるAlleyCorp、そしてオランダの銀行NIBCなどが名を連ねている。

同社がTechCrunchに語ったところによれば、パンデミック以前と比べてインバウンドリードが倍増しているために、危機前の期間に比べて販売が70から100%増える見込みだということだ。そのため今回のシリーズBの調達資金は、増大する需要に対応するための拡大に使われる。

「世界的なパンデミックは、デジタル化の分野での成長の触媒になっています。現在、国内外で需要が大幅な増加が見込まれています。これが資金調達によってヨーロッパでの拡大を目指す理由です」とCEOで共同創業者であるJan Dzulko(ヤン・ズルコ)氏は声明で述べている。

Everphoneは、自身のサービスをワンストップショップとして説明している。このサービスは、(新品または再生品の)スマートフォンやタブレットのレンタルだけでなく、修理/交換の取り扱いを含む管理サービスラッパーを含んでいる。従来のレンタル保険のように細かい約款と格闘する必要はなく、必要ならば24時間以内に交換を行い顧客のリストが軽減される。

その他にも「サービスとしてのデバイス」というアプローチの利点として、挙げられているものには、柔軟性(例えばユーザーはiOSやAndroidデバイスの中から選択できる)や、低コスト(価格は顧客のサイズ、デバイスの選択、レンタル期間によって異なりものの、再生品デバイスの場合は予算は月額7.99ユーロ(約980円)から始まり、12カ月のアップグレードが伴ったハイエンドキットの場合は月額49.99ユーロ(約6155円)。顧客が既存のITポリシーやプロセスにレンタルハードウェアを組み込むことを可能にする標準的なモバイルデバイス管理ソフトが含まれたレンタルバンドルなどがある。

Everphoneは、このサービスラッパーを活用する。このラッパーは有料アプリ、例えば語学学習用のBabbelなどを取り込むように拡張でき、従業員向けのオンデバイス福利厚生として含めることもできる。こうすることで、CHG-MeridianやDe Lage Landeなどの既存のリースプロバイダーや、卸売業者との差別化を提供できるのだ。また、グローバルな展開機能を宣伝することで、スケーラビリティを強調し、顧客を引きつけようとしている。

ドイツのキャリアであるDKを含む投資家の多くは、新型コロナウイルスによりオフィスから在宅勤務へとシフトすることで、個人のデバイスや個人データが仕事用のものと不適切に混ざってしまうリスクを軽減するために、適切に管理され安全に保護された仕事用の携帯電話の需要が急増すると確信していることから勢いづいている。ちなみにEverphoneのウェブサイトには、脅迫的マーケティングへと転用された、ヨーロッパのデータ保護フレームワークGDPRへの言及があふれている。

「Everphoneは、すべての従業員が1日中1スマートフォンで仕事をすることを想定しています。この従業員中心のアプローチと統合プラットフォームにより、EverphoneはスマートフォンのITインフラストラクチャの単なるアウトソーシング以上のものを提供しています」と、補足的な声明を出しているのはsignals Venture CapitalのパートナーであるMarcus Polke(マーカス・ポーク)氏である。

2016年に創業したこのスタートアップと、Ernst & Youngなどの現在400以上の中小企業、多国籍企業の顧客が契約している。従業員数100人から1500人の中小企業向けには、既製パッケージとセルフサービスのデバイス管理ポータルを提供し、より大きな従業員3万人までの企業にはカスタムインテグレーションを提供することで、同社は両極端のマーケットに対応している。

同社は、返却後のデバイスを消費者向けに再生し販売することによって、キットを再利用してもらう道筋をつけているため、新しいデバイスをレンタルする際に「非常に競争力のある」価格を提供できるのだと述べている。「この収益性の高い中古戦略のおかげで、レンタルデバイスに対して非常に競争力のある価格と幅広いサービスレベルを提供できるのです」とEverphoneはウェブサイトで宣伝している。

中古スマートフォン市場も地域的な成長を見せている。例えば再生されたiPhoneを販売するヨーロッパのeコマーススタートアップのSwappie(未訳記事)は、EUの議員が推す電子機器の「修理する権利」 の求めに沿う形で、6月にはシリーズBで4000万ドル(約42億円)弱の資金を調達した。この中古市場は、Everphoneにとってレンタルから返ってきたiPhoneの潜在的な販路の1つだ。

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(翻訳:sako)