絶好調を誇っていたテクノロジー企業の株価の下落が止まらない。昨日(米国時間11/20)、ダウ・ジョーンズ工業株平均とS&P 500は急落し、2018年の上昇をほとんど帳消しにした。Facebook、Apple、Amazon、NetfixといういわゆるFAANの4社の時価総額は合計で1兆ドルを失っている。
一般向けプロダクトやサービスを提供してきた値がさ株、Facebook、Amazon、Apple、Alphabet、 Netflixの下げがダウ平均やS&P 500などのインデックスを下落させる大きな原因となっている。
この株価急落には連邦準備制度の利上げが大きく影響している。投資家はテクノロジー企業の成長性に賭けるよりもっと安定した資金の運用に目を向け始めた。同時に、多くのテクノロジー企業が上場後10年ないし20年以上経過しており、以前のような株価の急上昇は期待できないのではないかという懸念も広がっている。
加えてアメリカの経済見通し全般が必ずしもバラ色でないという背景がある。戸建て住宅統計はいつも景気の先行指標となってきたが、これも下落傾向が続いている。逆に集合住宅の動向は上向きだ。
こうした状況はスタートアップにとってもベンチャー投資家にとっても理想的とはいえない。
事実、2019年に予定されていた株式上場にも影響が出始めている。来年は後期の大型スタートアップが株式市場に次々にデビューするビッグイヤーになると期待されていた。これらの上場は投資家に再投資の資金をもたらし、過去10年同様、今後も巨額の資金がハイテク・スタートアップに流れ込むという主張の裏付けになると考えられていた。
だが、現在の市況からするとそうなる可能性が高いが、株式上場のチャンスがなくなれば、投資家はスタートアップに対して小切手を書くことをためらうようになるだろう。
つまり多くのスタートアップが現在のような高いバーンレート(資本消費率)を維持できなくなる。また上場企業についても株価下落は資金調達コストの上昇を意味するので企業買収や新規事業などに対する大型投資を冷え込ませることになりそうだ。この面でもスタートアップのエグジット(現金化)の道が狭くなる。
全体としてテクノロジー業界は不安定な状況に置かれることになった。しばらく続いてきたテクノロジー・ブームも一区切りつけることになるかもしれない。
画像:Michael Nagle/Bloomberg (opens in a new window) / Getty Images
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