東京大学・FastLabel・Human Dataware Labが自動運転用3次元アンノテーションツールAutomanをOSSとして無償提供

東京大学・FastLabel・Human Dataware Labが自動運転用3次元アンノテーションツールAutomanをOSSとして無償提供

東京大学は1月21日、自動運転AI開発に不可欠な教師データ作成のため開発した3次元アンノテーションツール「Automan」について、オープンソースソフトウェア(OSS)として公開した(GitHub)。ライセンスはApache License 2.0。これは、アンノテーションツールの開発を行うFastLabelAutowareの開発をリードするティアフォーの子会社Human Dataware Lab.との共同研究によるもの。自動運転領域でのAIの研究開発を加速させる。東京大学・FastLabel・Human Dataware Labが自動運転用3次元アンノテーションツールAutomanをOSSとして無償提供

東京大学大学院情報理工学系研究科の加藤真平准教授を中心とする研究グループは、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業「完全自動運転における危険と異常の予測」において、完全自動運転中の危険と異常について、理論と実践の両面から実用的課題に取り組んでおり、そこには、機械学習技術に人間並みの判断を求めるよりも、危険や異常を感知したらすぐに停止することのほうが社会的な価値は高いとの理念があるという。そんな彼らは、限りなく100%に近い精度で危険と異常を予測し、最小限の移動量で安全に停止できる自動運転システムのプロトタイプを完成させた。

この成果を普及させるには、第三者が研究成果を再現できることが重要だが、それには自動運転システムのAI基盤が必要、またそれを構築するには高品質な大量の教師データが欠かせない。ところが現在、そうした教師データの作成はマンパワーに頼った労働集約型で行われているため、教師データ不足や品質の問題が発生し、自動運転AIの研究はなかなか進んでいないのが現状だ。

そこで研究チームは、FastLabelが提供するアンノテーション・プラットフォームFastLabelと連携し、自動運転AIが用いる画像と点群のデータへのアンノテーションの自動化に取り組み、今回AutomanをFastlabelおよびHuman Dataware Lab.と共同で開発。OSSとして公開するに至った。

また同研究では、3次元アノテーションを自動運転システム全体のCI/CD(Continuous Integration / Continuous Delivery)に組み込めるインターフェースを設計したことで、自動運転AIの開発サイクルを改善することを可能としたという。

今後は、外部からの攻撃に備えるため、脆弱性に対する研究を進めつつ、「走れば走るほど賢くなる自動運転システム」を目指して、自動運転の実用化を加速するという。

「はやい、やすい、巧い」エッジAIのフツパーと高速なアノテーションを提供するFastLavelが協業し国内産業のAI化推進

「はやい、やすい、巧い」エッジAIのフツパーと高速なアノテーションを提供するFastLavelが協業し国内産業のAI化を推進

AI開発に欠かせないアノテーション作業の高速化を行うFastLabel(ファストラベル)は7月29日、中⼩企業向けエッジAIシステムを提供するフツパー(Hutzper)と7月より協業し、システム連携を開始すると発表した。高速アノテーションとエッジAI技術を組合せることで、目視検査業務の効率化を目指す。

FastLabelは、AIの機械学習に用いられる「教師データ」作成に必要なアノテーション(データに関連するメタデータを埋め込む作業)の高速化を行っている。AIの産業利用では、教師データの不足や品質の低さで十分な性能が発揮できず、「実用化のボトルネック」になっているという。「AI開発を10倍速くする」をミッションとするFastLabelは、教師データの作成、分析、管理を効率化し、精度を向上させるアノテーションプラットフォーム「FastLabel」を開発・提供している。

一方、フツパーは、「はやい、やすい、巧い、AIを」をミッションに、目視検査業務を効率化する画像認識エッジAI特化型SaaS「Hutzper Insight」(フツパー・インサイト)と、画像認識AIモデル開発「Hutzper Vision」(フツパー・ビジョン)を開発・提供している。どちらも2020年設立の新しい企業だが、大手から中小まで、国内の企業に貢献している。

この協業では、両社の技術を組み合わせて、データアノテーションをエッジAIの運用オペレーションに組み込み、継続的に教師データの蓄積が可能となる機械学習基盤MLOpsを構築する。MLOpsは、機械学習用のDevOpsといった意味合いで、「機械学習」(ML。Machine Learning)とソフトウェア分野における継続的な開発手法「DevOps」を組み合わせた造語。

具体的には、フツパーの技術で認識した画像データをFastLabel側に連携し、アノテーターによるアノテーション完了後のデータをリアルタイムでフツパー側に連携するというものだ。アノテーションの難易度やデータ量に応じて、内部で処理するか、外注するか、両方を組み合わせるかが選べるという。

フツパー代表取締役CEOの大西洋氏は、「FastLabelと連携することにより、弊社のはやい・やすい・巧いAIがさらに速くなりました」と話している。今後も、エッジとクラウド間での「AIモデルの最適運用」を追究していくとのこと。

またFastLabel代表取締役CEOの鈴木健史氏は、「両者の強みを活かして製造業へのAI導入をさらに加速させていきます」と述べている。

関連記事
ソニー「IMX500」採用、動線分析のリアルタイム処理も可能なエッジAIカメラ「S+ Camera Basic」高機能版登場
レクサス製造ラインの熟練工の技を人とAIが協働し伝承、TRIARTとトヨタが「不良予兆感知システム」の試行開始
ASTINAが化粧品のグラデーション生地などランダム模様の異物も検出可能な「OKIKAE for AI外観検査」を提供
既存防犯カメラで来店客の店内行動を解析可能なエッジAI端末を提供する「AWL」が20億円調達
パトスロゴスが画像10枚から30分でAIモデルを作成できるノーコードの外観検査ソフト「DEEPS」リリース
「目についたら異常」などあいまいな官能検査も対応、ロビットが工業製品向け汎用型AI外観検査ロボを提供開始
中⼩企業向け検品・検査⼯程用エッジAIをサブスクで提供するフツパーが約1億円を資金調達
自動目視検査など製造業にAI外観検査システムを提供するMENOUが8000万円を調達
中小企業へ「はやい・やすい・巧いAI」の提供目指すフツパーが数千万円調達

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:アノテーション(用語)エッジAI(用語)エッジコンピューティング(用語)MLOps(用語)機械学習 / ML(用語)製造業(用語)DevOps(用語)FastLabel(企業・サービス)フツパー(企業)日本(国・地域)