可撓性(曲げることができる)があって、ホログラフィー機能もあるスマートフォン用ディスプレイを開発したら、最初に何をやるか? ゲームのAngry Birdsに決まっている。そのスマートフォンのそのほかの機能はすべて、鳥ミサイルを何発か撃ち終えてから試してみるのだ。
それは必ずしも最初にやることではないかもしれないが、HoloFlexを開発したHuman Media Labの研究者たちの、リストの上位に載っていたことは確実だ。そもそも、その新しい技術のデモビデオには、あのゲームがかなり目立つカメオ出演をしているのだ。それは、運動視差と立体知覚を利用して、特殊な眼鏡類を要さずに3D画像を描画できるディスプレイだ。
その技術は、ユーザーが手で曲げることのできる、可撓性有機発光ダイオード(Flexible Organic Light Emitting Diode, FOLED)のタッチスクリーンを使用する。曲げられるスマートフォンの利点は、これまでもいろいろ言われているが、それらに加えて、このディスプレイは曲げセンサーというものを内蔵しているので、それにより手の動きを対話の手段に利用できる。そのセンサーは、同研究所が最近のReFlexのプロトタイプに使ったのと類似のものだ。
“曲げる”という運動のインタフェイスがあるので、上のデモビデオでは、手が画面に触れてない状態で画面上のオブジェクトをZ軸方向に動かしている。Angry Birdsでは、画面を手で曲げることによって鳥投擲機を後ろへ引っ張って曲げている。その場合、デバイス上の張力が、(ゲーム上の)後方に曲げた弾性バンドの張力と相関する。
ビデオでお分かりのように、これはまだまだ初期的段階のものだ。いちばん目立つのは、解像度が60 x 104と、きわめて粗いこと。それは、完全なHDディスプレイ上の複数の画素を、3D効果を出すために1画素として利用しているからだ。でも研究所のプランは野心的だ。ホログラフフィー的ビデオによる会議、などの応用も考えている。
この新技術の発表声明の中でDr. Roel Vertegaalがこう言っている: “ディスプレイを凸状に曲げると画面が実際に物理的にも立体物になるから、オブジェクトを前からも横からも見ることができる。たとえば人間の顔は、立体として正しく描画されるだろう”。
プレスリリースの中では、研究所は当然ながら、スターウォーズのヒロイン、レイア姫(Princess Leia)の名を挙げて説得に努めている。でもわれわれの唯一の希望は、Dr. Vertegaal、あなただよ。
ディスプレイのプロトタイプだからデバイスの仕様を気にしてもしょうがないかもしれないけど、一応、プロセッサーは1.5GHz、RAMは2GB、Androidは5.1だ。この技術は、来週サンノゼで行われるACM CHI 2016カンファレンスで発表される。