エムスリー出身のファミワン、無料診断と生活習慣のサポートで“妊活”を支援する「FLIPP」をローンチ

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妊娠に向けた活動を指す「妊活」。これを支援すべく立ち上がったスタートアップがファミワンだ。同社の調査によると、妊活を開始する平均年齢は28.1歳、平均期間は19カ月、平均費用は59万円だそう。妊活は大きく分けて(1)タイミング法(排卵日予測)、(2)人工授精、(3)体外受精の3つがある。(1)、(2)に関しては保険が適用されるが、より確度の高い(3)は保険適用外で1回30〜50万円かかるそう。期間的にも経済的にも負担は小さくなく、まだまだ「負」が存在する領域なのだという。

そんな負を解消すべく、ファミワンは7月25日、妊娠のパーソナルサポートサービス「FLIPP(フリップ:Fertility Life Improvement – Personal Program)」ベータ版の提供を開始した。

FLIPPはオンラインでの無料妊娠力診断とその改善サポートを組み合わせたサービス。妊娠力診断では、食事・運動・夫婦関係・ストレス・習慣の5つのカテゴリーの質問を元に、妊娠を望む家族向けに、10段階評価での「妊娠力」を診断する。診断内容は聖路加国際大学 不妊症看護認定看護師教育課程の専任教員である川元美里氏が監修する。改善サポートでは、サプリメント、書籍、自然食品、メールによるパーソナルサポート、妊活後のサポート(出産後のお祝い金5万円)の計5点を月額9800円(3点6800円)で提供する。

FLIPPでの支援内容

FLIPPの支援内容

「妊活で苦しむ人をゼロにしたい。年間200万組が妊娠を希望していると言われているが、では実際に何をすればいいか、誰に聞けばいいかという不安を抱える人は多い。そんな人の道しるべになるようなサービスにしたい」——ファミワン代表取締役の石川勇介氏はこう語る。

石川氏は医療従事者向けの情報サイトなどを展開するエムスリーの新規事業開発部門の出身。自らの家庭でも妊活に苦労した経験から2015年6月にファミワンを創業した。同年11月より試験的に妊活支援サービスをリリース。サービス自体はうまく回らなかったが、2016年3月にはその一部を切り出す形で無料のQ&Aコミュニティ「famione」をローンチ。さらに妊活支援のオウンドメディア「famit」をローンチしたのち、FLIPPの提供に至った。

同社は現在、エンジェル投資家からシードマネーを調達しており、サービスの進捗を見て、今秋をめどにも資金調達を検討する。3年後に課金ユーザー5万組を目指す。また今後は、FLIPPで得た妊活のデータをもとに、妊活ついての研究も進めるとしている。「妊活のプラットフォームを作っていきたい。現在はヒアリング1つとっても難しい領域だが、生活習慣のデータが集まることで、まだ解き明かされていない点も多い妊活を科学的にひもといていけるのではないか。もちろん医療行為はできないが、リスク提示や『こういうことをやってみればいい』ということは伝えていきたい」(石川氏)。なおファミワンは7月15日〜16日にかけて開催されたIncubate Camp 9thに参加している。