Kickstarterに登録されているFlyKly Smart Wheelは、手持ちの自転車を電動アシスト自転車に変身させるものだ。後輪にモーター等の必要機器を埋め込んでいる。
Smart Wheelを、いま利用している自転車の後輪(ギア付/ギア無しを問わない)と交換して、スピード設定などを行うアプリケーションを用意すれば準備完了となる。アプリケーションは、このSmart Wheelのロックやロック解除にも用いる(ホイールをロックして、自転車自体が動かないようにするのだ)。それでも盗まれてしまった場合には、追跡用のGPS機能も備わっている。
このFlyKlyを開発したのはニューヨークに拠点をおくスタートアップだ。開発者によると、26インチから29インチのホイールに対応した自転車になら取り付けることができるのだそうだ。取り換えの作業も非常に簡単であるとのこと。但しチェーンオイルには注意が必要だ。取り替えた後輪に搭載されているモーターはアプリケーションによりコントロールされ、上り坂でギアを軽くしたり、あるいは平坦地でスピードを増したりという操作も自動で行うようになっている。
FlyKly搭載自転車の最高速度は20mph(25km/h)から30mph(50km/h)のレンジで設定する。バッテリーは36Vのリチウムバッテリーを使っている。バッテリーの充電は電源ソケットにつないで2、3時間で完了する。また、モーターを切ってペダリングを行ったり、あるいは坂を下ったり、はたまた設定速度を超えてスピードを出すことでも充電することができる。
速度設定などはスマートフォンにダウンロードしたアプリケーションで行うようになっている。ペダリングを開始すると、設定した速度までモーターが回ることになる。そして一定の速度でクルージングを楽しむことができる。意図的に速度を落とすとき、あるいはバッテリーの残量がなくなったときに、スピードは低下することとなる。尚、ペダリングをやめた場合も、モーターは停止する。
また、Smart Wheel搭載のGPS機能を使って、ツーリングルートを管理したり、それを誰かとシェアしたりといったこともできる。また内部パーツの管理を行う機能も持っていて、パーツ交換などの必要性が生じた際には、アプリケーションを通じてアラーとを流すようになっている。
FlyKlyのフルシステムにはスマートフォンマウント用のフォルダーも含まれる。ここにスマートフォンを搭載しておくことで、運転中でも簡単に速度設定を変更することができる。また夜間走行用にLEDも搭載されており、またダイナモによる発電で、スマートフォンを充電することもできるようになっている。
このFlyKly以前にも、普通の自転車を電動自転車にしてしまおうとするKickstarterプロジェクトは存在した。たとえばRubbeeというものも、面白い仕組みだった。但し、FlyKlyの方が、より統合的なアプローチであると言えそうだ。Rubbeeの方は、後輪の上にモーター駆動装置を取り付けて、後輪を「押し回す」ような仕組みだった。FlyKlyの方は後輪自体を交換するもので、モーターはホイールの中央部に配置されている。
むろん仕組みにも興味の集まるところだが、値段も大いに気になるところだ。Rubbeeの1,240ドルという値段を見て、即座に考慮から外したという人も多かったはずだ。もちろんこれは自転車抜きの値段だ。確かに便利なのだろうが、しかし決して安い買い物ではない。
一方で今回紹介しているFlyKlyは値段も抑え目だ。初期割引価格の550ドルは既に予定数を満たしてしまっているが、現在でも590ドルで入手できることになっている。もちろんこれでも、バッテリーの充電回数が1000回程度とされる中、「お手頃」な価格とはとても言えないが、同種の製品群と比べるとかなり抑えられたものとは言える。
尚、FlyKlyはずいぶんと軽量化もしており(4kg)、導入も簡単だ(ホイールを付け替えるだけ)。比較的安価で、かつホイール部分のみを変更するという方法で、手持ちの自転車を電動アシスト化するというのはなかなか面白いアプローチではある。
Kickstarterでの設定目標額は10万ドルだが、29日を残して既に8万1000ドル以上の資金が集まっている。FlyKlyが良いところを突いたということなのだろう。目標額達成の確率も上がっているところだが、達成できれば来年の5月から出荷を開始したいとのことだ。
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(翻訳:Maeda, H)