本稿で紹介するFRAMEDは、デジタルアートをコンピューター画面から開放し、その活用範囲を広げようということを目的とする。このプロダクトで用いる、ウォルナット材でフレーミングしたフルHDのIPSディスプレイはそれだけでも存在感を持つ。しかしこれを単なるモニターでなく、映し出すアート作品と、モーションセンサーないし音声センサーを通じて「触れ合う」ことができるようにもなっている。
プロダクトを展開しているのは日本のスタートアップであるFRMだ。Kickstarterでプロジェクトを立ち上げたFRAMEDは、目標額の7万5000ドルを軽く突破し、終了日である8月20日までにまだ相当の日数を残しつつ、調達額は26万ドルを超えている。出荷時期は2015年3月を予定している。調達した資金はFRAMED最終的な製品加工に用いることになっているようだ。
ところでFRMは2011年に中村勇吾氏とWilliam Lai氏により設立された。中村氏は日本の有名ウェブデザイナーで、ユニクロ、無印良品、およびソニーなどを手がけた経験をもつ。Lai氏は東京のレコードレーベルであるTempleATSのプロデューサー兼ファウンダーだ。
FRMは、今回のKickstarterキャンペーン以前の3年にわたってFRAMEDを開発してきている。またCreative Applicationsを通じてFRMの主催するオープンマーケットプレイスにて流通するアート作品を集めてきている。このマーケットプレイスでは現在32名のアーティストが活躍中だ。マーケットプレイスの運営は3年を数え、サブスクリプションモデルでアート作品の提供を行なっている。今回のFRAMEDでは、デジタルアートの提供範囲をさらに広げたいと狙っている。
「FRAMEDにて、デジタルアートの可能性を感じて欲しいと考えているのです。モーションおよびサウンドセンサーを搭載することで、アーティスト側にとっても、鑑賞者とインタラクトするための仕掛けをいろいろと手に入れることができるわけです。従来のアート作品と比べて、はるかに多くの可能性を実現できると思っているのです」とLai氏は述べている。
FRMのマーケットプレイスで活躍中のアーティスト(作品はFRAMEDに表示することもできる)にはサンフランシスコ在住でソーシャルメディアやトレンド情報のデータをヴィジュアライズする作品などを提供しているAaron Koblinや太極拳マスターで、太極拳の動きを木、水、あるいはコンクリートなどの素材で表現するTai Chiを作成しているUniversal Everythingなどが含まれている。
また、フィットネスデータを含めた閲覧者像を画面に表示する「mirror」というプロジェクトも進行中だ。
「さまざまなデータを集め、また各種モーションセンサーからのデータも利用して、さらに睡眠習慣などのデータをビジュアライズして、アート作品を見る人自身の『オーラ』を表現できればと思っているのです」とLai氏は述べている。
FRAMEDに映し出せるフォーマットはGIF、ビデオ、Flash、openFrameworksなど多岐に及ぶ。もちろん外部から入手するアートワーク以外に、自分で用意したデータも表示することができる。24インチのプロダクトが449ドルから、あるいは48インチのものが1500ドルからという価格設定になっている。
尚、デジタルアートに興味を持つ人はElectric Objectsもチェックしておいて損はないだろうと思う。こちらもデジタルアート向けのディスプレイのキャンペーンを展開中で、やはり既に希望調達額を超えている。名前をEO1といい、価格的にはFRAMEDを下回っている。但し、モーションおよびサウンドセンサーを利用することはできない。
FRAMEDについての詳細はKickstarterページをご覧頂きたい。
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(翻訳:Maeda, H)