過去1年間、Google Glassはその悪名高い誇大宣伝サイクルの前半を走り終えたように感じる。噂のプロタイプから、最高水準技術デモの完全に誇大化された物体となり、さらには深夜テレビ番組でジョークのネタにもなった。しかし今週まで、われわれは実際Glassに何ができるのか本当のところを見ていなかった。それはGoogleがその能力の多くを、意識的にデベロッパーから隠してきたからだった。これまでデベロッパーがGlass用アプリを作ってきた方法は、Glassで走っているAndroid OS上にアプリを書くよりも、ウェブアプリを書くやり方に近かった。しかし、今週公開されたGlass開発キット(GDK)先行リリースによって、Glassはついにその潜在能力をフルに活かせるようになる。
最新ニュースを知らされるのはいつも楽しいものだが、Field Tripによる身の回りの気のきいた物事に関する通知と、Glassの内蔵ナビゲーションツールを組み合わせれば、ずっと面白いアプリケーションの世界が広がる。Googleが言うように、リアルタイムのユーザー相互作用とハードウェアのアクセスが必要な人にとっては新GDKがもってこいだが、他の様々な種類のアプリのためには、従来のMirror APIも使える(両者を組み合わせることも可能)。
例えばGDKを使うと、Glass上の拡張現実アプリが現実になる。GDK発表と同時に、Glass用Word Lensも公開されたが、恐らくこれは現在入手可能な最もクールなGlassアプリだ。スマートフォン用のWord Lensと同じく、このGlassアプリは目で見たテキストを単語ごとに翻訳する。Google Translateのような機械翻訳ではなく、コンテキストを考慮しない辞書風の体験ではあるが、実にクールなGlassの使い方であり、テクノロジーの可能性を示すものだ。
私は、大したゴルファーではなく、パー3のコース以上にはめったに出ないが、これも今週公開されたSkyDroidのGolfSightレンジファインダーは、熱心なゴルフファンなら欲しくなるだろうし、ランナーやサイクリストは、新しいGlass版Stravaアプリを試してみたくなるだろう。
これまでGlassは、見せかけだけの高価なスマートウォッチであり、よく比較もされた。そこで走ることのできるアプリは、Pebble所有者がずっと安く体験できることとあまり変わらなかった(ある意味でもっと制約が多かったものもある)。しかし、Pebble用のWord Lensや拡張現実ゲームが出てくることはないだろう。今や、拡張現実を使ったユーザーマニュアルはそう突飛な話ではなく、metaioや他の拡張現実会社は、Glassプラットフォームで何ができるかに注目している。
拡張現実だけではない。事実上、高度なグラフィクスを使うあらゆるスマートフォンアプリは、Glassで動かせるようになった(もちろん小画面用に最適化されてから)。もしFlipboardがGlassアプリを作りたければ、あの特徴的なアニメーションを使える。RovioはAndry Birdsの3Dバージョンを作り、スリングショットの角度を頭の傾きで変えられるようにできる。しかし、Glassプラットフォームが生まれたばかりであることを踏まえれば、もっと基本的なアプリを作る余地もある。Googleは、タイマー、ストップウォッチ、およびコンパスのアプリをGlass用に公開したばかりだ。この種のアプリでさえ、従来は不可能だった。
現時点でGoogleは、新しいアプリを「Glassware」ディレクトリーに登録することを許しておらず、またこうした新アプリをコーディングするためには、未だにGlass本体が必要であることは指摘しておくべきだろう。GDKが先行リリースから「デベロッパー・プレビュー」状態に移行したら、もっと多くのアプリがディレクトリーで見られるようになるだろう。将来は ― そしてGlassを誰でも買えるようになれば ― Googleは有料アプリその他のオプションを提供するに違いない。Googleとしてその時までに興味深いアプリ一式を揃えておきたいことは間違いなく、GDK先行リリースはそこへ向けての第一歩だ。
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(翻訳:Nob Takahashi)