EyeEmの写真発見アルゴリズムは”何が良い写真か”を学習中

ストック写真(stock photography)といえば、お祭りとか恋人とか々々々々、一般的な題名が付いている平凡な写真の中に、わざとらしい笑顔の人びとが写っているのを、思い出す人が多いだろう。

Getty Imagesから厳選した写真を集めている写真共有サービスEyeEmは、プロの写真と、アマチュアがスマホなどで取るに日常的な写真の、境界をなくそうとしている。今のスマホは、カメラも、そしてものすごく多様な写真共有の方法も、もはやバカに出来ないほどのレベルだ。

EyeEmもストック画像サービスの一つであり、それを収益源にしなければならないから、優秀なアーチストを揃える必要がある。そこで同社は世界を舞台にした写真展示会をオンラインで開催して、人びとに同サービス上の秀作を見せると同時に、FoursquareやHuffington Postとパートナーして、モバイル上におけるプロたちの作品の露出度を高めようとしている。

そして今や、画像の在庫の数が増えすぎてしまった同社は、良い作品を目立たせることを、サーバ上のアルゴリズムでやろうとしている。その開発には、8月に同社が買収したSight.ioの技術が利用されている。CTOのRamzi Rizkによると、その機械学習アルゴリズムは、写真にいちいちタグ付けをしなくても、何が写っているかを見分ける。

このサイトの検索機能を使うと、その成果の一端を見ることができる。たとえば“背景が黒の花”(flowers on black background)で検索すると、そういう写真を山のようにたくさん見せてくれるが、それ的なタグが付いているのは全体の半分にも満たない。こういう機械学習のアルゴリズムは、Googleも、猫が写っているYouTubeビデオをシステムに見つけさせるために使ったことがある。だから、EyeEmが初めて、というわけではない。

アルゴリズムの、物を識別する機能は毎日々々の学習の積み重ねによってますます有能になりつつあるが、EyeEmが今考えているのは、 “良い写真や美しい写真を見分けるアルゴリズム”を作ることだ。Rizkによると、そのアルゴリズムが検討する要素は、何にピントが合い何がぼけているか、写真の上中下や左中右などにそれぞれ何が写っているか、などだ。“美しさ”の方は、数十項目から成る美しさの要素のランク付けをして、ランクの得点の高い写真を、美しい、と判定する。

その得点システムはまだ未完成で、ユーザのエンゲージメント(クラウドソーシング)も利用している。結果は、まだなんとなくおかしい。“女性”(woman)で検索すると、もっとも美しい女性の写真の一つとして、ニッキー・ミナージュの”Anaconda”のカバー写真みたいなポーズをした女性の巨大な写真が、出てきた。

しかしいずれにしてもEyeEmは、ユーザのために写真を選ぶという作業のかなりの部分を、アルゴリズム化しようとしている。そのアルゴリズムが今後磨かれていけば、優秀なプロの写真家がますます信頼し頼りにする写真サービスサイトになるだろう。良い写真が、まさに良い写真として、ユーザに紹介されるのだから。

そしてさらに長期的には、今のようにHuffington PostやGetty Imagesなどに依存することなく、まったく独立のオリジナルな、しかも人気絶大の、ストック写真マーケットプレースになれるかもしれない。今ベータ中のEyeEm Marketは、ユーザが指定した語句にマッチする写真を選ぶだけでなく、ユーザがまさにお金を払いたくなる写真を、見せてくれるようになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))