柔軟な処理能力を備えた自動運転技術の開発を進めるISEEがヤードトラックでハブの配送を自動化

ロボタクシーはまだ数年先になるかもしれないが、今日あるような自動運転車によって変革が可能な業界は他にもある。MITのスピンオフ企業であるISEEは、コンテナの仕分けや保管が行われている一般的な輸送ヤードで、その1つを見出した。このところ人間のドライバーの数が減ってきているが、今後は同社が専用に開発したロボット運転のヤードトラックがその作業を担うことになるかもしれない。新たな資金調達と大手荷主との提携により、ISEEは大きく成長を遂げる可能性がある。

船積場は物流業界の緩衝地帯だ。コンテナを満載した船からコンテナを降ろすとき、クレーンがコンテナを降ろした岸壁にコンテナをそのまま置いておくことはできない。時間に制約があるため、すぐにトラックアウトする必要があるが、あるコンテナは税関や検査を経て1週間施設に留まる必要があるかもしれない。あるいは、冷蔵保管されていて、電気と空気の接続が必要なコンテナもあるかもしれない。

このような状況はいずれも、プロのドライバーによって処理される。適切な場所まで数百メートルまたは数千メートルの距離を走る短距離トラックへの連結、電源のある空きスロットへの設置、長期保管、検査の準備に入るなどさまざまだ。しかし、ロジスティクスの多くの仕事と同様に、年々登録者が減少しているため、この仕事も人手不足に直面している。結局のところ、作業はかなり反復的であるが、特に容易というわけではなく、そしてもちろん、重い機器は危険をともなうことがある。

ISEEの共同創業者であるYibiao Zhao(イビャオ・ジャオ)氏とDebbie Yu(デビー・ユウ)氏は、物流業界はさらなる自動化を必要としており、特にコンテナヤードがその傾向にあると指摘する。「顧客と一緒に仕事をしていると、ヤードでの作業がいかに時代遅れなものかということに驚きます。基本的には人々が大声を上げているだけなのです」とジャオ氏はいう。「これを次のレベルに引き上げる大きなチャンスがあります」。

画像クレジット:ISEE

ISEEのトラックは完全にカスタム化されたものではなく、よくあるタイプのヤードトラックで、LiDARやカメラなどのセンサーを装備して360度の認識を持たせている。その仕事は、コンテナ(未処理のもの、そこが重要)をヤードのあちこちに運び、50フィート(約15m)のトレーラーを左右わずか1フィート(約30cm)のスペースしかない駐車スペースに戻すことだ。

「顧客は、まるで別のドライバーを雇うかのように、当社のソリューションを採用しています」とジャオ氏はいう。安全地帯を設ける必要はなく、ヤードで特別な配慮をする必要もない。ISEEのトラックは、障害物を避けながらインテリジェントに走行し、通り過ぎる作業員のために減速し、自動運転か人間による運転かにかかわらず、他のトラックのためのスペースを確保する。多くの産業機械や車両とは異なり、これらは安全を保ち、予測不可能な混沌とした交通の中で可能な限り安全に運転するように、現在の自動運転の状態を適応させることができるのだ。

人間のドライバーを超える自動化システムの利点は、こうした環境において特に顕著である。ヤードトラックのドライバーのやや特殊な制約の1つとして、運転席がキャビンの左側にあるため、十分によく見えるのは左側だけであり、トラックも左側にしか駐車できないことが挙げられる。もちろん、ISEEトラックにはそのような制限はなく、どちらの方向にも簡単に駐車できる。

画像クレジット:ISEE

効率性もまた、絶対確実な機械思考によって改善される。「ヤードには何百、何千ものコンテナがあります。人間は、何がどこにあるのか覚えていないことにより、ヤードを歩き回ってアセットを探すことに多くの時間を費やしてしまいます」とジャオ氏は説明する。だがもちろん、コンピュータは決して記憶を失わないので、ガソリンを無駄にしてヤードを回り、コンテナやそれを置く場所を探し回ることはない。

一旦駐車すると、別のISEE技術が電気や空気のために必要な接続を行うことができるが、これは悪い状況に置かれた人間のドライバーにとっては危険なステップとなり得る。

ロボットプラットフォームは一貫性も提供する。ユウ氏によると、人間のドライバーは訓練生の段階では能力が低く、慣れるまでに数年かかるという。「私たちは効率性について多くを習得しました」と同氏は語る。「これは基本的に顧客が最も気にかけていることであり、サプライチェーンはスループットによって左右されます」。

そのため、速度を調整することは興味深い課題であると同氏は指摘する。車両がより速く進むのは簡単だが、障害物があるときだけでなく、行き止まりのコーナーなどを注意して走行しなければならないときにも、必要に応じて減速できるようにするための意識が必要だ。

これは自律性を開発するための完璧な訓練の場だと言えるだろう、そしてそれこそが同社のアイデアである。

「今日のロボットは、極めて制約の厳しい環境下では、事前定義されたルールに従って動作します。しかし将来的には、自律走行車がオープンな環境で走行するようになるでしょう。私たちは、ロボットや自律走行車が不確実性に対処できるようにするための技術的なギャップを認識しています」とジャオ氏は述べている。

ISEE創業者(画像クレジット:ISEE)

「私たちは、複雑な人間の行動をともなう、比較的制約のない環境を必要としていました。コンテナヤードは、実際に理想的な関係を築くもの、つまり当社が提供する柔軟な自律性と敷地の組み合わせを実現するものであることに気づきました」と同氏は続けた。「ヤードは私有地であり、規制はなく、すべての車両はそこにとどまり、子どももいないし、ランダムな人々もいません。公共の高速道路のような長距離道路や交通量の多い通りもありません。しかし、単純なものではなく、ほとんどの産業環境同様に複雑です。密集し、混雑しており、歩行者やトラックが行き来しています」。

MITからのスピンアウトであり、論文やコンピュータビジョンの研究に強い基盤を有しているが、これは理論上のビジネスではない。ISEEはすでに、Lazer SpotとMaerskという2つの主要な荷主と協働している。両社とも数百のヤードと約1万台のトラックを所有しており、その多くまたはほとんどがISEEによって自動化される可能性がある。

現時点で同社はパイロット段階を終えており、Maerskと協力して1ヤードで数台の車両を稼働させている。Maersk Growth FundもISEEに投資しており、その額は公表されていないが、近い将来に買収の可能性も浮上している。しかし、当面の計画としては、技術とサービスを拡大し、改良することに注力し、ISEEと将来の競合他社との差を広げることを目指している。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:ISEE自動運転トラック物流

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)