日本の宇宙開発スタートアップispaceが月着陸船「HAKUTO-R」の最終デザイン公開、2022年の初ミッションに向け

日本の宇宙開発スタートアップであるispaceが、月着陸船「HAKUTO-R」の最終デザインを公開した。この着陸船は、以前は2021年10月の飛行が予定されていたが、この度アップデートされた計画に従って2022年に初めて月に着陸する予定だ。ispaceはNASAのCommercial Lunar Payload Services(CLPS)プログラムに選定されたDraperに率いられるチームの一員で、 2024年にNASAが計画する月有人探査ミッションに先立って、さまざまなペイロードを月に輸送する。

ランダー(着陸機)は人より少しだけ高く、全高は約7フィート半(約2.3m)で、基本的には幅も長さも同じ。4K解像度のカラーカメラが搭載されており、ミッション全体の映像を中継できるほか、推進剤を保持する燃料タンク、発電用ソーラーパネル、着陸装置、スラスタ、最大66ポンド(約30kg)の実験装置やその他の機材を保持するペイロード収納部などがある。

前述したように、HAKUTO-Rの初の月面着陸機ミッションのタイミングの調整も発表されている。1回目は2022年に行われる予定で、SpaceXのFalcon 9ロケットを使用し、科学実験機器を含む商業ペイロードを搭載する。第2回目は2023年に予定されており、月面を調査する小型ローバーを搭載し、月面での長期的な商業投資の可能性の道を開くことを目指す。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

日本がアルテミスプログラムに向け、NASAのLunar Gateway計画に参加

NHKによると、日本は月を周回する軌道上に宇宙基地を建設する、NASAのLunar Gateway(ルナ/ゲートウェイ)プロジェクトに参加することを正式に発表した。Lunar Gatewayは2024年までに初の米国人女性、そして米国人男性の宇宙飛行士を月面に着陸させることを目指す、NASAのアルテミス計画の重要な要素だ。

この発表は、安倍首相が出席した宇宙開発戦略本部の会議で確認された。日本がNASAの取り組みに参加すべきかどうかを検討するために設置された委員会の勧告を政府が受け入れた。

委員会はLunar GatewayでNASAと協力すれば、日本の利益になると判断した。その中には、宇宙を平和的なベンチャーや研究に関する国際協力の場にするという点で、技術リーダーとしての地位を高め日米関係を強化することも含まれる。

日本がどのようにLunar Gatewayへと参加するかについての詳細は、まだ明らかにされていない。日本の月面探査スタートアップのispaceはこのニュースを歓迎しており、今年発表したDraperとの提携により、何らかのかたちで貢献することを期待している。

「今後の月探査と日米関係を大きな期待とともに歓迎したい」と、ispaceの創設者兼CEOの袴田武史氏は電子メールで伝えている。「Draperとispaceとのパートナーシップは、商業レベルでの持続可能な月開発へと向けた、日米の取り組みを補完するものと確信している」。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

日本のispaceは2021年の月面着陸、2023年のローバー月探査を目指す

民間月面探査機のミッションを目指している民間企業の1社がその計画のスケジュールを変更したが、その任務の重要さを考えれば、驚くようなことではない。日本初のスタートアップのispaceは、2021年の初めての月面着陸と、2023年のローバー(探査車)による月面探査を予定しているのだ。

ispaceの「HAKUTO-R」プログラムは、当初は2020年にペイロードと搭載しない技術実証目的の月周回衛星を送る予定だったが、かわりに2021年までに商用顧客の実際のペイロードを届けることに注力することとなった。

同社によると、この変更の目的は世界市場で商業打ち上げサービスとペイロード輸送が加速したことが理由で、これには月に荷物を輸送する民間企業を支援するNASAのCommercial Lunar Payload Servicesプログラムも含まれる。

ispace自身はNASAのプログラムの第1ラウンドの9社には含まれていないが、同社は米NPOのDraperを支援するという形で支援している。Draperとispaceの協力は、ispaceの2020年の月周回衛星計画の発表の後に実現したもので、この新しい協力の優先度を考えれば、計画の変更は理にかなっている。

HAKUTO-Rは初めのミッションでSpaceX(スペースX)のFalcon 9を使用し、同社はまたJAXAやスズキ、住友商業、小学館、シチズンホールディングスを含む新たなコーポレートパートナーとの提携にも署名した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

日本の宇宙開発企業ispaceの子会社が欧州宇宙機関による月の水探査プロジェクトに参加

日本の宇宙開発企業のispace(中国のiSpaceとは別会社)の子会社でルクセンブルクを拠点とするispace Europeは、欧州宇宙機関(ESA)が2024年〜2025年に実施する南極での水探査ミッションことPROSPECTに参加する。

PROSPECTは「Pprospecting」(展望)のクールな言い回しであるだけではない。これは「資源観測パッケージおよび探査、商業利用および輸送のための現地調査(Package for Resource Observation and in-Situ Prospecting for Exploration、Commercial exploitation and Transportation)」を意味する。具体的には、ロシアのRoscosmosによる月ミッションを利用し、ESAのペイロードを輸送するというものだ。ESAのペイロードは、常に太陽光の当たらない極にある月の水からなる氷を探すことになるだろう。

ispaceの貢献は、ミッションが取得したデータの計画、運用、解釈を支援するために選ばれた3人のメンバーを通じて、才能を証明するという形をとる。ispace Europeの宇宙・地球鉱山計画エンジニアのCalros Espejel氏は、探査の観点から現場での資源探査(将来の月ミッションにて現地の資源を利用することになる)の調査と任務とするミッションを率いる。

2010年に東京で設立されたispaceは、2018年に1億ドル以上の資金を調達しており、2020年と2021年にSpaceX(スペースX)のFalcon 9ロケットを利用した2つのミッションを予定している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

iSpaceが中国初となる衛星の民間打ち上げに成功

米国東部時間7月25日1時10分にゴビ砂漠からの打ち上げが成功したことで、中国のiSpace(あるいはStarCraft Glory Space Technology、日本のispaceとは別会社)は中国初の民間商業打ち上げ事業者となった。同社のSQX-1 Y1ロケットは2機の商業人工衛星を高度約300kmの軌道へと投入した。

打ち上げはiSpaceによって開発された固体ロケットのSQX-1 Y1によって実施され、4段式のこのロケットは重量6万8000ポンド(約31トン)で、260kgのペイロードが搭載できる。これは中国の宇宙産業にとって重要なマイルストーンであり、iSpaceはLandSpaceやOneSpaceといったまだ商業打ち上げ市場で成功していない強力なライバルを打ち負かした。

2016年10月に設立されたiSpaceは、CDH Investment、Matrix Partners China、Shunwei Capitalからの投資を含む、金額非公開のシリーズA資金調達ラウンドを6月に実施した。同社は以前、SQX-1 Y1ロケットの前モデルにて2018年に弾道飛行を成功させている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter