毎年、年2回程度開催されるInfinity Ventures Summit(インフィニティベンチャーズサミット、IVS)は、投資家やVC、スタートアップ企業を一堂に会するイベントだ。今年はコロナ禍で夏のイベントはオンライン主体のIVS 2020 SUMMERとして実施。冬のイベントは。セッションやパネルディスカッションを中止し、目玉のピッチコンテストであるLAUNCH PADとネットワーキングに絞り込んだ内容となった。12月18日に、SaaSに絞ったピッチコンテストLAUNCH PAD SaaSで優勝者が決定した。
LAUNCHPADは、 スタートアップの登竜門としてたピッチイベント。 厳選な選考を経て選ばれた決勝進出者は投資家・VC・大手企業など審査員の前でプレゼンテーションして順位を競う。今回は14社が最終選考の決勝ラウンドに進んだ。
優勝(1st Place)を勝ち取ったのは、手書き情報を効率化するための現場管理アプリSaaSを開発・提供するカミナシ。同社は2016年設立のスタートアップで、食品バーティカルSaaS事業からピボットして2020年6月にカミナシを作り上げた。
以下、2位はJunify Corporation、3位はTsunagu.AI、4位はSpiderLabs、5位はアスキャストが受賞した。
Junify Corporation
社内情報システム「Junify」を開発・運営。iOSやAndroid 上で動作するアプリで個人の認証情報を詰め込み、勤務中の状況を確認するセンサーの役割を果たす。独自のQR コードを用いたログインにより、スマートフォンでPC上でのセッション管理可能。重要な機密情報に触れる場所を、ジオフォフェンスを利用しGて、その業務を許可する人単位に指定することにより仮想的なオフィスのように指定することもできる。ユーザー名とパスワードを用いた VPN 経由のアクセスなどの手法よりも、高レベルのセキュリティを実現できるという。
Qasee
会社の効率化、組織改善を実現する「Qasee」を開発・運営。 各社員のPCでの作業を可視化することで、社員1人ひとりの意識と行動改革を促し、組織の問題点課題点を浮き彫りにすること可能とのこと。具体的には、経費や残業時間の削減、管理職の負担軽減、従業員のやる気向上などに支援する。
カミナシ
現場の業務フローをデジタル化するノーコードツール「カミナシ」を開発・運営。手書き情報のデータ化、目視チェック・承認、Excelへの転記・集計、メールでの報告・検索などを自動化できる。
関連記事:現場作業員の業務をiPadで効率化する「カミナシ」が正式ローンチ、入力内容を自動でExcel転記
NIMARU TECHNOLOGY
自由に話しかけられるバーチャル空間「oVice」を開発・運営。メンバーに近づけば声が大きく聞こえ、遠ざかれば小さくなっていくのが特徴。バーチャル空間でアバターを動かすだけで、現実のように自由自在に会話ができるのが特徴だ。話したい時に、話したい人に近づくだけで会話がスタートするため、新しい部屋やグループを作成する必要がない。
オンリーストーリー
決裁者のマッチング支援SaaS「ONLY STORY」を開発・運営。従業員数など、さまざまな条件で2000社以上の企業・経営者を検索できるほか、経営者の過去・現在・未来のSTORYを記事で読める。
関連記事:経営者マッチングプラットフォーム運営のオンリーストーリーが約3.45億円を調達
Tsunagu.AI
フロントエンド開発を自動化「FRONT-END.AI」を開発 。ウェブエンジニア向けローコードサービスで、ディープラーニングを始めとした、複数の機械学習モデルを独自に結合し学習をさせることで、デザインを理解できるよう開発されている。既存のワークフローのまま導入できるのが特徴だ。デザイナーが既存のフローで作成したデザインカンプを基にAIが初期コーディングを行うことで、初期コーディング時間を50%以上削減可能とのこと。
関連記事:ウェブエンジニア向けローコードサービスのTsunagu.AIがプレシリーズAで1億円を資金調達
アスキャスト
インテリアコーディネートを効率化するコーディネート用SaaS「Amour」を開発・運営。デザイナー・建築士向けインテリア提案ツールで、家具の選定・発注の時間が40%削減できるという。顧客の要望ヒアリングから商品選定、プレゼンボードや商品リストの作成まで、インテリア提案における全業務に対応。
SpiderLabs
アドフラウド(詐欺的な不正行為)対策ツール「Spider AF」を開発・運営。AIの精度の高いスコアリングを特徴としており、独自のAIがアドフラウドを検知してスコアリング可能。ダッシュボードを利用することで、Excel作業をより簡単に効率よく作業できる。
conect.plus
IoTアプリケーションSaaS「conect+」を開発・提供。情報可視化/IoTのデータデザインに特化したアプリケーション作成サービス。IoTアプリが作成できるエントリーサービスの「ct+ Lite」、
より高度なIoTデータデザインサービスを実現する「ct+ Studio」がある。
セルン
デジタルオンデマンド・サプライチェーン・プラットフォーム「BOOKSTORES.jp」を開発・運営。在庫を持たずに誰でもPOD書店をオープンできる。ECサイト開設、1冊から印刷・製本用、ECサイトでの受注・決済から発送まで一括して提供する。
STANDS
顧客のライフタイムバリュー最大化する「Onboarding」を開発・運営。オンボーディングの自動化、退会防止、アップセル施策を顧客に合わせて自動化、カスタマーサクセスの効率化などが可能。サイト内にJavascriptタグを設置するか、ブラウザの拡張機能を追加するだけで導入できる。
トルビズオン
上空シェアリングサービス「sora:share」を運営。土地所有者とドローンユーザーをつなぎ、空撮や練習するための空をシェアできる。ドローンユーザーは、今まで飛ばせなかった空を利用可能できる一方で、不動産所有者は自分の土地を登録すれば、その上空をドローンユーザに貸し出して新たな資産として運用できる。なお、民法207条「土地の所有権はその上下に及ぶ」とあり、一般的には上空300mまでは不動産所有者に権利が及ぶと解釈されている。
テレワーク・テクノロジーズ
テレワークのためのワークスペースシェアリング「テレスペ」を運営。LINEでテレスペを友達追加するだけで、リアルタイムにワークスペースの空席が地図上に表示され、予約なしでいきなり店舗へ行き、画面を提示することで利用できるのが特徴。
SOUSEI Technology
スマホで家の管理を実現する「マイホームアプリknot」を開発・提供。書類や取扱説明書、住宅会社などマイホームの情報をひとまとめにできる。担当者とチャットでやり取りできるほか、工事やメンテナンスなど自宅の記録をスマホアプリいつでも確認できるのが特徴だ。
関連記事:スマホやスピーカーで住宅をまるっとスマート化、「住宅のOS」手がけるSOUSEI Technologyが4.5億円調達