4000万ドル(約42億円)のシリーズAを調達したばかり(DealstreetAsia 記事)の、エッジAIのスペシャリストであるKneronは米国時間8月27日、同社の最新カスタムチップであるKneron KL 720 SoCのローンチを発表した。
少数の支援者だけでなくAlibaba、Sequoia、Horizons Ventures、Qualcomm、SparkLabs Taipeiなどからの資金提供を受けていることから、Kneronの取り組みを真剣に受け止める価値があり、例えば同社のチップをIntel(インテル)やGoogle(グーグル)のチップと比較することに躊躇はない。新製品のKL 720はインテルの最新Movidiusチップと比べてエネルギー効率は2倍、画像認識のベンチマークMobileNetV2(Google AIブログ投稿)では、グーグルのCoral Edge TPUの4倍の効率になる、と同社は主張している。
同社の前世代チップと比べると、アップデートされたバージョンは4Kの静止画と動画をを1080pの解像度で処理できる。また同社の新しい音声認識の画期的な機能を数多く搭載しているため、これを使ったデバイスは他のチップでは必要なウェイクワードを省略することが可能で、デバイスと即座に会話できるようになるという。
全体として、Kneronは同社のSoCのパフォーマンスとして1.5TOPSを約束している。SoCのメインのコントロールユニットはArm Cortex M4だ。フルパッケージの平均消費電力は約1.2Wである。
「KL720は電力と比類なきエネルギー効率、そして業界をリードするAIアルゴリズムを組み合わせてスマートデバイスの新時代を実現します新時代のスマートデバイスを可能にする。しかもローコストなので、より多様なデバイスがエッジAIの利点を活用できる。ユーザーのプライバシーを保護し、競合他社が追いついていない範囲で利用することが可能になる。既存のKL520と組み合わせて、市場に出回っているデバイス向けに最も包括的なAIチップとソフトウェアを提供できることを誇りに思う」とKneronの創業者でCEOのAlbert Liu(アルバート・リュー)氏は話す。
またKNEOでは、同社のチップを使ったデバイス向けの興味深いネットワーキングソリューションも提供している。これにより、開発者は独自のプライベートネットワークを構築し、クラウドにデータをルーティングすることなく複数のセンサーを接続すできる。このネットワークはブロックチェーン技術を利用してデータを保護しており、Kneronは消費者が自分のデータを交換したり、販売したりできるマーケットプレイスを作りたいと考えている。
ただし当面の間、同社は中核製品であるハードウェアに注力していくようだ。そこは競争が過熱している市場であり、資金力の豊富なスタートアップであるHailoも最近、最新のチップをローンチしたばかりだ。
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