ベルリンを拠点とする新しいノーコード企業のLevityは、これまでステルスで運営されてきたがこのほど製品を市場に投入した。同社はGil Dibner(ギル・ディブナー)氏のAngular Venturesが主導するプレシードラウンドで170万ドル(約1億7500万円)を調達している。LevityはAIを利用したワークフローオートメーションをあらゆる人にとって手の届くものにし、何度も繰り返される退屈な手作業をナレッジワーカーがコーディングを学ぶことなく自動化できるようにすることを目指している。
Levityは最初から幅広い分野にサービスを提供する方針で、カスタマーサービス、マーケティング、オペレーション、人事などに適している。自動化できる代表的な繰り返し作業には、書類や画像、テキストの確認と分類がある。このようなタスクは従来のルールベースのオートメーションソフトウェアでは自動化できない。認知機能が必要だからだ。そのため通常は手作業で行われている。このような場面では、もちろん機械学習が役に立つ。
Levityの共同創業者でCEOのGero Keil(ゲロ・ケイル)氏は「自動化できるような退屈な繰り返し作業に長い時間がかかるという問題を解決し、その分の時間で楽しくおもしろい仕事ができるようにしたいと思っています。AIならできると何十年も言われていたことなのにソリューションはほとんどありません。技術者でなくコードを書けない人々のためのものはなおさらです」という。
こうしたことから、Levity全体としてのミッションは技術者でないナレッジワーカーがこれまで自動化できなかったことを自動化できるようにすることだとケイル氏は語る。特に同社がターゲットとしているのは、画像やテキスト、PDFやその他のドキュメントなど、構造化されていないデータに関して判断することにかかわる仕事のプロセスだ。
ケイル氏はこう説明する。「たとえば会社に取引先や顧客からファイルが添付された膨大な数のメールが毎日届くとしたら、通常は誰かが添付ファイルをダウンロードし、それを見て、どうすればいいかを判断しなくてはなりません。Levityを使えば、これまでに蓄積されたすべてのデータからその会社に合わせてAIをトレーニングし、学習させた後はDropboxやGmail、Slackなど既存のツールやワークフローとシームレスに統合できます」。
同氏は広い意味で、「大量生産されたAI」に困っている多くの企業は「独自のAIソリューションを構築してプロセスに組み込むことのできる」エンド・ツー・エンドのプラットフォームがあれば恩恵を受けられるはずだと語る。
ケイル氏は、Levityの最大の競合は手作業で仕事をする人たちだというが、オートメーションの機械学習ツール、ワークフローオートメーション機能、ラベリングツールと競合することも認めている。
「我々は機械学習のバリューチェーンの1つひとつの分野を追求して大企業の開発者やデータサイエンティストを楽にするのではなく、最も重要な部分だけに集中してシンプルで楽しいUXにまとめ、そのほかの部分は省いています。これにより、これまで自動化できなかったプロセスをわかりやすい方法で自動化したい中小企業の非開発者にとって最適な製品になっています。自動化の問題を抱えている人が、自動化の問題を解決する人になります。これはWixやSquarespaceがウェブサイトにもたらしたのと同様のパラダイムシフトです」とケイル氏は語る。
Angular Venturesのゼネラルパートナーで創業者のギル・ディブナー氏は発表の中で「Levityはすべてのナレッジワーカーに影響を与える大きなシフトを起こしています。ナレッジワーカーが簡単にAIエンジンをトレーニングし、AIを利用したオートメーションを構築し、日常のワークフローにオートメーションを統合できるようにすることで、LevityはAIの恩恵を徹底的に民主化します」と述べた。
AngularのほかSystem.One、SumUp創業チームのDiscovery Ventures、Pipedrive創業者のMartin Henk(マーティン・ヘンク)氏、さらに匿名のエンジェル投資家もLevityを支援している。
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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Levity、ノーコード、資金調達
画像クレジット:Levity
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(文:Steve O’Hear、翻訳:Kaori Koyama)