英国を拠点とするフィンテックで、従来の銀行融資や当座貸越の代わりとなる方法(未訳記事)で中小企業に融資するLiberis(リベリス)が財源として7000万ポンド(約97億9000万円)の資金を補充した。同社は内訳の開示を拒否したが、このラウンドはベンチャーとそれ以外からの負債のミックスだった。したがって、Liberisが実行する融資を賄うための負債と考えてよいと思われる。
融資したのは以前からの投資家であるBritish Business Investments、Paragon Bank、BCI Europe、そして新しいパートナーであるSilicon Valley Bank(SVB)だ。Liberisが調達した資金の累計は2億ポンド(約279億6000万円)となった。この中には株式による調達額が5000万ポンド(約68億9000万円)超が含まれる。「新しい資金は会社の成長促進、新製品と新市場の立ち上げ、新しい顧客融資ソリューションを提供するために使用されます」と同社は述べた。
2007年創業のLiberisは、これまで欧州、米国、英国の1万6000の中小企業に5億ポンド(約699億2000万円)以上を融資してきた(このプロダクトは米国、フィンランド、スウェーデン、チェコ共和国、スロバキアの5つの新しい国で利用可能)。しかし最近、貸し付けはますます増加しており、過去2年間だけで2億5000万ポンド(約349億6000万円)が貸し出された。
Liberisはクレジットカードとデビットカードの予想売上高に基づき、中小企業に1000ポンド(約14万円)から30万ポンド(約4200万円)を融資する。ただしスマートなところは、融資の返済が事業のデジタルトランザクションのうち事前に合意した割合となる点だ。いい換えれば、合意された最低月額支払い額を除き、返済スケジュールはカード取引の規模とペースに直接リンクしている。
注目すべきことに、同社の市場戦略はB2B2B、つまり「組み込み融資」にシフトしている。同社は現在、主にマーケットプレイス、ソフトウェアプロバイダー、FISのWorldpayやGlobal Paymentsなどのアクワイアラ(加盟店契約会社)と提携している。こうしたパートナーはLiberisと一体となり、借入する1社1社にあわせ事前承認された売上ベースの融資をエンドカスタマーに対し実行する。
「Liberisのコアビジネスはパートナーが顧客に対し組み込み融資を実行できるようにすることです」とLiberisのCEOであるRob Straathof(ロブ・スターソフ)氏はTechCrunchに語った。「2015年に、FISのWorldpayと世界初の1つとなる法人向け組み込み融資パートナーシップを開始しました。そしてGlobal Payments、Opayo(Sagepay)、EPOS Now、Worldpay U.S.など、過去数年間で世界中にパートナーシップを大幅に拡大してきました」。
スターソフ氏は、Liberisの法人向け融資プラットフォームをパートナーの既存のエコシステムとカスタマーエクスペリエンスに統合することで、同社がパートナーおよびサポートする中小企業に対し「即座に価値」を提供できると述べる。
「当社は単一のAPI統合を通じてパートナーから守秘性の高いデータを受け取り、中小企業1社1社にしっかり合わせた事前承認融資を提供できるようにします」と同氏は説明する。「融資を中小企業にとって直感的でアクセスしやすく、1社1社にあったものにします。それにより、エンゲージメント、満足度、ロイヤルティを向上させ、パートナーがより大きな顧客価値を引き出すことができるようになり、解約率を減らします。究極的には誰にとってもメリットがあります」。
SVBのEMEAウェアハウスファイナンスの責任者であるFolake Shasanya(フォレイク・シャサーニャ)氏は次のようにコメントした。「Liberisの新しい資金調達パートナーになり、テクノロジープラットフォーム、決済プロバイダーなどにファイナンスソリューションを組み込むことができる同社の能力に感銘を受けました。SVBのDNAにはイノベーションへのサポートが組み込まれています。当社のウェアハウスファイナンスとベンチャーデットプロダクトを通じてこのグローバルな成長の機会をLiberisに提供できることをうれしく思います」。
カテゴリー:フィンテック
タグ:Liberis、資金調達
画像クレジット:Liberis
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(翻訳:Mizoguchi)