伝説のアメコミ原作者、スタン・リー亡くなる――スパイダーマン、ハルク、X-MEN、アイアンの産みの親だった

アメリカン・コミックの原作者としてもっとも影響力が高く、おそらくはもっとも愛された人物が亡くなった。スタン・リーは95歳だった。

ディズニーのCEO、ボブ・アイガーは声明で「スタン・リーの作り出したキャラクターはいずれも途方もないものだ。世界中のマーベル・コミックのファンにとって彼自身がスーパーヒーローだった。スタンは人々にインスピレーションを与え、楽しませ、結束させる素晴らしい能力があった。スタンの想像力は彼のハートと同様に巨大だった」と述べた

スタン・リーは本名をスタンリー・マーティン・リーバーといい、ニューヨークでユダヤ系移民の家に生まれた。リーは後に「本名は真面目な著作のために取っておいたのだ」と語っている。しかし結局のところスタン・リーとして記憶されることとなった。

アーティストのJack KirbySteve Ditkoの協力を得て、リーは1960年代にマーベル・コミックスの原動力となった。リーが創造したキャラクターのリストは驚くべきものだ。スパイダーマン、ファンタスティック・フォー、アイアンマン、超人ハルク、マイティー・ソー、X-MEN、ブラックパンサー等々。

マーベル・コミックスに登場した頃のオリジナルを見ると、いかにも素朴で古典的な感じがする。特に後年コミックのキャラクターをベースに製作された超大作映画シリーズと比べるとそうだ。しかし主人公を現実の都市(やはりニューヨークが強い影響を与えている)の中に置き、さまざま弱点をもつリアルな存在として造形したこと、また個々のヒーローが単独で存在するのではなく一つの世界を共有することなどはコミックの世界に大きなブレークスルーをもたらした。リーのエネルギーに溢れた作品は今でも人々に読まれ続けている。

こうしたスーパーヒーローの造形を通じてリーはマーベル・コミックスの顔になった。ユーモアを交えた編集後記、マスコミのインタビュー、またコミック内へのカメオでの登場などにより、リーは文字通りアメリカン・コミックのリーダーとなり、伝説となった。

最近ではリーの後年の法律上、経済上の紛争などを含め、リーの自己顕示癖がDitkoやKirbyなどの貢献を覆い隠してきたとして一部の批評家からは再評価を求める動きもあった。 そうではあっても、スタン・リーはコミックのファンにとってマーベルそのものであり、マーベル・フィルムへのカメオ出演でそのイメージはますます強くなっていた。

またわれわれはリーが90代に入ってもなおチャーミングでありユーモアと活力を失わないことに驚かされた。もしかするとリーは創造したスーパーヒーローたちと同じくらい長く生き続けるのではないかと思わせた。そうではなかったのは悲しいことだ。

画像: Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+