トラフィックの真ん中にクラウドを置いてWebRTCの制約を克服–TokBoxが複数者ビデオチャットを可能に

TelefonicaのTokBoxが今日(米国時間4/25)、WebRTCを使うOpenTokサービスの重要なアップグレードを発表した。新たに作られたメディア分散フレームワークMantisにより、ビデオの分散に関するWebRTCの制約を克服するのだ。つまり、WebRTCはピアツーピアの通信形式だが、しかしそのために、そのままではビデオチャットなどは二者間でしかできない。そこで、クラウドインフラであるMantisが仲立ちをすることによって、三者以上の複数者間のビデオチャットが可能になる。しかも、単純なピアツーピアだけでむりやりマルチ(複数者間自由通信)をやる場合のように大量の帯域を使うこともなく、複雑なメッシュ的アーキテクチャも要らない。

TokBoxのCEO Ian Smallによると、この技術で将来はビデオストリームをユーザの帯域条件やデベロッパのニーズに合わせて最適に構成できるようになる。“Mantisによってわれわれは、WebRTCのインフラに頭脳を持たせたのだ。将来は、今のようにトラフィックをルーティングするのではなく、トラフィックを構成できるようになる”。

Mantisの今の機能の中でもとくにクールなのは、SIPの相互運用性だ。デベロッパがWebRTCアプリを書くと、ユーザはそれを標準の電話回線から呼べる。だからWebRTCのビデオチャットをマルチでやる場合も、参加者の一部が通常の電話回線から参加できる。

今現在のOpenTokのマルチチャットは最大10名までだが、ウェビナーのように一人だけがしゃべりっぱなしというタイプでは、100名以上でも対応できる。Mantisのベータテストは、LiveNinjaRoll20の協力により行われた。

しかしWebRTCの部分は抽象化/ブラックボックス化されているので、デベロッパがそれに関してとくに何かをする必要はない。デベロッパは、必要なトポロジー(P2Pか、マルチパーティーかなど)作って、通信を開始するだけだ。あとは、いっさいをクラウドが引き受ける、とSmallは言う。クラウドに一元化されていると、今後の新機能の導入/展開もやりやすい。

WebRTCはまだ成熟途上の技術だが、Smallはそのことを認めつつ、たとえば今後Firefoxの安定版がそれをサポートするようになれば本格的な普及段階に入るだろう、と言う。今はまだ、少数のデベロッパたちによる実験段階に過ぎず、アーリーアドプター(新し物好きの先進ユーザ)たちすらいない、と。

TokBoxのWebRTCが使えるのは、目下、ChromeとデスクトップのFirefoxだけだ。Chrome FrameからならInternet Explorerも使える。モバイルでは、Android上のChromeと、OpenTok SDKによるiOSネイティブアプリで使える。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))