工場内で材料を運搬する自動走行ロボ開発のOTTO Motorsが32億円調達

Clearpath Robotics(クリアパス・ロボティクス)のCEOで共同創業者のMatthew Rendall(マシュー・レンドール)氏は工場内にある「何マイル」もの道路を目にすると、自動走行車両がそこを行き来する様子を思い描く。

そして過去5年間、同社は産業部門のOTTO Motorsを通じゴールに向かって歩を進めてきた。2015年に立ち上げられたOTTO Motors(オットー・モーターズ)は自動走行のモバイルロボットプラットフォームを工場に届けるために多くの企業と契約した。この中にはGE(ゼネラル・モーターズ)やトヨタ、Nestlé(ネスレ)、Berry Global(ベリー・グローバル)が含まれる。

OTTO Motorsは新たに調達した2900万ドル(約32億円)を事業拡大にあてる。シリーズCラウンドはKensington Private Equity Fundがリードし、Bank of Montreal Capital Partners、カナダ輸出開発公社 (EDC)そして既存投資家からiNovia CapitalとRRE Venturesが参加した。これまでにOTTO Motorsは計8300万ドル(約91億円)を調達した。

OTTO Motorsの自動走行モバイルロボットプラットフォーム(AMRs)は倉庫や工場内で材料運搬に使用される。レンドール氏によると、これらのロボットはかつては贅沢なものとみられていたが、今では必需品となっている。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックという要因、そして企業は安全に業務を進める必要があることから、今後ロボット活用は進むばかりだとレンドール氏は確信している。

ロボット、より広い意味ではオートメーションはしばしば製造分野においてはジョブキラー(職を奪う存在)と捉えられている。しかしAMRsは現在誰もやっていない業務を担当し、人間がより高度で賃金の高い業務を担えるようにする、とレンドール氏は主張する。

「オペレーションがまだピークに達していない、最大限の処理能力での行われていないという状況が増えているが、それは業務を担う人材を見つけられないからだ」とレンドール氏は最近のインタビューで述べている。同社の顧客の1社が、人材を確保できないために施設の一部を完全に閉鎖したという例も引き合いに出した。

工場は往々にして小さな町、あるいはコミュニティが点在し労働力に限界があるところに立地する。近くにAmazonが施設を設置すると、労働力不足は一層ひどくなる。

「既存の製造施設や倉庫から有能な人材を引き抜く真空管のようなものがある」とレンドール氏は語った。

Deloitte and Manufacturing Instituteが実施した2018年の調査では、2018年から2028年にかけて米国ではスキルギャップにより240万のポジションが埋まらないと予測している。スキルギャップはOTTO Motorsが現在、フォーカスしている日本などを含め、他国でも見られるようになっている。日本では若年者層よりも高齢者層の人口の方が多い。労働力は増える一方だと見られていた中国ですら、今や国家ロボット戦略を持っているとレンドール氏は指摘した。

OTTO Motorsは、製造メーカーが価値の低い労働をロボットにアウトソースできるAMRsを開発した。「誰かにお金を払ってやってもらう仕事の中で最も価値が低いものは、ポイントAからポイントBに歩くというものだ。人材が確保できている場合、フォーカスして欲しいことは自動車組み立てのようにポイントAやポイントBに止まって行う作業だ。パーツを持って倉庫内を歩くのはマシーンにアウトソースできることだ」。

OTTO Motorsの当初の顧客ベースは自動車産業と運輸産業だった。今ではOEM10社のうち6社と協業している。しかし医療デバイスやヘルスケアの部門でも同様にうまくいっている、とレンドール氏は述べた。

同氏によると、新型コロナ禍で食料、飲料、医療デバイス産業の事業者が新型コロナのリスクを低減しようとしているために需要が拡大しているという。

画像クレジット:OTTO Motors

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(翻訳:Mizoguchi

ボストン・ダイナミクスがOTTO Motorsと提携して倉庫自動化ビジネスに参入


技術系ロボティクスの最大手Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は、倉庫の無人化とロジスティクス技術を開発する OTTO Motors(オットー・モーターズ)と新たな共同事業を行うことを発表した。

この1年間、 Boston Dynamicsは自社のロボットであるHandleや、コンピュータービジョンシステムのPickを通じて、不気味な動物ロボット制作から、より実用的な倉庫オートメーション技術の開発へとシフトしてきた。

米国時間3月3日、同社はOTTO Motorsと提携してロジスティクス分野を自動化する概念実証をビデオで紹介した。

これは、画期的なロボティクスのイノベーションを生み出すだけでなく、収益を生むことに焦点を当てる、という全社的取り組みの一環であり、1月に新たなCEOを指名したことに続くものだ。

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「実質的にほとんどの社員は私が雇った。積極的に会社を成長させることが今の大きな課題だ」とBoston Dynamicsの新CEOであるRob Playter(ロブ・プレイター)氏は当時TechCrunchに語った。「経営チームに新しい人材を入れることが2019年の主要な目標だった。同時に、設定した目標を達成するために技術チームに貪欲な競争心を与えることにも力を入れた。そのためには、最先端のロボティクス技術を磨くだけでなく、ロボットを製品化し販売、サポートができるような組織に変える必要がある」

ロボットを製品にして販売することは、OTTOとの提携の中核をなすものだと製品技術担当副社長のKevin Blankespoor(ケビン・ブランケスプール)氏はいう。

「異種ロボットの集団で配送センターを構成することで、倉庫オートメーションのより柔軟なソリューションを提供する、という概念実証のデモをつくった」とブランケスプール氏が声明で語った。「我々の顧客が期待する能力に応えるために、倉庫アプリケーション向けにHandleの機能を拡張し、OTTO 1500など他のロボットとの相互作用を最適化した」

OTTO Motorsのような倉庫の自動化やロジスティクス技術を長年開発してきた会社にとって、Boston Dyanmicsとの提携はきわめて自然な動きだ。

「Boston Dyanamicsのような最先端ロボティクス会社といっしょに仕事ができることを大いに喜んでいる」とOTTO MotorsのCTO・共同ファウンダーであるRyan Gariepy(ライアン・ガリエピー)氏は語った。「それぞれの分野のリーダーとして、我々は持っている技術をまったく新しいアプリケーションの世界に応用することができる」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook