PathSpotがしっかり手洗いできているか確認するスキャナーを販売、感染症防止を支援

新型コロナウイルスは、感染症の予防に手洗いが大変に有効であることを大勢の人々に思い出させてくれた。PathSpot(パススポット)のCEOで共同創設者のChristine Schindler(クリスティーン・シンドラー)氏は、この3カ月間のために、3年間を費やして準備してきた。

「私は手洗いのことで頭がいっぱいです」と医用生体工学と公衆衛生の経歴を持つシンドラー氏は言う。その情熱と自身の経歴を結び付け、おもにタンザニアのキリマンジャロ山周辺の病院のために低価格な機器を開発してきたことからPathSpotは生まれた。

PathSpotのCEOクリスティーン・シンドラー氏

PathSpotは「食品のサービス、管理、貯蔵」のあらゆる場面で使えるとシンドラー氏が主張する、手洗いのための衛生機器を販売している。顧客の範囲は、レストランから梱包施設、カフェテリア、農場にまで広がっている。

PathSpotが販売するスキャナーは、洗面台の脇の壁に設置される。手を洗った人たこの衛生機器に手を入れると、手の衛生状態に応じて緑また赤のライトが点灯する。

技術面では手指消毒剤のPurell(ピュレル)に及ばないが、ある程度までのファクトチェックは行える。PathSpotは、可視光の蛍光スペクトルによる画像化で、人の手に付着した感染症を引き起こす細菌が含まれる恐れのある、特定の汚染物質を検知する。特定の波長の光を手に照射してその画像を取り込み、いくつものフィルターやアルゴリズムを通すことで危険な物質の存在を識別するのだ。

シンドラー氏によれば、2秒以内に両手のスキャンが完了するという。これは、最も一般的な伝達ベクターを探し出す。例えば、大腸菌のような食中毒を引き起こす恐れのある糞便物質などだ。

「これは、手を洗ったかどうか、または手に水滴がついているかどうかを判別するものではありません」と彼女。「手洗いは軽く見られがちなので、たいていの人たちは手は洗ったつもりでも、20秒間しっかり洗ったわけではなく、また、使うべきところで石けんを使わなかったりもするからです」。

だがこれが、新型コロナウイルスから人を守ってくれるのだろうか。新型コロナウイルスは現在、呼吸飛沫や糞便物質から伝播・伝染すると言われているとシンドラー氏は指摘する。PathSpotは、後者に対応できるという。

しかし、米国疾病管理予防センター(CDC)によれば、糞便物質に含まれる新型コロナウイルスが感染を引き起こすかどうかはいまだ不明だという。これまでに、人の糞便物質によって新型コロナウイルスが拡散したことを証拠付ける報告はなく、研究者たちはそのリスクは低いと考えている。

そうしたわけでPathSoptは、今のところは新型コロナウイルスに特別に対処できるわけではないが、日常的、そして感染症を引き起こす恐れのある汚染物質を見つけ出すことはできる。新型コロナウイルスの流行が始まってから、米国では人々の衛生意識が全体に高まっている。「この機器の利用率は、数百件の顧客の間で500%も上昇した」とシンドラー氏は話していた。

PathSpotのもうひとつの製品は、レストランとその従業員の衛生管理と教育を向上させるためのダッシュボードだ。「手の爪の下やアクセサリーの下にホットスポットがあれば、すぐにわかります」と彼女。「あらゆるホットスポットの場所を見ることができるのです」。

有効性について同社は、PathSpotを1カ月間使用した場合、汚染物質が75%減少し、6カ月間の使用で90%減少すると話している。

PathSpotは、サブスクリプションの月額料金で利用できる。これにはスキャナー本体とデータ解析用のダッシュボード、そして同社から実用的な助言が受けられるコンサルティングが含まれる。価格は、機器のサイズと数によって異なるが、シンドラー氏によれば「平均的なところで月額175ドル(約1万9000円)から」とのことだ。

PathSpotの競合相手には、これまで3180万ドル(約34億円)を調達したFoodLogiQ(フードロジック)、1320万ドル(約14億円)を調達したNima Sensor(ニーマ・センサー)、280万ドル(約3億円)を調達したImpact Vision(インパクト・ビジョン)、520万ドル(約5億6000万円)を調達したCoInspect(コンスペクト)が挙げられる。だがこれらの企業は食品とその調達に焦点を当てているのに対して、PathSpotはそれを扱う個人に焦点を当てているとシンドラー氏は主張している。

本日、同スタートアップはシリーズA投資として650万ドル(約7億円)の資金を調達したことを発表した。投資を主導したのは、Starbucks(スターバックス)とValor Equity Partners(バラー・エクイティ−・パートナーズ)が共同で創設したファンドValor Siren Ventures(バラー・サイレン・ベンチャーズ)だ。

新たな資金が追加され、PathSpotの知られている限りのベンチャー投資金は1050万ドル(約11億3000万円)となった。Valor Siren VenturesのパートナーであるRichard Tait(リチャード・テイト)氏は、PathSpotの取締役会の役員に就任する。

PathSpotは、その製品が一般の人々に受け入れられやすいこの時期に成長を遂げている。だがその主要な顧客であるレストランは、パンデミックの影響で不振にあえぎ、全従業員の給与支払いもまなならない状態だ。そこでPathSpotは、パンデミック後に台頭するであろう新世代のレストランに照準を合わせた。つまりデジタルに対応し、衛生を保つテクノロジーを採用せざるを得ない業者だ。

“新型コロナウイルス

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(翻訳:金井哲夫)